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来年の韓国の成長率、25年ぶりに日本に逆転されるか…政府、民間支援に「全力」

登録:2022-12-22 10:08 修正:2022-12-22 11:19
成長率見通しを1.6%に下方修正…25年ぶりに日本に抜かれ 
政府、輸出・投資支援を大幅に拡大…民生支援は貧弱 
「来年下半期の財政空白に補正予算編成の可能性」
釜山新港/聯合ニュース

 韓国政府が「2023年経済政策方向」で見通した来年の経済状況は、ひと言で「薄氷の上」といえる。企画財政部は来年の成長率見通しを、6月の政府発足直後の2.5%から0.9ポイント下方修正した1.6%とした。アジア通貨危機以後25年ぶりに、長期低成長が固定化した日本(OECDの来年の展望値1.8%)に逆転されるということだ。1970年以後、日本の経済成長率が韓国を上回ったのは、第1・2次オイルショックの1972年と1980年、そしてアジア通貨危機に見舞われた1998年の3回のみ。

 政府は来年の経済運用の焦点を危機克服と再跳躍に合わせ、過去最大規模の政策金融供給、輸出・投資支援、規制緩和などを推進することにした。しかし、民間を通じた景気防衛は限界が大きいうえに、高金利にともなう負債負担などで庶民や中産層がさらに厳しくなる可能性が高く、追加補正予算編成の可能性も提起されている。

 政府が21日に発表した来年の韓国の成長率展望値1.6%は、主要機関の中でも最も低い部類に入る。韓国開発研究院(KDI)と韓国銀行が先月提示した来年の成長率展望値は、それぞれ1.8%、1.7%。概して政策意志を反映して高い展望値を出してきた政府が、逆に低い数値を提示したのは異例のことだ。チュ・ギョンホ副首相兼企画財政部長官は同日、政府ソウル庁舎で開かれたブリーフィングで「世界経済状況が最近さらに悪くなっており、それを踏まえて率直かつ客観的に国民に数値を提示した」と述べた。

 政府は来年の輸出と設備投資が今年に比べてそれぞれ4.5%、2.8%と一斉に減少するものと予想した。来年の世界経済の成長見通し(2.2%)がここ22年で最も低い水準に転落し、半導体など主力産業全般にも暗雲が立ち込めているためだ。民間消費増加率は今年の4.6%から来年は2.5%に、就業者増加規模は今年81万人から来年10万人に大きく減るものとみている。

 特に来年上半期がヤマ場だ。政府は来年の財政の65%を上半期に繰り上げて支出し、公共機関投資(63兆3000億ウォン=約6兆5000億円)も上半期中に55%を執行する方針だ。金融市場の安定、中小企業および輸出支援のための政策金融は、今年より45兆ウォン増えた540兆ウォン(約55兆円)規模と過去最大額を供給する。

 韓国電力公社の累積赤字で企業支援の余力が落ちた産業銀行には、今月中に政府保有株5千億~6千億ウォン規模を出資して資本を拡充し、輸出入銀行にも来年上半期の株式現物出資を通じて企業支援のための実弾を補強する計画だ。地方自治体が保証した債務に変動が生じた場合は中央省庁と協議する手続きを新設し、江原道の「レゴランド問題」の再発防止策も設けた。

 不動産の景気悪化で投資需要が急減したプロジェクトファイナンス(PF)事業の資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)を長期融資に変えられる保証を新たに作り、来年第1四半期の国庫債の純発行(発行額-返済額)の規模は今年の半分に減らし、債券供給の縮小、市場金利の下落を誘導することにした。個人総合資産管理口座(ISA)の非課税対象の金融商品に社債を追加し、信用等級が低い投機等級(BBB+以下)の債券に主に投資する「ハイイールド・ファンド」投資時に税制優遇を提供して民間資金を社債市場に引き込む策も推進する。

 1兆ウォン規模の企業構造革新ファンドをさらに造成し、構造調整企業への投資を増やし、限界企業に低利資金・保証など計1兆1千億ウォン(約1130億円)を支援する。しかし、企画財政部のある関係者は「今のところ何が危機のトリガー(引き金)になるのか見当がつかない状況」と話した。

8日、ソウルのある大型スーパーマーケットで消費者が買い物をしている/聯合ニュース

 一方、高物価・高金利に苦しんでいる市民の暮らしの安定対策は貧弱だ。庶民・脆弱階層支援には政府財政が投入されなければならないのに、来年度の予算案を経済見通しが今のように暗くなる前の8月末に編成したためだ。政府は公共雇用を来年上半期に早期実施し、農畜水産物の関税引き下げの延長、来年1学期の大学の学費の融資金利(今年1.7%)の凍結、クレジットカードで引き落とした公共交通費の所得控除率の引き上げ(80%)6カ月延長などを推進することにした。来年の電気・ガス料金などの公共料金引き上げに備え、韓電の電気料金の福祉割引対象を増やし、エネルギーバウチャー支援単価も引き上げる。内需消費活性化のために「官公庁公休日規定」の施行令を改正し、来年から釈迦生誕日(旧暦4月8日)とクリスマス(12月25日)が休日に重なる場合、振替休日に指定することも推進することにした。

 輸出・投資支援も拡大する。来年の政策金融のうち貿易金融支援額を過去最大の360兆ウォン(約37兆円)に増やし、来年に限り企業の施設投資増加額(直前3年の平均投資額比)に対する税額控除率を従来の3~4%から10%に引き上げる。税金支援優遇を受ける税法上の国家戦略技術にディスプレイを追加した。また、金融公企業を通じて企業に50兆ウォン規模の施設投資資金を支援し、バイオヘルス、モビリティ、エネルギーなどの規制緩和も急ぐことを決めた。

 政府は来年、労働・教育・年金の3大構造改革、金融・サービス・公共の3大革新も本格的に推進し、中長期的な経済体質を改善すると述べた。未来モビリティ、宇宙探査、量子技術などの15大プロジェクト中心の新成長4.0戦略推進を通じて「国民所得5万ドル」達成という長期構想も発表した。

 今回の経済政策方向は、韓国経済が来年上半期には景気が下降するものの、下半期には回復するということが前提となっている。来年の消費者物価上昇率(前年比)が3.5%で、今年(5.1%)より安定するだろうという予想も反映している。しかし、景気の不確実性があまりにも大きいため、見通しが覆される可能性は排除できない。来年上半期に財政を集中的に使い、下半期にも景気下降が続いた場合は、補正予算編成に乗り出すしかないという可能性が提起されているのもこのような理由からだ。

 LG経済研究院のチョ・ヨンム研究委員は「主要国ごとに景気低迷に陥る時期が異なるうえに、来年初めから上半期に金利の高点に達するとすれば、金利が実体経済に及ぼす余波の時差を考慮すると、韓国経済は来年に『上高下低』の景気の流れを示す可能性が高い」とし「来年上半期に財政を繰り上げたが、下半期に財政空白が生じ、補正予算が必要だという話が出る可能性が高い」と述べた。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1072643.html韓国語原文入力:2022-12-22 09:11
訳C.M

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