原文入力:2010-06-16午後06:48:54(4230字)
escウォーキングマップ26.蔚山,中区、蔚山邑城・鶴城・兵営城
‘高福壽 歌碑’から蔚山邑城 城郭跡・ウェソル記念館を経て山田泉まで9km
イ・ビョンハク記者
←蔚山、中区の鶴城公園(島山)散歩道。鶴城公園は壬辰倭乱末期、倭敵数万人が倭城を築き立てこもり朝鮮・明の連合軍と激烈な戦闘を行った所だ。
蔚山市は現代化されて久しい。すみずみまで工業団地ができ、開発され再開発され先人たちの名残は跡形を消した。古色蒼然たる姿は少ないが、太和江北部 中区の旧都心の中に見ておきたい事物が散在している。旧蔚山都護府(鶴城都護府)東軒前からスタートし壬辰倭乱時の激戦地 鶴城公園を経て、兵営城下の山田泉まで歩く。
←蔚山東軒の前に立つ‘高福壽歌碑’.
東軒前で‘高福壽歌碑’①から見よう。‘異郷暮らし(タヒャンサリ)’(1933年)の歌手、高福壽(1912~1972)は蔚山、中区兵営洞の出身だ。歌を口ずさんでみると胸が痺れた。日帝下に国を失い故郷を離れて暮らす庶民たちの悲しみが込められた。‘鶴城都護府衙門’の表札がかかった門を入る。東軒②建物は補修工事中だ。‘鶴城’は蔚山の高麗時代の別称だ。東軒はかつての蔚山邑城(周囲 1.7km)の中心建物で、朝鮮時代に守令が公務を行った所。東軒の周囲をひとまわりして孝子宋滔旌閭碑③、善政碑④の群落を見る。31個にもなる善政碑の群れは見るに値する。碑の上部の石に彫られた竜紋・花紋・波紋が多彩で美しい。
蔚山東軒の裏庭に集められた善政碑の群落.
高福壽歌碑後方の北亭公園に行く。衙前(訳注:下級官吏)たちの執務室である作庁があった所だ。日帝強制占領期間以後にできた警察署を移し公園として整備した。公園は東軒と共に年配の方々が将棋を指してマッコリ杯を傾ける憩いの場だ。一方には独立活動家パク・サンジン義士の銅像⑤がある。道の向かい側の蔚山小学校は客舎の鶴城館があった所だ。昔の跡は一抱えもあるケヤキ一株だけだ。客舎に入る2層楼門 二休亭があった学校正門階段を降り南門道に入る。
←竜紋・花紋・雲紋…善政碑 上部の石 各樣各色
裏庭の小さな庭園が美しいカフェ‘クレンハッ’⑥(旧マロニエコーヒー公園)に立ち寄り石の椅子に座りコーヒーを飲む。樹齢500年になるニシキギの木陰が濃い。原豆コーヒー4千ウォン。1970~80年代まで蔚山で最も繁華だったという時計塔交差点を過ぎ‘若者の通り’を歩いてみる。商圏が江南、三山洞に移り衰退したが最近になって活気を取り戻している所だ。中央市場のヌタウナギ路地を経て、男女差別を原則とするというハルメうどん屋に行く。門が閉まっていて残念だった。80代のハルモニが40余年にわたってカルグクスを商って、男女が列をつくれば女はぐいっと除いて男たちから「うんと食べて金を稼げ」と言いカルグクスをたっぷりくれるという。
鶴城路を渡って七星スーパー・成人ナイトクラブ前で右折し左側の路地に入る。蔚山邑城城郭跡で、数十年前からダンスブームを主導してきたというミナリキャバレー裏路地だ。伝統30年を誇るという88ヌタ鰻屋の前の四つ角がかつての東門跡推定地だ。左側の路地内の駐車場のそばに古びた井戸 獄コル泉跡⑦がある。町内の名前が獄コルだが、朝鮮時代に監獄があった所だ。ふたで覆われた四角形のセメント構造物が獄コル泉だ。‘3年間このわき水を飲めば聾唖も口をきく’という話が伝わる。70~80年代まで歓楽街であった旧7号国道沿いには、恋人・ドゥリー・約束などドアが閉められ看板だけが残った酒場が並んでいる。重ね軒屋根の日帝強制占領期家屋と韓屋食堂を見て繁栄路を渡り‘区域展示場’⑧に入る。繁栄路の路肩では毎日明け方に農産物市場が開かれる。新中央市場からイーマート(旧 蔚山駅)に至る路地には、今でも旅館がおびただしい。ある旅館の主人は「夕方には泊まりのお客は受けない」と言った。地域から上がってきた商人たちが明け方の買い物をした後に寝て行く所だ。
鶴城市場を経て旧校路に出る。再開発が推進されたが景気低迷により中断された跡がものさびしい。鶴城古物商の前で城壕古物商側に道を渡り鶴城公園入口へ歩く。海抜50mの鶴城公園(島山)は数千年前には島だった。壬辰倭乱の最後である丁酉再災乱の時には、ここで倭軍と朝鮮・明の連合軍が激しい戦闘を行った。倭敵将 加藤清正は倭兵1万6千人を動員し、蔚山邑城と兵営城から取り払った城石で40余日間で三重の倭式城を築いた。随所に斜めに積んだ倭城の跡が残っている。公園には童謡詩人ソ・トクチュル(1906~1940)の‘春手紙歌碑’⑨、パク・サンジン義士追悼碑、鶴城公園の土地を寄贈したという親日派キム・ホンジョ(1868~1922)功徳碑、洛山大碑石がある。見逃せないのが‘太和寺址十二支像浮屠’⑩(宝物441号)だ。 国内で最も古い石鐘形浮屠であり、十二支像が彫られた唯一の浮屠だという。
