独立が可決すればEU加盟国の資格喪失
関税恩恵撤回でウイスキー価額は上昇
北海の石油輸入にも影響予想
ポンド貨変動は金融市場の不安要因
21世紀の“ブレイブハート”を夢見るスコットランドが、およそ300年ぶりに英国から分離独立する住民投票を翌日に控え、投票が可決される場合の国内経済に及ぼす影響を巡る論議が入り乱れている。 スコットランドと韓国の貿易規模は大きくはないが、独立が可決されればヨーロッパ連合(EU)加盟国の資格を喪失することが予想され、自由貿易協定(FTA)にともなうウイスキーや原油などに対する関税恩恵撤回が予想され、国際外国為替市場など金融市場に及ぼす余波も憂慮される。
17日、韓国貿易協会と関税庁などの話を総合すると、スコットランド経済は金融業とスコッチウイスキー製造業、北海油田原油販売などの比重が大きく、交易構造上韓国の実物経済に影響を及ぼす余地は大きくはない。 だが、スコットランドの分離独立は英国に対する政治、軍事、経済への波及効果があまりにも大きく、英国の国際的地位を揺さぶり国際的基軸通貨でもあるポンド貨の地位を揺さぶる可能性が大きい。
実物経済の面では、2011年7月の韓国とEUとの自由貿易協定発効で関税恩恵を大きく享受したウイスキー市場と英国産原油輸入に対する波及効果が予想される。 スコットランドの代表的生産品であるスコッチウイスキーは輸入関税が20%と高かった。 だが、自由貿易協定発効後、直ちに15%に下がり、以後毎年5%ずつ関税が縮小され、今年7月からは関税が撤廃された。 年間13億本を輸出するスコッチウイスキー業界で、韓国は輸入7~8位を争う大手顧客で、関税の原状回復は価額上昇を招く可能性がある。
国内原油輸入先の多角化戦略にも支障が予想される。 “ブランド油”と呼ばれる英国 北海油田の原油輸入は、国内精油業界では2002年以来数年間にわたり一度もなかったが、2011年に関税3%が撤廃され導入物量全体の0.3%に該当する306万4000バレルが初めて輸入され、今年は1~7月の輸入物量だけで2011年の7倍程である2059万7000バレルに急増した。 ヨーロッパ産(英国)原油の導入量は今年前半期には中東産とアジア産に続き地域別導入比重3位(5.1%)を占める程に増加した。
だが、スコットランドが独立すれば北海油田の80%以上を得ることになり、この地域の原油が関税恩恵から排除される可能性が高い。 こうなれば、運送期間が40日で中東産の二倍もかかるので輸送費が高くなり、原油価格変動のリスクも大きいヨーロッパ産は国内で再び競争力を失うことになる。
こうした背景があるためスコットランドはEU加盟国の地位維持を希望したが、EUは再加入の手続きを踏まなければならないという意見を公式化している。 EUへの再加入は、すべての加盟国の同意を得て可能だが、EUの主要国がスコットランドの独立に否定的反応を示している状況で再加入は容易でない可能性もある。 実際、2008年セルビアから独立したコソボは、EU加盟国の資格を喪失し、スペインの反対で今もEUに再加入できていない。
国際金融市場の不安定化は時差を置いて国内実物経済に反映されるため憂慮が更に大きい。 最近ポンド貨が米ドル貨対比で劣勢を続けているが、独立が決定されれば相当な余波がありえる。 また、英国経済の地位弱化は、それでなくとも回復が遅いEUの景気回復にも冷水を浴びせ、対外輸出景気に大きな影響を受ける韓国経済にも暗雲をもたらすだろうという展望が出ている。
KDB大宇証券のイ・スンウ チーム長は「スコットランドが独立すれば、基軸通貨であるポンドの地位が動揺し、短期的には国際金融市場に大きなショックを与え、実物経済への影響は少し時差を置いて現れるだろう」とし「ヨーロッパ金融市場の混乱はグローバル消費の3分の1を占めるヨーロッパの景気の追加萎縮、中国の対外輸出鈍化につながり、中国輸出への依存度が大きい韓国経済にも打撃を与えることになりうる」と指摘した。