視覚障害者用ノートパソコン、読書拡大器、両腕血圧測定器…。
視覚障害者の情報通信利用をサポートする工学機器や医療補助機器を開発・生産するセルバスヘルスケアが世に送り出した製品のリストだ。「世界初」か、少なくとも韓国国内にはライバル製品がない。
16日に大田市儒城区新城洞(テジョンシ・ユソング・シンソンドン)の同社オフィスで会ったセルバスヘルスケアのユ・ビョンタク代表は、「障害者向けの情報通信利用補助工学機器は、内需市場だけでは生き残れず、医療補助機器市場は競争が激しい。『差別化』と『グローバル化』でこうした難関を突破している」と語った。そして「今年は昨年(224億ウォン、約19億8000万円)より10%ほどの売り上げ増と、国外で売り上げの60%ほどをあげることが目標だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行で輸出が伸び悩んでいる」と付け加えた。
視覚障害者向けのノートパソコン(モデル名「ヒムス・ハンソネ5」)は点字画面を備えた視覚障害者向けの情報通信補助工学機器だ。入力は専用キーボードで、内容は点字画面で見る。大きさや色別に様々なモデルがある。ヒムスのチーム長イ・ヨンソさんは「サムスン電子のチップとグーグルのアンドロイドOSを搭載し、グーグル・モバイルサービス(GMS)認証も取得した。グーグルドックス、Gメール、グーグルマップなどをすべて利用できる。画像や動画を見られないだけで、点字を使ってインターネットを検索し、非障害者たちと電子メールをやり取りすることもできる」と話した。
読書拡大機(センスビュービジョン)は、文書の細かい文字をコンピューターのモニターに表示し拡大して見ることのできる情報通信補助機器だ。機器に付いているカメラを文書に合わせ、専用マウスで文字のサイズを視力に合わせて拡大して見ることができる。ユ代表は「老眼の激しい高齢者は老眼鏡での読書に不便を感じることが多い。そのような方に役立つ製品」と紹介した。
両腕血圧測定器は、片腕のみで測る従来の血圧測定器と違い、両腕の血圧を同時に測る。セルバスヘルスケアは、両腕同時血圧測定器の技術で、韓国や米国などで特許を取得した。ユ代表は「両腕の血圧を同時に測定し、差があれば脳や心血管に疾患のある疑いがある。今回取得した特許をもとに、両腕の血圧測定が可能な家庭用自動電子血圧計も発売する考え」と述べた。
セルバスヘルスケアは1999年に情報通信補助機器専門企業として発足した。その後、医療補助機器メーカー(チャウォンメディカル)を買収し、規模を拡大した。今は人工知能(AI)ソリューション専門企業セルバスAIの子会社だ。ユ代表は「障害者向けの情報通信補助工学機器だけでは生存が難しいと判断した。その後、血圧測定器や体脂肪分析器のような医療補助機器に領域を広げ、日本、オーストラリア、カナダ、米国、欧州連合、中東など福祉の整備された国に目を向けた」と述べた。セルバスヘルスケアは、視覚障害者向け情報通信利用補助工学機器の技術力と世界シェアで米国のヒューマンウェアと双璧を成す。昨年の売上は224億ウォン。だが、34億ウォン(約3億円)の営業損失を出した。ユ代表は「障害者向けなので需要が限られている一方、研究開発費が多くかかる。130人いる職員のうち30人が開発者だ。製造単価も高く、オーダーメイド型が大半を占める障害者用補助機器市場固有の特性のためでもある」とし、「今年は営業利益で黒字を予想している」と語った。
この日、セルバスヘルスケアでは、科学技術情報通信部のチェ・ギヨン長官の主宰による現場懇談会が開かれた。韓国情報化振興院のムン・ヨンシク院長や政府の「デジタル包容」政策担当者らが、障害者情報通信補助機器の開発・製造企業の代表たちと会談し、市場活性化策について議論し、問題点を聴いた。チェ長官は「COVID-19を契機としてデジタル社会への転換が加速しているため、脆弱層を含むすべての国民がデジタルの恩恵を享受できるようにすることが何よりも重要だ。高齢者や障害者などが、不便なくデジタル情報とサービスにアクセスできるようサポートする技術を開発する企業の役割が、いつになく重要だと考え、今後、情報通信補助機器の技術開発と海外進出の支援を拡大していく」と述べた。