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[週刊ハンギョレ21]東大門からSPAへと変貌する韓国の大型ショッピングモール

登録:2015-02-22 23:57 修正:2015-03-01 08:35
・一時期脚光を浴びた分譲型ショッピングモールは没落の途に
・“SPAブランド”の成長が都心ショッピングモールの新たな活路に
・都市が立地とブランドで特化したショッピングモールの角逐場に
ユニクロ・ZARAなど低価格SPA(製造小売)ブランドの成長は、都心の大型ショッピングモールの代案としての活路になった。ソウルの大型ショッピングモールはSPAブランドを核心売場として誘致し顧客を集めている。 チョン・ヨンイル記者//ハンギョレ新聞社

 1998年ソウル、東大門(トンデムン)のミリオレは外国為替危機の余波の中にありながら成功裏に分譲を終えた。 衣類の生産と流通の中心地であるのに開発が遅れた環境の東大門市場に造成された高層密集型の大型ショッピングモールは、新しい流通活路として既存の商人たちの全面的な支持を受けた。これに力づけられて翌年の1999年、東大門の斗山(トゥサン)タワーが開場した。 ミリオレが東大門の小売商を吸収したとすれば、斗山タワーは卸売商を吸収する戦略で勝負した。 成熟した商圏と共に成長した多くの商人、すなわち十分な分譲需要と公共交通が密集している高いアクセシビリティを背景に、高い土地価格に対応する高密度開発が新たな商店街開発形態として脚光を浴び始めた。 開放型空間として設計された大型建物に、あたかも駐車場のように床に線を引き、2千内外の商店空間を配置した後にこれをそれぞれ分譲する形だった。明洞(ミョンドン)ミリオレは2003年に賃貸分譲した約400の商店空間を登記分譲に切り替えたが、4坪型1店舗空間の分譲価格は、1階で2億3500万ウォン(1円=9ウォン)、2階で1億8800万ウォン、5階で1億4千万ウォンに達した。

小規模衣類商人に直撃弾

 高密度の都心型分譲商業空間は事業性に確信が生まれると主要商圏はもちろん全国各地に雨後の筍のようにでき始めた。 ミリオレは2000年と2001年に明洞を筆頭に釜山と大邱(テグ)、京畿道水原(スウォン)、光州(クァンジュ)店を順に開店した。このような熱気は2003年に東大門のもう一つの分譲型大型ショッピングモールであるグッドモーニングシティ事態で上り詰めた。 土地を購入する前に商店空間を分譲したものの、その後土地価格で合意に至らず、土地の買い入れが遅々として進まない間に事業進行が困難に陥り、詐欺分譲事件までが起きた。

 その後、分譲型商業空間ビルは没落の一途を辿った。 商圏の底が浅い地方のショッピングモールの未分譲物件が急増した。 遅れて開発に参入したソウル市内のショッピングモールがその後に続いた。 グッドモーニングシティ詐欺分譲事件は、好況の末期によく現れるハプニングに過ぎなかった。問題はさらに根本的なところにあった。 東大門と南大門(ナムデムン)、明洞に代表される低価格衣類市場の地図が急速に塗り替えられていることが問題だった。 すなわち2000年代中盤に登場したユニクロに代表されるSPA(衣類の企画・デザイン・生産・製造・流通・販売の全過程を一業者が管理する)ブランドが低価格衣類市場を蚕食したためだ。 東大門と明洞の衣類商人が昌信(チャンシン)洞などの低賃金縫製工場を背景に各個躍進を行っている間、SPAブランドは製造から販売までの垂直系列化を通した価格および品質の合理化を武器に都心の大型売場を通じて流通のじゅうたん爆撃を加えた。

 韓国進出の初年度に300億ウォン規模の売上をあげたユニクロ(韓国法人はFRLコリア)は2007年340億ウォン、2008年725億ウォン、2009年1226億ウォン、2010年2260億ウォン、2011年3280億ウォン、2012年5050億ウォン。 そして2013年の6940億ウォンに続き2014年8月基準(2013会計年度、2013年9月から2014年8月)には8954億ウォン(約900億円)を記録した。ユニクロの爆発的な成長は中・高価格ブランドの消費者を吸収すると同時に、既存の低価格衣類消費者を急速に蚕食することによって、小規模衣類商人に直撃弾を飛ばした。 分譲型ショッピングモール需要の根幹が消えたわけだ。 賃借人である衣類商人が没落する間に、商店ビルを所有する商人は新たな活路を模索することができた。 都心に大規模倉庫型売場を運営するユニクロの特性上、一部のショッピングモール所有者はユニクロの賃貸人に変身できたためだ。 ユニクロやZARAのようなSPAブランドの成長は、都心のショッピングモールの代案となる活路を切り拓いた。

