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"イ・ゴンヒと三星(サムスン)の区別もできないのか"

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/535121.html

原文入力:2012/05/30 11:54(2753字)

"守旧的進歩"…財閥改革論争

チャン・ハジュン‘左派新自由主義’批判に
チョン・テイン "財閥経営権だけ保護" 反論
イ・ビョンチョン "財閥フレンドリー" 加勢
チャン・ハジュン側 "イ・ゴンヒと三星(サムスン)の区分もできないのか"

朴正熙体制から両極化解決法まで
韓国経済性格論争に広がり
財閥活用-財閥改革 大衝突

 進歩陣営内部の財閥改革論争を起こした糸口は、対称点にある二つの単語を合成したいわゆる‘左派新自由主義’批判からだった。 問題の本はチャン・ハジュン英国ケンブリッジ大教授とチョン・スンイル福祉国家ソサエティー政策および運営委員、イ・ジョンテ<時事IN>記者が一緒に書いた‘何を選択すべきか’(以下、選択)だ。 3人の著者はいずれも進歩を自任したり進歩的という評価を受ける人々だ。 彼らの本が‘意外に’財閥改革と経済民主化を先頭に立って叫んだり実践してきたいわゆる左派または、進歩的経済学者と市民社会団体を正面からぶつかった。 '選択' は 「経済民主化と財閥改革は古い話題だ」と果敢に主張する。それと同時に普遍的福祉の拡大を真の経済民主化の核心だと宣言する。

 ‘選択’は経済学の伝統的主題であった市場と国家の役割で国家を優位に置く。 財閥改革論者や市場改革論者などを含め経済民主化を主張する進歩的学者群に対しては国家の介入より市場を優位に置いているのではないかと疑う。 チャン・ハジュン教授ら3人は「真の民主主義は必ず統制された市場を必要とする」として「左派新自由主義は自由市場の合理性と透明性、効率性に傍点をつけながら国家の市場統制と介入に反対している」と指摘した。 選択は特に進歩・改革陣営の少数株主運動が新自由主義的な株主資本主義の限界を越えられなかったと批判した。

 チャン・ハジュンなど3人の攻撃的問題提起は論争につながっている。 本に対する進歩陣営学界の批判と反論が相次ぎ、本の著者もまた防御と再攻撃に乗り出し論争は韓国経済の方向性論争にまで広がる兆しだ。 最初に論争に火を点けたのは盧武鉉政府時期の大統領府国民経済秘書官を務めたチョン・テイン‘新しい社会を開く研究院’院長だ。 彼が先月13日、インターネットメディアである<プレシアン>に選択とキム・サンジョ漢城(ハンソン)大教授が書いた‘縦横無尽韓国経済-財閥とマフィアの陥穽から脱出せよ’という二冊の本に対する書評を上げたことにより論争に火が点いた。 チョン院長は書評で「空しくも‘選択’は財閥の経営権保護を提示しているだけだ」と書いた。 彼はまた「(財閥改革と)経済民主化運動がその意味を広げられずに消えていくならば、福祉国家運動も同時に力を失う可能性が高い」と語った。 そして‘市民と世界’の共同編集者でもあるイ・ビョンチョン江原(カンウォン)大教授が<プレシアン>にチャン・ハジュンなど3人の主張に答える形式の4回にわたる反論文を揚げた。 イ教授は 「(選択は)株主資本主義か財閥かを二者択一しろとのメッセージを含んでいる」として「事実上、財閥フレンドリーな彼ら(チャン・ハジュンなど3人)の福祉国家論」を批判した。

 チョン・テイン院長やイ・ビョンチョン教授の批判から知れるように左派新自由主義、国家と市場、福祉国家と経済民主化という多少難しい用語に隠された論争の対蹠点は韓国社会の最大権力の一つに浮上した財閥と朴正熙式開発独裁をどのように眺めるかにより決定的に分かれる。 チャン・ハジュン教授らは 「経営権は保障するから、税金をがっぽり納め福祉国家作りを助けてくれ」と言う程に財閥の経営権保障と福祉財源の確保が‘妥協’可能と見ている。 財閥グループの有用性と正当性を擁護したこのような態度が財閥改革のための少数株主運動を繰り広げた財閥改革論者を批判し論争は多少感情的水準まで上り詰めている。 キム・キウォン放送通信大教授は、チャン・ハジュンを「財閥体制改革に足払いをかける守旧的進歩派」と批判した。

 韓国経済の顕在的矛盾と朴正熙式経済モデルの相関関係も論争の的だ。 チャン・ハジュンらは「いわゆる経済民主化論者は(<朴正熙の素顔>で)今私たちが体験している貧富格差の深化と両極化という深刻な問題の主原因が朴正熙体制の遺産である財閥と官冶、土建主義にあると主張」しているが、これは正しい認識ではないと指摘する。 韓国経済が処した問題は30年前の朴正熙のせいではなく新自由主義から始まったという主張だ。 これに対しイ・ジョンウ慶北(キョンブク)大教授は<ハンギョレ21>に「市場万能主義の弊害も大きいが、朴正熙体制の遺産が韓国経済と社会に及ぼした悪影響が途方もなく大きいのに、それに対して目をつむる無関心は本当に驚くべきだ」と書いた。 チャン・ハジュンらは韓国経済の顕在的矛盾の根源を新自由主義に置いた反面、イ・ジョンウ教授らは朴正熙式開発独裁の残滓に大きな原因があるということだ。

 論争が激しくなるとチェ・ビョンチョン福祉国家ソサエティー政策委員が仲裁者として乗り出した。 彼は「株主資本主義打破論者であるチャン・ハジュンらは‘系列会社-グループ体制’の継承に強調点を置いていて、反面 財閥改革論を強調するキム・サンジョ-イ・ビョンチョンらは‘総帥支配体制’の克服を強調している」として「両者共に福祉国家の拡大に同意している」と話した。 福祉という両者の指向するところが同じであるだけに論争が生産的に展開されうるという話だ。

 このような中でも論争は容易に接点を探しにくいほど激しくなっている。 チャン・ハジュンらは28日‘イ・ゴンヒと三星グループの区別もできないのか’という文で「本で財閥が‘不法を犯すことの他には問題がないように(私たちが)財閥合理化論を繰り広げていると非難するのは明白な歪曲で中傷誹謗」としながら「人物(財閥家)と制度(大企業集団)を区別しないでいる」と批判者を狙った。 今後8~10回<プレシアン>寄稿を通じて論争を継続するという意も合わせて明らかにした。 まだ論争はインターネットと週刊誌など制限的な空間に留まっているが、問題の本が経済民主化と福祉、朴正熙式経済モデルの成果と限界などを扱っているので、大統領選挙を控えて社会的論争に次第に広がる可能性が大きい。

リュ・イグン記者 ryuyigeun@hani.co.kr

原文: 訳J.S