<ハンギョレ>が新年企画「格差社会を越えて」を始めると共に実施した世論調査結果を見れば、私たちの社会で格差が最も深刻な分野がどこかという問いに、国民は「大企業と中小企業の格差」を第一に(23.6%)挙げた。 「不動産と資産の両極化」(17.7%)や「正規職と非正規職間の格差」(14.6%)は2位・3位に押し出された。 これは労働者の十人に九人が中小企業に勤めている状況で、大企業との格差がますます広がるところから来る危機意識を反映した結果と解釈される。 「格差社会を越えて」の7回目は、大企業の各種不公正慣行に苦しめられ押し出される暮らしの空間であるソウル市聖水洞(ソンスドン)の靴工場を訪ねた。
「中国産の低価格攻勢に経営難」 31%
「技能工不足」人材問題解決法を尋ねると
「労働者認定・4大保険適用を」 30%
ソウル市聖水洞(ソンスドン)の製靴業者関係者は、会社運営上最も困難な点として「中国製品の低価格攻勢」を挙げた。 また、元請けと大型流通企業を相手に取り引きする際にはいわゆる「不当な単価切り下げ」が最大の苦痛だと答えた。
<ハンギョレ>が去る4日から14日までソウル市聖水洞の製靴業者30ヶ所を無作為に訪問して責任者クラス(代表・理事・工場長)を対象に深層面接調査をした結果、全体の複数回答の31.0%が「中国製品の低価格攻勢で会社経営に困難をきたしている」と答えた。 次いで経営上の障害物として事業資金調達(24.1%)、人材管理(22.4%)が後に続いた。 「元請け業者の不公正慣行」を挙げた比率も20.6%に達した。 ある製靴業者の工場長は「政府が中国製品に高い関税をかけるべきだ。 今のままでは製靴業者は皆つぶれるしかない」と訴えた。 大型流通業企業との関係で体験する最も大きい困難としては10人に4人(40.4%)が「不当な単価切り下げ」を挙げた。 各種費用の押し付け(21.4%)と手形支払慣行(19%)、注文後の納品拒否(11.9%)も挙がっている。 大型製靴業者に納品しているというある製靴業者代表は「ただでさえ仕事もない状態で大企業の注文を拒否できないだけでなく、抗議などしたら注文量をぐっと減らされる報復に遭う恐れもある」と話した。 大型企業が物量を減らしたり、各種の理由を挙げて納品を拒否する事態が頻繁に起きているというのが関係者たちの話だ。
デパートのような大型流通企業が自ら負担するべき顧客サービス費用を下請け業者に押し付けているという告発もあった。 ○製靴業者代表は「顧客サービスだと言って靴を工場に送ってきて無料修繕を要求する。 オーダーメード水準の品質で作ってくれと言いながら、納品価格は既成靴の価格に合わせろと言う。 そのうえ販売手数料は40%に肉迫している」と不満を表わした。 大型製靴業者の“横暴”のために2年前に取引を絶ったというある製靴業者代表P氏は「年の初めに一定額の靴商品券を強制的に預けておき納品代金として処理する。 泣き面に蜂で20~30%の損害をこうむる“カン(手形割引)”をして現金を工面しなければならない」と話した。
若者がもはや技能工として入ってこないという人材問題の解決策としては「技能工を労働者と認定して4大保険加入などの福祉を拡大しなければならない」という回答が30.0%で最も多かった。 劣悪な労働環境の改善が必要だという共感が形成されたものと分析される。 次いで外国人労働者の受け入れ(23.3%)、工団内のアカデミー等を通した補充システム作り(20.0%)の順であった。 伝統的な徒弟システムを復活させなければならないという回答は2人(6.7%)に留まった。 調査の結果、全回答者のうち76.6%にあたる23ヶ所が“下請け業者”と答えた。 1次下請けが19ヶ所(63.4%)、2次下請けは4ヶ所(13.3%)だった。 元請け業者は7ヶ所(23.3%)に過ぎなかった。 販売経路も「元請け業者納品」が半分以上(51.3%)だった。
イ・ジョングク、キム・ソンシク記者 jglee@hani.co.kr