原文入力:2012/05/31 19:57(3767字)
[99%の経済] 協同組合が芽生えた
34年の歴史‘梨花(イファ)堂’主人夫婦 "大企業と競うことはあまりに荷が重い"
フランチャイズ加盟店主人も "本社だけが肥え太るおかしな構造"
パングムトのような共同ブランド協同組合に進化の可能性
ソウル梨花女子大の後門の向かい側の町内パン屋‘梨花堂’は今年を渡せるかどうか息切れしている。 1979年に開業した梨花堂34年の主人、パク・ソンウン(74)おじいさんとシン・ヨンジュ(70)おばあさんは毎日午前5時に起きて夜12時に店を閉める。 今年初め、パリバケット(フランチャイズ形式のパン屋)がすぐそばの建物に入った後‘死力’を尽くしている。
"大企業がウシガエルのように町内パン屋をみな飲み込むでしょう。なんとか生き残ろうと地団駄を踏んでいます。 それ以前より1時間早く起きて1時間遅く店を閉めます。 お客さんにさらにサービスしようということです。そのようにしてかろうじて持ちこたえていますが、今年一年耐えるのが容易でないと思いますね。 (パリバケットと)競うのは手にあまります。 その間、息子が仕事をたくさん助けてくれました。 ところがその野郎までがもう愛着を示しません。 展望がないですから。"
私たちの隣人である町内パン屋が‘絶滅の危機’を迎えている。 2008年に8153店あったが昨年5184店にわずか3年間で35.1%激減した。同じ期間に大企業フランチャイズ パン屋は3572店から5290店に45.1%も店舗数を増やした。 今年初め、町内パン屋の代名詞であるソウル、東橋洞(トンギョドン)のリッチモンドパン屋(弘大(ホンデ)店)が店を閉めた跡にもロッテリアの売り場ができた。 大企業フランチャイズの貪欲が占領したのは町内パン屋だけではない。 コーヒー店とチキン店、さらにはのりまき店までも一気に収めた。 庶民の自営業はすでに無惨に崩れた。
50代のキム・某氏は地方のある大都市でパリバケット加盟店を運営している。 彼は本社の報復を憂慮してインタビュー要請に応じなかったが、徹底した匿名を前提にようやく口を開いた。 キム氏もやはり3年前まで25年伝統の町内パン屋の主人だった。
"パリバケット店に変えろと言ってきたが最初は拒否しましたよ。するとすぐそばにパリバケット店を出すというのです。 仕方がありませんでした。 私たちのような加盟店主は概して4億~6億ウォンを投資しますが、まともに利益を出している人は30%にもならないでしょう。 何年か過ぎれば数億かけて店を拡張しインテリアを新しくしなさいと言ってきます。 それでこそ本社の売り上げを増やすことができるのでしょう。 応じないで持ちこたえろって? 黙って追い出されます。 店の物品は全部本社から高く購入しなければならず、インテリア費用はとんでもないぼったくりです。 本社だけが肥え太って、加盟店は全部大変、おかしな構造ですね。" キム氏は "名誉退職者が世間知らずに加盟店に参入して鼻輪を通されるケースが多い" と話した。
大企業フランチャイズ加盟店の境遇もまた、決してゆるくはないのだ。実際、加盟店主がフランチャイズ本社の不公正取り引きを告発する呼び掛けが相次いでいて、損害を甘受しながら事業を放棄する加盟店も続出している。 町内パン屋と加盟店主の大多数が苦しんで、大企業フランチャイズが一人勝ちするスーパースター効果が強化されているわけだ。
最も大きな問題は解決法が難しいということだ。 「町内パン屋を生かそう」と社会全体が声を上げているが、掛け声倒れに終わっている。 大企業の町内パン屋占領に対する最近の‘社会的合意’は、財閥の事業放棄要求であった。 イ・ブジン会長のホテル新羅は‘アティジェブランジェリー’の持分19%をホームプラスに売却し、シン・ギョクホ ロッテ会長の孫娘であるチャン・ユンソン氏はフランス食料品‘ポーション’ブランドを運営するブリスの持分を毎日乳業などに処分した。 だが、このような持分売却では‘町内パン屋’の境遇は全く変わらない。 相対的に規模の小さい大企業へ主人が変わっただけだ。
←1979年に開業したソウル梨花女子大後門の前の町内パン屋‘梨花堂’主人パク・ソンウン(74)氏とシン・ヨンジュ(70)氏がケーキを売っている。今年初め‘パリバケット’売り場がすぐそばの建物に入った後、売り上げが減って今年一年を耐えるのが難しそうだと話した。 リュ・ウジョン記者 wjryu@hani.co.kr
