LG電子が先月30日「105インチ曲面UHDテレビ」を韓国で発売した。サムスン電子もこれに先立って世界最大の「110インチ平面UHDテレビ」と「105インチ曲面UHDテレビ」を売り出した。 国内の二大家電メーカーが高画質超大型テレビ市場で競い合っている。ほぼ同等のスペックを持つ両社の105インチUHD曲面テレビの価格は1億2000万ウォン(約1200万円)! 110インチUHD平面テレビはなんと1億6000万ウォン(約1600万円)だ。 驚きの‘オッ(億)’と声が出る販売価格だ。
家電企業のマーケティングでは「自宅マンションの坪数+20」が適当なテレビのサイズだとされてきた。そのため20~30坪台のマンションが多い韓国市場では40~50インチが大勢を占め、150万~200万ウォンの価格で良質な製品を買うことができた。注文生産で販売をするとはいえ、首都圏マンションの伝貰(チョンセ:高額な保証金で住宅を借りる賃貸システム)の保証金に近い高値で、キングサイズのベッドより大きなテレビが売れるのだろうか。
製品を発売して間もないLG電子の担当者は、「まだ注文した顧客はいない」と率直に話した。先に発売したサムスン電子は、「数字は公開できないが、多いとは言えないながらも着実に注文がある」と答えた。参考までに、現在までに高画質超大型テレビを購入した国内の顧客で公開されたのは大統領府だけだ。大統領府にはサムスン電子の110インチ平面UHD テレビ2台が設置されていて、政府の世宗(セジョン)庁舎との映像閣僚会議に使われている。
今のところ、両社とも国内の個人顧客を対象にした高画質超大型テレビ市場が生まれるとは期待していないようだ。富裕層に狙いを定めた新世界百貨店本店と江南(カンナム)の二カ所でだけ両社が製品を展示しているのもこのためだ。国内市場では大画面を利用したテレビ会議システムなどを必要とする政府機関や官公庁、大企業などを潜在的な顧客と見ている。
ただ、韓国とは異なり、欧米をはじめとする先進国市場、中東や中国など大富豪が多い海外市場では、VVIPなど個人顧客も攻略できると考えている。サムスン電子が110インチ平面UHDテレビを発売した時、中東では即日10台が販売されるなど、市場の可能性が十分にあるという。
とはいえ、1億ウォン台のテレビ市場の需要は大きくはない。大量販売される製品でもないのに韓国の家電業界が高画質超大型テレビを先を争って売り出した理由はなんなのか。テレビは製品交換周期が5年と比較的長いが、すでに全世界の市場で飽和状態に達していることに理由がある。中国企業が群れを成して低価格攻勢を繰り広げている状況で、韓国企業は技術面での‘プレミアム’を打ち出して差別化を図ろうとしているわけだ。また、今すぐには売上に大きく寄与できないとしても、技術力を誇示しブランド認知度を上げることはできるという期待もある。
イ・ジョンエ記者 hongbyul@hani.co.kr