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「バイデン、CHIPS法は実現不可能…財政赤字を増大させるだけ」

登録:2023-04-26 19:19 修正:2023-04-27 09:29
世界経済研究院国際カンファレンスで、アン・クルーガー元IMF首席副総裁
世界経済研究院(IGE)創立30周年記念特別国際カンファレンス「地政学的挑戦、気候変動危機、そして世界経済の未来」=世界経済研究院YOUTUBEより//ハンギョレ新聞社

 米国と中国が貿易・先端技術紛争を解消し、グローバル経済秩序が以前の多国間自由貿易体制に戻る状況は来ないと、世界経済専門家らが診断した。中国を包囲しようとする米バイデン政府の半導体支援法(CHIPS法)は実現不可能であり、むしろ米国の財政赤字問題をさらに増大させるだけだろうという批判も出た。

 26日、世界経済研究院の主催でソウル三成洞(サムソンドン)のグランドインターコンチネンタル・ソウルパルナスで開かれた国際カンファレンス(「地政学的挑戦、気候変動危機、そして世界経済の未来」)で、元国際通貨基金(IMF)首席副総裁のアン・クルーガー氏は「バイデン政権は、世界の自由貿易秩序から離脱してドナルド・トランプ前大統領の対中関税戦争をそのまま受け継ぎ、保護貿易を強化しており、今回の半導体支援法にも強く失望している」とし「保護貿易主義が新たに拡大する分岐点になれば、第2次世界大戦後に経験したものよりもさらに巨大な景気低迷を招くだろう」と警告した。クルーガー氏は、米国が半導体以外の産業にも「中国包囲政策」を拡大することが懸念されるとし、「米国内ですべてのチップを自主生産しようという目標は達成不可能であり、後に(バイデンの)恐ろしい失敗と判明しかねない」と述べた。米国内の半導体生産原価が従来のグローバル分業体制方式より40~50%高くなり、米国内の多くの商品の製造価格が大幅に跳ね上がることになり、一方でその費用を米国政府が大規模な財政補助金で解決しようとすれば財政赤字問題をさらに大きくするだけになるという主張だ。クルーガー氏は「バイデン大統領が過ちを悟り、早く多国間世界貿易体制に戻らなければならない」と述べた。

 基調演説に立った米国ピーターソン経済研究所のフレッド・バーグステン名誉院長は「今後、グローバル経済は米中の覇権競争の中で経済リーダーシップがない未来を迎える危機に置かれている」として「第1次・第2次世界大戦の間にあった災難的な時期のような莫大な被害を受ける危険がある」と警告した。そして「中国は購買力基準の国内総生産、外貨準備高および貿易規模、世界成長率に占める割合で米国をすでにリードしており、今後10年以上今よりさらにリードすることになるだろう」とし、「中国は米国とほぼ対等な水準に来ている」と述べた。同氏は「米中両国が同時に屈服を宣言し、5年間続いている貿易紛争を終わらせなければならない」として、代案として「機能的デカップリング」を提案した。両国が人権・価値・安保では意見の不一致を受け入れるものの、経済部門では相互補完的に互いに報復関税を減らしていくなど、実用主義的協力を持続しなければならないという話だ。バーグステン氏は「米中経済デカップリングはグローバル経済にとって災い」だとし、バイデン政権が実行中の半導体支援法による対応は望ましくないと述べ、「韓国は米中競争の中心にあるだけに、積極的仲裁者としてのリーダーシップを発揮すべきだ」と語った。スタンフォード大学のマイケル・スペンス教授(ノーベル経済学賞受賞者)はオンライン演説で、「現在のグローバル経済は、1980年代初め以降で不安定性が最も高まった時期だ」と話した。同氏は「グローバル経済秩序が多国間貿易体制に戻る可能性はほぼないとみる」として「混乱した米中対立構図が多少改善されるとしても、一層複雑で重畳的な多国間主義貿易体制が展開され、多様な分裂と分節化が今後さらに長く続くだろう」と見通した。

チョ・ゲワン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1089488.html韓国語原文入力:2023-04-26 17:06
訳J.S

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