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[論争] 大型マート 営業規制は必要か?

原文入力:2012/06/14 19:18(3484字)

←パク・ジュヨン崇実(スンシル)大中小企業大学院長

 大型マートと企業型スーパーマーケット(SSM)に対する義務休業が本格施行されながら、一ヶ月に1,2回ずつ店を休む大型マートと企業型スーパーマーケットが増加している。 最近、民主統合党はこれらの業種に対する義務休業日数を現行の月1~2日から3~4日に強化する内容の流通法改正案を発議することもした。 大型マート営業規制に賛成する側は、伝統市場と中小商人を保護するために必要な措置だと主張する。 だが、一方では働き口が減り、大型マートに納品する農漁民と中小業者の被害が加重されるという反論を展開している。 両者の見解を聞いてみた。

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中小商人・国家経済ために必要

 大型マートおよび企業型スーパーマーケット(SSM)の急速な増加と大型業者間の競争深化は地域商圏の中小流通側に大きな困難を招いた。 去る5年間に閉鎖した伝統市場だけで500ヶを越えており、そこで生計を立てていた商人は10万人をを越えると予測される。 これは企業型スーパーマーケットのために廃業した町内スーパーのケースは含まない数字だ。

 営業時間制限および強制休業は1年365日24時間営業する大型マート、企業型スーパーマーケットと競争する小商工人のためにも必ず必要だ。 事実このような営業時間制限はすでにヨーロッパでは多く施行されている措置だ。 一例としてドイツでは‘商店営業時間制限法’で営業日と営業時間を厳格に制限している。 営業時間および営業日規制は中小商人の生活の質の改善と同時に国家経済的にも非常に大きな意味がある。

 市場経営振興院の調査結果によれば大型マートが3店舗が新しくできれば伝統市場10ヶが閉鎖され、大型マートが創り出す働き口より伝統市場で失われる働き口の方が多いという。 さらに伝統市場と町内スーパー商人はこの業種から退出すれば他の業種への転換が難しい人々が大部分であり、賃金勤労者としての就職も非常に難しいのが実情だ。 社会安全網が不足した現実で、国家が彼らの生計を保障するためには市場競争から退出した人々を国民の税金で国家が抱え込むほかはないだろう。 したがって中小商人が市場から退出する前に国家がこれら零細商人のための保護装置を作り、自活力を備えられるように助けるならば、大鋤を使わずに鍬で防げるわけだ。

大型マートのために商人が没落するが
‘規制=働き口縮小’の連結は無理
消費者の不便も大きな問題にはならない

 大型マートの営業時間に対する規制が中小流通の活性化に実質的な効果が現れるまでは多少の時間がかかる。 最近、消費者1000人を対象にした調査で大型マートでの購買頻度を尋ねると、10%だけが毎週訪れ、22%は月に3~4回、48%は月に1~2回の割りで訪れるという応答が帰ってきた。 この調査結果から見る時、大型マートが休む週に買い物できない消費者は、全体消費者の10%から最大でも32%に過ぎず、常に大型マートで買い物をしない20%の消費者を含む60%の消費者は休業日に大型マートで買い物をできないといっても大きな不便はないとの結論を下すことができる。 結局、半分余の消費者は大型マートで月に1~2回しか買い物をしないために、これらの人々が不便を感じて伝統市場や町内スーパーでショッピングするためには少なくとも1年以上待たなければならないものと予想される。

 それにもかかわらず、大型マート側では営業規制が働き口を減らし、中小企業を倒産させ、消費者の不便を加重させるだけという論理で連日放送と新聞を通じて波状攻勢を繰り広げている。 本当に営業時間規制が中小商人に対する得より社会全般に与える損失が多いと自信を持つならば、大型マート営業時間規制で失われた働き口と倒産の危機に処した中小製造企業がどれくらいあるのか公開的に明白にすることを提案する。 また、この機会に大型マートと企業型スーパーマーケットの無差別的攻勢が引き起こす弊害、例えば地域資本の域外流出や地域生産者の販路喪失、優越的地位を利用した納品業者に対する単価引下圧力などについても是是非非を見分けなければならないだろう。

