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森の妖精・修道女のキスなど‘問題的写真たち’

原文入力:2011-04-29午後08:52:26(1444字)
写真の歴史書 論難招いた73枚
挑発的素材に捏造・陰謀説も
芸術・倫理・表現の自由 俎上に

クァク・ユンソプ記者

←論争となった写真たち

<論争のある写真の歴史>ダニエル チラルデン、クリスチャン ピルケル著/ミメシス・3万9000ウォン
写真はその誕生から論争だった。1839年、ダゲールのダゲレオタイプが元祖を主張したが、ニエプスなど他の先頭走者の写真が先に世の中にリリースされていたことも事実だった。この新しいジャンルは以後、多くの論争を経て成長してきた。新刊<論争がある写真の歴史>(チョン・ジングク訳)は題名通り写真史で最も熱い論争を呼んだ‘問題的写真’ 73枚を選んで紹介する。写真は芸術かという根源的な問いから始まり著作権、肖像権、児童ヌード、ポルノ、写真家の倫理、写真捏造など今も続く本質的で核心的な論争に出会える。

本に載せられた写真が招いた論争の中には結論が出たものもあるが、おそらく永遠に結論が出ない論争もある。写真は真実であり歴史であり記録と同時に嘘を日常的に行う媒体であるためだ。

1920年、11才の少女が撮った写真(左下写真)は希代の話題であった。写真の中に驚くべきことに森の妖精が登場したためだった。今見れば粗雑な合成が明らかだが、当時は英国全土を騒然とさせた。シャーロック・ホームズの作家アーサー・コナン・ドイルまでが論争に参入し真実を明らかにしようとした。何と60年も過ぎて写真に登場した少女が捏造であることを自白したが、撮った人はあくまで真実だと主張している。

←<論争のある写真の歴史>

1969年、米国航空宇宙局(NASA)が公開した月探査写真も依然として論争の俎上から降りていない。ソ連との宇宙開発競争で勝ちたい米国が、全世界を相手に詐欺を働いたという陰謀理論は未だに有効だ。

この他にイエス像をおしっこの中に入れて撮り、激烈な論争を招いたアンドロス セラノの写真、幼い女の子たちにぶかぶかの服を着せ撮った写真で児童性愛論難に包まれた<不思議の国のアリス>の作家ルイス キャロルの写真、飢えて死ぬ直前の少女を狙う鷲の写真で、なぜ少女を救おうとしなかったのかという非難を受けたキャビン カーターの写真など芸術と報道分野の写真も多数載せられた。

写真の永遠の主題である‘ヌード’を巡る論争も外せない。2004年に雑誌の表紙に使うために撮った俳優アンジェリーナ ジョリーの上半身露出写真(右下)は白い馬がジョリーの胸に鼻を埋めている。非難を憂慮した雑誌社は製本を終えていたが配布、販売を放棄した。興行成功のために露骨に論争を呼び起こした写真もある。‘神父とキスする修道女’(上)などは意図的に論争のど真ん中に飛び込んだベネトンの広告写真が代表的だ。写真を撮る人なら誰もが悩むことになる肖像権と表現の自由論争を扱う写真もある。ルィク トゥライェは1995~97年、地下鉄でカメラを首にかけポケットの中に忍ばせたシャッターを押し匿名の乗客たちの写真を撮り写真集を出し、乗客の1人に10万フランの訴訟を提起された。結論は? 法廷は表現の自由を認めた。 クァク・ユンソプ記者 kwak1027@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/475675.html 訳J.S