韓国の航空産業は最近10年間、旅客と貨物ともに伸び(年平均それぞれ8.4%、3.2%)を見せたが、今年第3四半期までの大型航空会社の営業利益率は0%、格安航空会社は-1.7%だ。表は華やかだが、中は空っぽの「外華内貧」だ。国際線航空需要は2008年の世界金融危機、2015年のMERS蔓延、2017年のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備で揺らぎ、今年は日本との対立のために1兆ウォン(約940億円)程の売上減少が予想される。それでも韓国人の国外旅行(アウトバウンド)が支えていた国際線の需要は、人口減少や高齢化、経済成長の減速で停滞する可能性が高い。19日、政府ソウル庁舎で李洛淵(イ・ナギョン)首相主宰で開かれた国政懸案点検調整会議では、このような航空産業危機状況を打開するための競争力強化対策が議論された。
政府はまず、地方空港を育成し、外国人観光客の流入通路として活用する計画だ。務安(ムアン)・襄陽(ヤンヤン)・清州(チョンジュ)空港を外国人観光客の誘致に向けたモデル空港に指定し、モデル空港に新たに就航する航空会社に最大3年間空港施設使用料を100%減免し、個別観光客誘致のための商品開発には1億ウォンが支援される。外国人観光客をチャーター機の形で集めてくる旅行会社に支給する支援金は、現行の300万ウォン(約28万円)から500万ウォン(約47万円)へと引き上げ、国外オンライン旅行社の広告費用も支援する。金海(キムヘ)・大邱(テグ)空港には中・長距離の国際路線の開設が推進され、国内線専用の蔚山(ウルサン)・麗水(ヨス)・浦項(ポハン)・泗川(サチョン)空港も国際線の不定期便を拡大する計画だ。
仁川空港の時間当たりの運行可能回数(スロット)は、現行の65回から70回に増える。仁川空港は第2ターミナルの開港など着実に拡張しているが、出入国審査人員不足で空港容量比の活用度は77%に止まり、新規就航・増便が難しかった。法務部の出入国審査人員が増員される来年には、年間で航空便が1万6千回、国内航空会社の売上は7700億ウォン(約724億円)増えるものと期待される。軍部隊と施設を共有している金海空港も、運航可能な回数を増やすために軍と協議中だ。
運送だけに集中していた航空産業の育成も多角化する。外国依存度が54%に達する航空整備産業(MRO)を育てるため、政府はまず、防衛事業庁兵器体系の導入と連携し、整備技術を確保する計画だ。金浦空港は格安航空会社の軽整備、泗川空港は重整備、仁川空港は貨物機の改造とエンジン会社の誘致など、役割を分担させて航空機整備産業を発展させるというのが政府の構想だ。航空機部品、整備業者など関連企業を誘致し、これに基づき空港周辺を経済・物流のハブとして造成できるよう、仁川国際空港公社に都市開発事業の施行資格も与える計画だ。
航空安全管理も強化する。ヒューマンエラーによる障害を減らすため、パイロットの過失のリスクが大きい離着陸と非正常訓練を年4時間から6時間に増やし、1年未満または行政処分履歴のある機長の技量を来年3月までに特別審査する予定だ。安全問題に脆弱な航空会社には担当監督官を1人から2人に増やし、運輸権の配分などに活用している安全度評価も強化する予定だ。
国土交通部のクォン・ヨンボク航空政策室長は、「航空産業は低成長時代にも高い成長潜在力を持ち、国家レベルで戦略的に育成する必要がある」とし、「対外環境の悪化で困難に直面している韓国の航空産業が成長できるよう、新しい政策を発掘し、積極的に反映した」と述べた。