 ユニクロとSPAブランドの成長は、都心の大型ショッピングモールの新しい秩序を代弁する。 ユニクロやZARAが入居したショッピングモールは、他のショッピングモールに比べて集客能力が顕著に高まった。 これらが運営する大型売場を訪ねる消費者は、ショッピングの合間にショッピングモール内にあるカフェで喉を潤し休息を取ったり食事を済ませた。 ユニクロが近所にできたカフェやレストランを養う形になったのだ。 いわゆる“キーテナント”(Key Tenant)と呼ばれる有名衣類売場、デパート、マルチプレックス(複合上映映画館)等の入店による集客能力の差がショッピングモールの運命を決めることになることも明らかになった。 以前のショッピングモールが個別商人間の角逐場だったとすれば、今はその都市が立地とブランドで特化したショッピングモール間の角逐場になったのだ。

有名SPC売り場を競争的に誘致

 2000年、三成(サムソン)洞に公演会場およびコンベンションセンターとともに誕生したコエックスモールはこのような状況が反映された複合ショッピングモールの草分けだ。 300店舗に肉迫する衣類・雑貨店と飲食品売場が立ち並んだモールを通過すれば、マルチプレックス(メガボックス)や大型書店あるいは水族館に到着できた。 今や複合ショッピングモールはショッピングだけでなく、都市の余暇生活全般を一つの場所で提供することを目標に設計されている。 龍山(ヨンサン)駅のアイパークモール(2006)、永登浦(ヨンドンポ)のタイムスクエア(2009)と新道林(シンドリム)のティキューブシティ(2011)、汝矣島(ヨイド)のIFCモール(2012)、そして最近一部開場した第2ロッテワールドまで、ホテルとオフィスなどの背後需要のための施設と共に複合ショッピングモール内に劇場、大型書店、マルチプレックスなどを備え、有名外食フランチャイズ ブランド(SPC)売り場を競争的に誘致した。 これらのそばにはカフェとレストランがある。

 複合ショッピングモールの競争で最近の流れを最もよく反映しているのは、何よりも占有率競争のために売場を攻撃的に拡大している低価格SPAブランドとショッピングモール内の食堂街の差別化戦略だ。 自動車保有率が高い中・壮年中産層を主たるターゲットとする郊外アウトレット ショッピングモールとは違い、都心に位置する複合ショッピングモールは主に公共交通を利用する20~30代と週末顧客が集中攻略の対象だ。 最近開場した第2ロッテワールドは、中産層攻略のためプレミアム食品館と高級レストランのようなソウルの主な美味しい店をショッピングモール内に誘致し、1人当り1万ウォン(約1000円)内外のメニューで食事ができる店を多数配置した。 自力で大量の顧客を誘致できるキーテナントの役割が重要になると、ショッピングモールの収益戦略も変わらざるをえなかった。 有名SPCブランドやマルチプレックスの誘致競争のために、定額賃貸料の代わりに収益の一部を手数料として受け取る形態で優待する。 代わりにこれらの集客力を根拠に残りの賃貸空間では賃貸料収益を得る戦略を取る。 したがってショッピングモール全体の運営収支を合わせるために、入居者と交渉し調整して、これをショッピングモールの設計段階から反映することが重要になった。 結果的に知名度が低い業者は、有名業者に近い場所を確保するために追加で賃貸料負担を負うことになる。

 都市の余暇生活を立体的に再構成した2000年代初期の複合ショッピングモールは、国民所得3万ドル時代の到来とともに高まった消費水準を充足する文化的消費需要に対応するための戦略として、未来の流通形態として脚光を浴びるだろうという展望と共に提示された。 文化的消費は所得と消費の両極化によりやや異なる形態で現実化された。複合ショッピングモールは中産層だけでなく、低所得層をも都市の余暇生活を立体的に再構成した散歩者の空間に引き込んで、彼らの時間を空間の価格に変えている。 複合ショッピングモールはその代価として都市の規模に比べて非常に不十分なパブリックスペースと夏と冬の苛酷な天候を和らげる冷暖房施設を提供する。 都市の低所得層にとってモール散歩はちょうどこのくらいの意味なのかもしれない。

パク・ジェヒョン視覚創作集団「オプティカルレース」構成員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015/02/21 17:45

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/679099.html
訳J.S(3841字)

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