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電気料金改編の‘雷管’累進制、その困った真実

登録:2013-09-25 19:13 修正:2013-09-26 06:47
[経済ズームイン] 電気料金価格体制どのように変わるだろうか
政府が10月に出す電気料金価格体系改編案では‘累進制’が核心争点に浮上する展望だ。 電気の灯で明るいソウル市内の夜景. イ・ジョングン記者 root2@hani.co.kr

最低・最高区間 累進率 11.7倍
他国に比べて料金増加幅 大
夏季‘電気料金爆弾’の原因

1~2人世帯比重が高まり
庶民層保護趣旨も弱まる

累進率調整幅によって悲喜交錯
改編議論の度に難航が常
10月改編案も熱い論議 予想

"奇形的累進率を正す一方
エネルギー福祉実質的強化が望ましい"
専門家たち、脆弱階層割引など挙論

 産業用料金値上げ有無とともに住宅用電気料金の累進制改編が俎上に上がった。 多く使うほど単位料金が高くなる累進制は、改編議論が出てくるたびに途方もない抵抗に直面してきた。 国民の料金体感効果が最も大きいうえに、ややもすれば中産・庶民層の負担が増えてはならないという世論が足を引っ張ってきたためだ。

 ソウル龍山区(ヨンサング)二村洞(イチョンドン)に住むチョン・スンオク(65)氏は、数日前に8月分の電気料金告知書を受け取った。 4人家族のチョン氏一家が先月使用した電力量は581Kw hで、賦課された料金は19万6710ウォンだ。 去る3月分の料金(8万2910ウォン・405Kw h)に比べて2倍以上高い。 チョン氏は「昨年夏は20万ウォンを遥かに越えた料金告知書を受け取った記憶があるので、今年はエアコンをほとんど使わなかったつもりだが、普段よりはるかにたくさん賦課された」とこぼした。 毎年、電力消費が多い夏になればチョン氏のような不満を吐露する人々が少なくない。 不満の核心は使用量の増加に比べて料金増加額が過度に大きいという点だ。

 このような料金引上げ効果は、我が国の電気料金制度の累進構造によるものだ。 経済協力開発機構(OECD)国家の平均値に比べれば我が国の住宅用電気料金は54%水準であり安い。 だが、累進制が適用されているという点を考慮すれば単純比較は難しくなる。 現行累進段階は月100Kwhを単位に6区間に分かれており、最低区間である1段階と最高区間である6段階の料金比率(累進率)は11.7倍に及ぶ。

 セヌリ党エネルギー特別委が先月21日、住宅用累進制を3段階に緩和しようという案を出したのも、過度な累進率で一般家庭が‘料金爆弾’にやられたという世論をなだめる目的が大きかった。 しかし、このような方案は直ちに‘逆風’を迎えた。 電力消費が多いのに料金恩恵は多く受けてきた産業用電力料金に対する議論が全くなかったことに対する反発がある上に、累進率の調整が庶民層の負担は増やし富裕層の料金は割り引くのではないかという疑問を産んだためだ。 来る10月に政府が出す予定の電気料金価格体系改編案でも‘累進制’が熱い論難を呼び起こす‘雷管’になる展望だ。

■ ‘オイルショック’で導入された累進制の歴史

 住宅用電気料金に累進制が導入されたのは1973年‘オイルショック’を経てのことだ。 それ以前も政府は電気がだぶついているため‘体感料金制’を施行するなど格別の措置を使い続けた。 消費促進のために電気を多く使うほどに割り引いたのだ。

 本来の累進制導入趣旨は一般家庭で電気を節約して使うようにすると同時に、暮らし向きが苦しい庶民層に配慮しようということだった。 当時はテレビなど電子製品を保有していれば富裕層に分類された。 所得と電力使用量が概して比例していたという話だ。 チョ・ヨンタク ハンビッ大教授(経済学)は「累進制は朴正熙大統領時期、電気は節約しなければならないが工場を止めてはいけないから、各家庭では不便でも節電しろとの趣旨で作られた‘開発連帯’の象徴」と説明した。

