原文入力:2012/10/03 20:28(2703字)
←1986年国会、憲法改正特別委スタート=国会憲法改正特別委員会が1986年7月30日国会でスタートし第1次全体会議を開いている。 87報道写真年鑑
[経済民主化と私] 屈曲と試練の25年
陣痛の末に1987年憲法改正
119条2項に精神込めて…
政権が変わるたびに
一貫性を失い一進一退
試行錯誤の繰返し…
来年、経済が困難を迎える中
再び足首をつかむ可能性
"国家はバランスの取れた国民経済の成長と安定、適正な所得分配、市場支配と経済力乱用防止、経済主体間の調和を通した経済民主化のために規制することができる。" 経済民主化のための国家の役割を規定した憲法119条2項だ。 大統領選挙を控えて経済民主化が福祉とともに時代精神として浮上した。 財閥グループの役職員も私席では 「経済民主化という時代の大きな流れはもう元に戻すことができないようだ」と打ち明ける。
5・16軍事クーデターで執権した朴正熙政権は1962年経済開発5ヶ年計画に着手した。 政府主導の産業化戦略は‘漢江(ハンガン)の奇跡’と呼ばれる高度成長を持たらしたが、経済の対外依存と貧富格差の深化、巨大経済勢力である財閥の独走という弊害を産んだ。 政府の人為的資源配分という恩恵授与と国民の犠牲の上に立って急成長した財閥は譲歩と節制の美徳の代わりに果てしなき貪欲を働かせた。 キム・ジョンイン セヌリ党国民幸福推進委員長は 「朴大統領時期の1975年から憲法に経済民主化条項を入れる必要があるという話が出ていた」と回想する。 キム委員長は1987年憲法修正作業当時、民正党国会議員として、国会改憲特別委経済分科委員長を務めた経緯がある。
1987年憲法119条2項の誕生過程は順調ではなかった。 財界の代表格である全経連は改憲阻止のために広報対策委員会(委員長 キム・ウジュン大宇会長)を作り、広報対策費として20億ウォンの予算を策定した。 現在の貨幣価値では400億~500億ウォンになる巨額だった。 財界のロビーは大統領府にも影響を及ぼした。 「(改憲案から)憲法119条2項は抜いてはいけませんか?」 1987年‘6・29宣言’で改憲作業が本格化した後、全斗煥大統領は経済関連改憲案を報告するキム・ジョンイン国会改憲特別委経済分科委員長の顔を見つめたという。 キム委員長は踏みとどまった。 「社会が爆発することを防ぐために財閥を制御する法律を作ろうとしても、財界が違憲だとして阻むことができます。 それを事前に防止するためにはこの条項が必要です。」全大統領はついに首を縦に振った。
米国の大恐慌は経済民主化に対する憲法的根拠がなぜ必要なのかを見せる実例だ。 1932年大統領に当選したフランクリン・ルーズベルトはニューディール政策を推進しながら特別議会を招集し、数多くの社会経済改革法案を作った。 だが、その相当数は自由放任主義に染まった米連邦大法院によって違憲判決を受けた。 一例として労働者の団結権・団体交渉権を認め、最低賃金と最長労働時間(週当り60時間以内)を規定して労働者の雇用と賃金を安定させようとする‘全国産業復興法’は労働者と事業者の自由侵害に当るというとんでもない理由でブレーキがかかった。
資本主義の歴史で経済民主化の起源は19世紀末に遡る。 ドイツの初代首相ビスマルクは体制安定のために1870年代病気と労災などから労働者を保護する社会保障制度を相次いで導入した。 彼はブルジョアジー(資本家)の反対に対して「(労働者が結成した)社会主義政党らがますます議会に多く進出している」とし「あなた方自身を守るために譲歩しなければならない」と説得した。 1930年代、米国のニューディール政策は経済再建のために伝統的な自由放任主義の代わりに政府が市場に介入するケインズ主義を採択して経済民主化の新しい一頁を開いた。
韓国国民は独裁権力との長い闘争の末に1987年政治的民主化を成就した。 だが、憲法に経済民主化条項(119条2項)を作って25年が過ぎる中で、過去の圧縮成長過程で生じた財閥の経済力集中と両極化など社会経済的矛盾はなお解けずにいる。
去る25年間、代表的な経済民主化政策としては財閥の経済力集中抑制政策が挙げられる。 財閥を大規模企業集団として指定し、相互出資制限、出資総額制限、財閥所属の金融保険会社の系列会社株式に対する議決権制限、持ち株会社行為規制、系列会社間不当支援禁止など多様な政策を施行してきた。 だが、その相当数は政権が変わるたびに一貫性を失い一進一退して本来の成果を出せない試行錯誤を繰り返した。
財閥の成長果実が一般国民にまであふれてこぼれる落水効果が弱まり両極化が深刻化される状況で、親財閥政策を前面に掲げた李明博政権の逆走行は逆説的に経済民主化が改憲25年ぶりに時代精神として復活する起爆剤の役割を果たした。 民主党のホン・ジョンハク議員は 「財閥は憲法119条2項を否定する根拠として憲法119条1項(大韓民国の経済秩序は個人と企業の自由と創意を尊重することを基本とする)を前面に出すが、現実では弱者の自由と創意が徹底的に無視され1項さえもまともに具現されずにいる」と語った。
改憲25年をむかえた今、経済民主化の風は果たして実を結ぶことができるだろうか? キム・ジョンイン委員長は「誰が大統領になろうが経済民主化と財閥改革をきちんとしなければ、すぐにレイムダック(権力漏水)が起きて政権が長くは続かないため、やらざるを得ないだろう」と自信を示す。 反面、キム・サンジョ経済改革連帯所長は「大統領の任期5年以内に完成できる課題ではない」としながら「来年は国内外の経済状況がかなり難しいと予想されることも経済民主化が困難に陥る口実となる可能性がある」と慎重論を展開した。 経済民主化を遅らせれば、むしろ危機を深めるだけという警告も出ている。 ユ・ジョンイル韓国開発研究院(KDI)国際政策大学院教授は 「歴史的に経済力集中と親企業規制緩和などの反民主的経済は経済危機の根源になる」とし「経済民主化は危機を予防し克服するための最善の構造改革政策」と強調した。
クァク・ジョンス先任記者 jskwak@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/554192.html 訳J.S