原文入力:2011/09/23 22:34(1718字)
イ・ヒョンソプ記者
‘光より速い物質がある’波紋
現代物理学の土台‘揺さぶる’…宇宙誕生から書きなおさなければ
科学者たち "信じられない"…実験信頼度に疑問
事実なら時間旅行も可能 "ニュートリノ、時空を飛び越えることも"
←ヨーロッパ粒子物理研究所全景
ヨーロッパ粒子物理研究所(CERN)が3年余にわたって実施してきたいわゆる‘オペラ’(OPERA・Oscillation Project with Emulsion-tRacking Apparatus)実験研究で‘ニュートリノ’が光より速いことが明らかになったという発表に大部分の科学者は‘信じられない’という反応を示している。1905年に初めて主唱されいかなる理論の挑戦にも動揺することなく‘真理’のように受け入れられてきたアインシュタインの‘相対性理論’を根元から揺さぶるためだ。ソウル大物理学科キム・スボン教授は「実験結果が事実なら、物理学界には天動説から地動説に変わった以上の衝撃」と話した。同様な主張が過去にも何度も提起されたが権威ある研究所の実験結果という点で今回はその重さが違う。
光の速度は‘時間と空間は一つであり、その中で全ては相対的’という相対性理論で唯一変わらない基準であった。唯一質量が‘0’である粒子である光は、理論的に当然一番速い粒子でなければならない。現代物理学の多くの理論はそれを前提に派生して作られた。
だが、極微とは言え質量を持つニュートリノが光よりさらに速いということが事実と証明されれば、この粒子の質量が‘マイナス’であったり、質量があっても光より速いこともありうるということになる。どちらであっても現代物理学理論では不可能なことだ。チョン・ジェスン カイスト バイオおよび脳工学科教授は実験結果が事実である場合「今まで宇宙の誕生から全てのものを説明してきた理論の土台が根本的に揺れる」 として 「人間が宇宙を完全に誤って理解していたという意味」 と話した。
まだ大部分の科学者は実験の信頼度に疑問を示している。米国メリーランド大学物理学部のトゥル~ベイドゥン教授は「(光より速い物質があるということは)笑い話」 としながら 「他の研究陣によって事実と判明される時までは信じられない」 と<AP>通信に語った。CERNもまた、この結果を論文草稿オンライン登録サイト(ArXiv.org)に上げ公開セミナーなどの討論に送られることを期待している。すでに他の多くの科学者らもこの実験の検証に入った。だが、この実験を再現するに足る設備が殆どないということが問題だ。日本の陽子加速研究団や米国のフェルミ研究所程度だけが検証可能だが、2ヶ所の装備はCERNの設備よりは性能が劣ると知られた。
実験の信頼度よりは他の理論で結果を説明してみようとする科学者もいる。ドイツ、ドルトムント大学のハインリッヒ フェスは「実験が事実ならばニュートリノが(光より速いというのではなく)時空間を飛び越えることができる能力を持っていることもありうる」と英国<ガーディアン>に話した。
ニュートリノは太陽が核融合をする時や原子力発電所で核分裂をする時に発生する物質で、全宇宙にぎっしり埋まっているといっても過言ではない。キム・スボン教授は「ニュートリノは原子の10億分の1の大きさにしかならない物質で、人の親指の爪大の面積に1秒に1000億個以上が通過するほど多い」として「だが、他の物質とほとんど反応しないために今のところは実体が殆ど知られていない」と話した。
光より速い物質があるならば空想科学の領域と考えられてきた時間旅行が理論的に可能になる。相対性理論では光の速度で動く場合、時間は流れず、それより速く動けば時間は逆に流れると説明している。 イ・ヒョンソプ記者
sublee@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/497712.html 訳J.S