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超加工食品の摂取多い20~30代…生涯にわたり「腸疾患」のリスク

登録:2025-05-21 08:49 修正:2025-05-21 09:21
超加工食品の摂取増加は腸疾患の発生の最大の原因の一つとされる。炎症性腸疾患は特に若年期に発病した場合、より長い病気の経過と激しい症状を伴う傾向にある=ゲッティイメージーズバンク//ハンギョレ新聞社

 「若いから大丈夫だと思っていましたが、病院に行ってみると『クローン病』と言われました。これを一生管理する必要があると聞いて、途方にくれました」

 最近、若い層で急速に増加している病気の一つが「炎症性腸疾患(IBD)」だ。単なる腸炎やストレス性腹痛だとして見過ごされやすいが、早期に治療しない場合、生活全体に大きな影響を及ぼしかねない。毎年5月19日は「世界炎症性腸疾患の日(World IBD Day)」だ。クローン病や潰瘍性大腸炎に代表される炎症性腸疾患は、一度発病すると完治は困難で、生涯にわたり治療が必要な疾患だ。江東慶煕大学病院消化器内科のチャ・ジェミョン教授は「特に20~30代の若い年齢層で発病率が高まっており、早期診断と積極的な治療が何より重要だ」と強調する。

■5年間に患者が30%増加…4人に1人は20~30代

 健康保険審査評価院の資料によると、韓国の炎症性腸疾患の患者は、2019年の約7万人から2023年には約9万2000人となり、約30%増加した。このうち4人中1人(25.8%)は20~30代だった。チャ教授は「加工食品中心の食事、不規則な生活、ストレスなどの生活環境の変化が、腸の健康に悪影響を及ぼしている」として、「疾患に対する認識が高まり、早期診断が増えたのも一つの要因」だと説明した。炎症性腸疾患は消化器官に慢性炎症が生じる病気だ。主な症状は、腹痛、下痢、血便、体重減少などで、初期には単なる腸炎や過敏性腸症候群と誤認しやすい。チャ教授は「腹痛や下痢が4週間以上続いたり、血便、体重減少、貧血などが伴ったりする場合は、必ず専門医の診療を受けなければならない」と述べた。特に、若くして繰り返し腸炎の症状が生じる場合は、単なる腸のトラブルではない可能性もある。

■「炎症性腸疾患」vs「過敏性腸症候群」…自己診断は禁物

 炎症性腸疾患は腸に炎症が発生する器質的な疾患であるのに対し、過敏性腸症候群は、腸に構造的な異常はないが、機能的な障害がある疾患だ。見た目には症状が似ており、混同されやすいが、二つの疾患は完全に違う。

 過敏性腸症候群は、体重減少や血便、栄養吸収障害がなく、夜間には症状がほとんど出ない。一方、炎症性腸疾患は、栄養状態にまで影響を及ぼし、全身の健康を害することがある。正確な判別のためには、内視鏡、血液検査、大便検査などの専門的な評価が必要だ。

 炎症性腸疾患は、症状が悪化する活動期と好転する寛解期を繰り返す。チャ教授は「初期から積極的に治療を行い、粘膜の治癒を誘導すれば、腸の損傷を減らし、生活の質を維持できる」と述べた。治療は症状に応じて、抗炎症剤、免疫調節剤、生物学的製剤、低分子医薬品などが段階的に適用される。生物学的製剤は、効果に優れるが費用負担が大きいため、個々の状況に合わせた治療計画が重要だ。最近では、単なる症状調節を超えて、内視鏡検査で粘膜が回復した状態や炎症指標が正常化した状態(バイオマーカー寛解)を目標に、治療戦略が高度化されている。

■闘病期間が長いほど経過は良くない…青年層の患者、より積極的な治療が必要

 炎症性腸疾患は、特に若年期に発病した場合、より長い病気の経過と激しい症状を伴う傾向にある。チャ教授は「青少年期には、栄養欠損や成長障害、学業中断などの問題があわせて発生する可能性がある」として、「腹痛、下痢、体重減少が続く場合は、可能な限り早期に診断を受け、治療を始めることが重要だ」と助言した。

 炎症性腸疾患は、外見上は何の問題もなく見えるため、他人の理解を得られにくい疾患だ。しかし、実際には慢性疲労、うつ病、自尊心の低下など、人生全般に影響を及ぼす。チャ教授は「炎症性腸疾患は単なる腸の問題では済まない」として、「学業、社会生活、心理的健康など全領域に影響を与えるだけに、早期診断と地道な治療、社会の理解のいずれも不可欠だ」と強調した。

ユン・ウンスク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/hanihealth/medical/1198211.html韓国語原文入力:2025-05-19 15:40
訳M.S

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