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搾り取られる授業料 半額実現は可能だ

原文入力:2011-03-04 午後08:36:50(1787字)
ベストセラー読み取り
ホ・ミギョン記者

狂った授業料の国
韓国大学教育研究所 編/蓋馬高原出版/1万3000ウォン

一度、調べてみよう。わたしたちの教育常識はどの程度か?「Yes」「No」クイズだ。

#クイズ1・韓国の大学の授業料は非常に高い。
恐らく、大部分の読者は「Yes」と答えただろう。

#クイズ2.教育の受益者負担原則は正しくない。
今回はまちがいなく、先の質問よりはるかに少ない読者が「Yes」と答えただろう。また似た質問だが、やはり「Yes」「No」で考えてみよう。

#クイズ3.大学で勉強しようとするならば、授業料を払わばければならない。
多くの人々が「Yes」と答えたかもしれない。

正解は? フィンランドでは「No」が答だ。アイルランド、スウェーデンでもそうだ。大学授業料? ない。 国公立、私立、すべてそうだ。国公立大学だけを見れば、メキシコ、チェコ、デンマーク、ノルウェーが無料だ。フランスは金額が少ない。チェコ、デンマー ク、ノルウェー、フランスは、私立大ですらその額はわずかだ。韓国は? もちろん払わなければならない。それも、非常に高額なのを。「授業料1000万ウォン時代」だ。世界で米国の次に高い。韓国の国公立大授業料は、韓国より所得の高いフランスの最大24倍に達する。「狂った授業料の国」に出てきたこの資料は、経済協力開発機構(OECD)の2006~2007学年度(一部の国では2007~2008学年度度)の統計だ。ドル購買力指数(PPP)で換算した比較だ。

事実、ヨーロッパの多くの国家では、大学授業料がなかったり、あっても韓国のお金で数十万ウォン水準だ。これは、教育を、誰もが享受しなければならない基本的福祉と感じているためだ。韓国の大学は常に、アメリカの私立大学と比較する。韓国の私立大学は、アメリカの私立大学よりは安いが、州立大より高い。韓国は大学生10人中8人が私立大に通う反面、アメリカは10人中7人が州立大に通う。1人当りの国民所得で見る場合、韓国の国公立大学授業料負担率は世界1位だ。

こうして見ると、教育に「受益者負担」論理を適用するのは、教育を商品と見なす考えだ。商品購買者の学生(父兄)に金を支払えとの論理だ。韓国の大学の受益者負担主義はアメリカ軍政期に始まった。世界で私立大比重が最も高い国になった根源だ。

「狂っ た授業料の国」は、教育が福祉であることを教えてくれる。無償教育が可能であり、その途中段階の、少なくとも「半額授業料」は、直ちに実現できると語る。大学の不誠実な会計事例を見れば納得できる。半額授業料の根拠のひとつは、経済協力開発機構の基準だ。同機構は「国公立大学授業料1500ドル」を基準と捉えているが、その理由は、加盟国の大多数では、国公立大学の比重が絶対的であり、大部分は授業料がなかったり、1500ドル以下であるためだ。 韓国の国公立大学は1500ドルの3倍だ。また、韓国の私立大学生、つまり、大学生の大部分は、1人当りの所得の3分の1に近い授業料を払う反面、カナダやヨーロッパの国での授業料は1人当り所得の10分の1にもならない。2009年、韓国の1人当り所得は、約3100万ウォン(2万8000ドル)。その10分の1は310万ウォンだ。2010年の私立大学の年間平均授業料は754万ウォン。その半額は370万ウォンだ。したがって、年350万ウォン前後の授業料が適正だと、本は結論を結ぶ。

「狂った授業料の国」は、蓋馬高原出版社が社会現実に密着した問題を提起しようと始めた「今+ここ に」シリーズの一冊目だ。学生、父兄、市民団体「授業料ネット」と参与連帯が企画して、韓国大学教育研究所研究員らが執筆した。今年1月中旬に出版されて「侮れない」読者の声援を得ている。授業料のために学生と父兄が命を絶つのかと思えば、不法「バイト」に追い出されている。大学の春は、授業料闘争と共にやって来る。

ホ・ミギョン記者 carmen@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/466559.html 訳M.S