パク・ジュヨン崇実(スンシル)大中小企業大学院長

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←イ・スンチャン韓国航空大経営学科教授

雇用と流通に悪影響を与える恐れも

 流通は生物と同じだ。 生物が保存と進化を繰り返して変化してこそ生き残ることができるように流通小売店も時代の多様な要求と変化を示し常に変化しなければならない。 そのために政府が法的強制力を動員して市場に介入する際は慎重でなければならない。 現在、政府と一部地方自体団体が大型マートを規制するために施行している月2回の義務休業は根本的に次のようないくつかの問題点を有している。

 先ずは、雇用の失敗だ。去る日曜日には1032の大型マートと企業型スーパーマーケット(SSM)が義務休業に入った。 これは全体(1453店舗)の71%に該当する規模だ。 その結果、6000人の雇用損失が発生したと推定される。 製造業を含むすべての産業の中で‘雇用(直接および間接)誘発効果’が最も大きい産業がまさに流通(卸小売)業なので、これに対する規制は非常に慎重であるべきだ。 流通業は製造業とは違い、一日を単位として市場で要求される物品を仕入れて販売する。 従業員を時間単位で雇用するケースが多いのは、このような理由からだ。 この場合、休業は直ちにその時間帯に該当する被雇用人の失職を意味する。

 第二に、流通の失敗だ。 大型マートに対する営業規制は生産、運送など協力業者の困難につながる。 端的に言えば、週末営業を禁止する場合、野菜と果物など新鮮食品と魚介類などを生産する農漁民だけでなく、それを運送する運送業者が直ちに打撃を受ける。 日を合わせてナマ物を捉えたり育てるということが不可能なだけでなく、新たな取引先を切り開くことも現実的に容易ではない。 1日の休業は彼らに少なくとも2~3日のマイナス効果を持たらすことになるわけだ。

義務休業は労働者の失職と協力業者の困難につながり
中型マート・コンビニエンスストアだけが反射利益

 第三に、風船効果にともなう政策失敗だ。 恐らく最近の大型マート営業規制政策の目標が伝統市場や町内商圏興しに合わされているものと考えられるが、市場が期待通りに動いていない。 従来、大型マートや企業型スーパーマーケットを利用していた消費者が路地商圏からも遠く離れた伝統市場を利用するには明らかに限界があるだろう。 実際、最近大型マートに対する強制休業制が実施され、農協が運営しているハナロマートなど中型マートやアクセシビリティが高い町内コンビニの売り上げが急増している。 特にコンビニの場合、大型マートのように物品割引行事などを実施し、業態の変身も試みているのが実情だ。 もちろんいくつかの伝統市場の一部店舗の売り上げが12%台水準で増加したとは言うが、ソウル基準で226ヶ所の伝統市場で営業する4万9000店舗全体について見た時、売り上げ効果は微小に見える。

 オフラインとオンライン売上を含む我が国卸小売業の年間売上規模がすでに800兆ウォンを越えた。しかし、これを統合的に調整するために必要な専門研究機関は不在状態だ。 こうした中で政治民主化を基に流通経済の民主化を成し遂げるための努力の一環として執行されている現在の規制中心政策が失敗するならば、市場の失敗につながらざるを得ない。 これはすなわち雇用誘発効果が最も大きい流通産業の雇用失敗につながることであり、関連協力業者の生産額減少に直結するだけでなく、経済主体である消費者の不便と消費減少による否定的マクロ経済効果を産むことになりかねない。自由貿易時代が最終的に成功するには自由流通時代を迎えるための流通産業の競争力向上が前提にならなければならないだろう。

イ・スンチャン韓国航空大経営学科教授

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/argument/537805.html 訳J.S