 1974年に制度が初めて導入された当時には、累進率(累進区間および最低-最高区間料金比率)が3段階で1.6倍に過ぎなかった。 以後に累進率は国際石油価格水準と電力需給条件によりゴムひものように増減を繰り返した。 2次オイルショックを体験した1979年には何と12段階19.7倍まで広がりもした。 以後1980年代に値段が安い原子力発電が増える中で累進率は1989年に4段階4.2倍へと再び低くなった。 以後、電力需要が全般的に増える中で1995年(7段階13.2倍),2000年(7段階18.5倍)改編過程を経て、現在の累進率は2004年以後固定されている。

 このような累進率は日本(1.14倍),米国(1.1倍),中国(1.5倍),台湾(1.9~2.4倍)等、累進制を施行する国々の累進率と比較すればかなり高い方だ。 使用量が少ない区間の料金は過度に安く、使用量が増えるほど料金増加幅が過度に急騰する盲点を抱いているわけだ。

 韓国電力公社関係者は「昨年の住宅用電気料金原価(144.9ウォン/kW h)水準の月間使用量は325Kwh(4万7050ウォン)だ。 それ以下は原価より安く、それ以上は原価より高い料金が賦課されている」と話した。 全世帯の中で67%の月間使用量が300Kw hを下回る水準ということを考慮すれば、低価格の料金恩恵を受ける比重がかなり大きい。 もちろんこれらの世帯も夏のように電力需要が多い季節には使用量が増えるので不意に‘料金爆弾’に当たる対象になりうる。

■累進制改編を巡る困った真実

 累進率の緩和議論が触発されたのは‘庶民層保護’という当初の趣旨が大幅に弱まったという指摘に従ったものだ。 もはや昔のように電気を少なく使えば貧しく、多く使えば裕福だといった定規を突きつけるのは難しくなったためだ。 電気の使用量が少ない1~2人世帯の比重が1995年の29%から昨年は51%に急増したが、これら世帯が所得水準とは関係なく過度に安い電気料金の恩恵を受けているということだ。 セヌリ党エネルギー特別委は「基礎受給者・次上位階層の70%が150~400Kwh区間に分布しており、累進制による直接的被害を受けている」と主張した。

 家電製品普及が拡大して、気候変化にともなう冷暖房需要が増えるなどの環境変化も考慮しなければならない点だ。 月300Kwh超使用世帯の比重は2002年12.2%から昨年33.5%に増加した。 チョン・ハンギョン エネルギー経済研究院電力政策研究室長は「累進率を緩やかに調整し、夏と冬など電力消費が必ず必要な時には使えるよう‘厚生権’を保障しなければならない。 いつまでも蒸し暑くてもエアコンを消せとばかりは言えないのではないか」と話した。

 このような必要性にも関わらず累進制改編議論は毎年難航してきた。 何より大きな難関は、もし中産・庶民層の料金負担を増やして民心を失うかと神経を尖らせる政界にある。 昔から電気料金はよく‘電気税’と呼ばれてきた。 それだけ料金変化に対する国民の関心も高い。 電気料金制度改編案が高位官僚と国会に行くほど翻意される場合が頻繁だったのもこのためだ。

 最近セヌリ党が累進率緩和方案を提示しながら、1~2段階(200Kw h)区間は現在の水準にして、電力消費が著しく多い区間(900Kwh超過)に対しては料金をさらに多く負担するようにすると明らかにしたのもそのためだ。 それでも具体的に累進率を調整してみるならば、これまで過度に安い料金を割り与えられてきた世帯に対する料金引上げは避けられないように見える。 例えば累進段階が減ることになれば、1段階区間の料金を納めていた人が2段階と同じ水準の料金を納めなければならないことになりうるためだ。 産業通商資源部が去る2月に国会に提出した累進制緩和関連シナリオ例示案を見れば、3段階を3倍水準に変える場合、月250Kwhを使う世帯は4286ウォンずつ多く出さなければならず、350Kwhを使う世帯は5379ウォンずつ少なく出すことになる。 調整幅をどのようにするかにより悲喜が交錯するため敏感だ。

 このために季節別に累進率を変えたり、脆弱階層に対しては必須電力量に対する割引制度を設ける方案なども専門家たちの間で議論されている。 チョ・ヨンタク教授は「奇形的構造であった累進体系を正す代わりに、エネルギー福祉を実質的に強化する方案を導入することが望ましい。 電気料金を現実化する方案と税制を通じて所得再分配機能を備えることは分離して考えるべきだが、これを混在させてはならない」と話した。

ファン・ボヨン記者 whynot@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/604436.html 韓国語原文入力:2013/09/24 22:35
訳J.S(3649字)

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