原文入力:2009-04-20午前09:49:21
[開け経済]イ・ジョンウの経済話
←イ・ジョンウ慶北大教授(経済学)
悪徳私債業者の悪計に嵌ってばく大な借金から抜け出すことが出来ない娘を殺した父親が自殺した事件が2008年11月末に起きた。大学生の娘が友人とショッピングモールをしようとして2007年春に借りた300万ウォンが1年半で6700万ウォンに膨らんだ。巧妙な契約により雪だるまのように増える借金を返そうと私債業者の強要でついにはルームサロンでの売春に追い込まれた娘とその父親の運命があまりにも痛ましい。告訴もなかったが警察が新聞を読み自ら4ヶ月間熱心に捜査して最近私債業者とルームサロン主人を捜し出し拘束する凱歌を上げた。「亡くなった婦女のくやしさが少しでも解ければうれしい」という警察の話が感動を与える。
高利貸の横暴は歴史が長い。アリストテレスは、お金はお金を産むことはできない不姙性があるので利子を受けてはいけないと主張した。中世神学者らも利子を受けるのは神の摂理に外れることとし反対した。それでも利子を受けるべきだとすれば、どんな水準で受けるのが正しいかという‘公正利子’論争は神学者たちにとって重要な討論主題であった。
世界利率の歴史を見れば例外的に利率がとても高い時期・国もあったものの、ギリシャ・ローマ時代から中世・近代に至るまで利率水準は概して高くはなかった。時代と場所は千差万別だが、不思議なことに概して年10%内外だ。しかし貧しい人々の窮乏を利用して高利私債業をする人々はいつでも存在した。これらが人々の目に良く映ったわけがない。それで文学作品中にはシェークスピアの<ベニスの商人>がユダヤ人高利貸業者シャイロックを誹謗・風刺するかと思えば、トストエフスキーの<罪と罰>では主人公ラスコリニコフの殺害対象がよりによって質屋の老婆だ。
朝鮮時代、農村には長利という悪名高い高利貸がいた。糧食が無くなる春窮期に米一升を借りれば秋に収穫し半升のせて返さなければならなかったので、金利は半年に50%であり、1年とすれば100%にもなる搾取的な高金利だった。多くの農民が長利のためにより一層窮乏し両班・地主たちに担保にとられた土地まで奪われ、富益富貧益貧がより深刻だった。<成宗実録>にチョン・チャンソンが「今宰相中で長利を置かない人が誰かいますか」と話す場面を見れば両班・地主たちの高利貸横暴が蔓延していたことが分かる。
現在政府では最高利率を年30%で縛る利子制限法を施行中だ。しかし法は遠く庶民には”のどが捕盗庁”(食べて生きるためには何でもせざるを得ない)だ。中国にもかなり以前から利子制限法があり元・明国の時代には年36%、清国にあっては24%に制限したが特別効果がなかった。庶民金融の機会を拡大する補完的措置なしには法だけでこの問題を解決することはできない。
イ・ジョンウ慶北大教授(経済学)
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/350564.html 訳J.S