注目すべき変化は‘協同組合’側から起きている。 私たちの社会でもパン屋事業に対する大企業進出制限と共に協同組合方式の解決法を要求する声が次第に説得力を得つつある。 大韓製菓協会を中心に町内パン屋が共同ブランドを作り共同購入に乗り出そうとする動きも現れている。 パングムトのような共同ブランドが本格的な協同組合企業に進化する可能性も伺える。
キム・ギテ韓国協同組合研究所長は「生き残った町内パン屋どうしが共同ブランドで共同行動できる協同組合企業を設立することが、自ら生き残れる代案」と強調した。 彼は「フランチャイズ加盟店の収益性改善のためには共同購入協同組合を運営する米国のバーガーキングとダンキンドーナッツの事例を参考にする必要がある」と紹介した。ヨーロッパはもちろん市場万能の宗主国と言われる米国ですら協同組合方式が良い働き口と安定した所得を後押しする効果的な装置として作動している。
イ・ウォンジェ ハンギョレ経済研究所長は「町内パン屋のような‘生活経済’では大企業が労働節約的革新を通じてむしろ働き口と所得を減らす社会的逆機能を果たす可能性が高い」として「フランチャイズを含む大企業の小売り流通業進出を制限したり、協同組合と社会的企業方式の事業体にインセンティブを提供しなければならない」と提案した。
我が国では協同組合基本法が発効される12月初めから多様な協同組合企業の設立が自由になる。今までは農協と水産協同組合、生協など8ヶの個別法に定められた協同組合設立だけが可能だった。 キム・ヒョンデ先任記者 koala5@hani.co.kr
パン屋協同組合 どのように作るか
町内パン屋は一人では生き残れない。まず、各地域別に生き残ったパン屋が意気投合しなければならない。 例えばソウル、冠岳区(クァナクク)の町内パン屋20ヶ所が共同出資で‘おいしい冠岳’という共同ブランドの協同組合企業を作るということだ。
共同ブランドの協同組合を作れば持続可能な共同購入および共同広報体系を構築できる。 色々の地域でパン屋協同組合が結成されるなら、皆一緒に集まって協同組合連合会として力を大きくできるはずだ。 パン屋協同組合は‘協同組合同志’である生協や農協の助けも期待できる。 生協ではパン屋を広報しパン屋では生協組合員に割引特典を提供するということだ。
パン屋とチキン店は取り扱い品目が単純だ。 したがって共同購入の費用削減効果を出すのに都合が良く、協同組合化に適合した事業だ。
キム・ギテ韓国協同組合研究所長
アハ! 協同組合
投資家持分利潤を取られないだけ価格引き下げや賃金改善も可能
協同組合企業は利益の最大化を追求しない‘もう一つの企業’だ。 消費者には安く売り、農民の農産物を高く買う‘利益極小化’行動をする。 そのようにしても市場経済で作動できるのか?
昨年デンマーク、コペンハーゲンで労働者協同組合連合会役員を受け持っているスサネ ペストハウセンに会った。 彼に「安く売ってもどうして消費者協同組合が市場で生き残れるのか」という原初的な質問を投じた。 投資家がいないということが協同組合の競争力の源泉だった。
彼は他のすべての費用が0だと仮定して説明した。資本主義の花と言われる株式会社では労働者に賃金75ユーロを支払って清算した自転車を100ユーロで売る。25ユーロの利益を残して、それを投資家が持っていく構造である。
協同組合が株式会社と異なる点は25ユーロを持っていく投資家がいないという点だ。 協同組合企業の持続可能性を支える力もまた、まさに25ユーロの行方に求めることができる。 例えば消費者協同組合では25ユーロを自転車価格の引き下げに投じる。 農民の生産者協同組合ならば、25ユーロを農産物価格をさらに認められる側に使う。 労働者協同組合は? 労働者の給与や勤労条件を改善する財源に25ユーロを回すだろう。
パリバケット加盟店が購買専門担当協同組合を作ると想像してみよう。 その間、本社では食材料の供給過程で暴利を取ってきた。 協同組合では加盟店に供給する食材料を購買原価そのままで供給する。 加盟店の食材料購買原価が大きく下がるということだ。 キム・ヒョンデ先任記者
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/535585.html 訳J.S