倭軍1万6千人 邑城・兵営城を壊し40日間で倭城を築く
鶴城公園から下り伴区交差点を経て旧鉄道交差点に行く。キルメリ病院前側の路傍には伴区2洞の住民たちが正月満月の洞祭を行う霊廟があり、その横にはペコンと掘られた岩壁がある。蔚山郷土史研究会ハン・ソククン会長は「この海蝕崖が、この一帯が海辺だったことの証拠」と話した。旧校路に沿って兵営五叉路側に多少退屈な道を歩く。旧校は昔 郷校があった町内をいう。旧教小公園にこのことを知らせる村の由来碑がある。華麗なKTの建物とみすぼらしい酔い醒ましスープ専門店‘電話局お隣り’前をすぎる。電話局お隣り看板をよく見れば、その前は‘憩いの室内屋台’であり、さらに前には‘火の粉屋台’だったことが分かる。今は別に田舎家という看板をぶら下げた。衰退していく商圏で回り回って看板を変えてきた一つの店のいきさつを探りながら歩く。
繁栄路大通りを渡り兵営ギアラ横丁⑪に入る。ギアラ(牛の第4胃)を焼く食堂は10余年前まで何店もなかった。お客さんが増えるようになり、サムギョプサル(ばら肉)専門店も焼きハマグリ屋もカラオケも、先を争ってギアラ屋に看板を替えた。今では‘ギアラ ドラマ’ ‘狎鴎亭ギアラ’ ‘大邱ギアラ1番地’等、20余店が盛業中だ。坂道を上がり兵営天主教会の裏道に行く。ここで兵営城城郭跡⑫を見ることができる。この周辺の村の旧名が郭南、城郭南側という意味だ。小さな畑のそばに崩れゆく城石の山を写真に撮ると通りかかったおばさんが一言仰った。「そいつを無くしたいんだけど、文化がどうの、城跡が大切とか言って、それで村が発展できないんだよ」日常生活と‘開発’の前で文化遺跡はいつも障害物となる。
兵営小学校前へ行く。ハングル学者ウェソル 崔鉉培、歌手 高福壽がこの学校(旧 日新学校)に通った。学校は兵営城の客舎の場所だった。正門階段の右側に立っている下馬碑⑬がその跡だ。兵営城は朝鮮太宗の時にこちらに設置した慶尙左道兵馬節制使営のことだ。学校前のまっすぐのびた路地が‘高福壽道’だ。高福壽の生家が路地の内側にあったという。ウェソル 崔鉉培(1894~1970)記念館⑭へ歩く。ウェソルは生涯をハングル研究に捧げた大学者だ。去る3月ウェソル会から原稿・著書・タイプライターなどの遺品の寄贈を受け記念館を開館した。ろう人形ジオラマ、ウェソルの生涯とハングル関連映像物もある。復元した生家が記念館の後にある。
←ウェソル 崔鉉培先生が1932年に書いた揮毫
1919年に兵営で起きた独立万歳運動の時に犠牲となった方々を祀る三一祠⑮を見て、兵営城北門の場所に上がる。兵営地下車道前から右側の道だ。北門跡(16)そばに城壁の一部が残っている。城郭の上に立てば東川とその向こう側に広がる蔚山飛行場、遠くには慶州側の旗朴山まで見渡せる。一目でこちらが軍事要地であることが分かる。兵営城郭跡に沿って歩き、ホンイルアパート横の道に降り旧7号国道と東川水路に出会う。古く、更に古くなり歩行者専用に使われる山田橋の細くて長い橋脚が異彩を放つ。数十年前にはこの橋を渡らなければ方魚津側に行けなかった。
道沿いに降りてくれば400年の由来を持った山田泉(17)に至る。兵営城郭の下から湧き、住民はもちろん兵営の軍使たちが飲料水として使った泉だ。水量が豊富なうえ夏は冷たく冬は暖かい女たちが水を暖めずに洗濯をしたという。40余年前に周辺に上水道用パイプを打ち込んだ後、水が枯渇し一時閉鎖されたが、最近になり泉を復元した。泉の後方に別に水道蛇口を設置した。一杯飲んで休む。9km余り歩いた。
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ウォーキング メッセージ
ふぐ鍋からで藁火ヌタ鰻まで
◎行き方|京釜高速道に乗り彦陽分岐点で蔚山高速道路に移り最後まで行った後、北部循環道路(7号国道)に出て左折し三湖橋を渡り直進、警察庁入口五叉路で(高架に上がらずに)右側に寄り右折し北亭公園(東軒)・蔚山小学校側に行く。東軒のそばに北亭公園公営駐車場(地下)がある。1時間1千ウォン. 到着点兵営山田から出発点の東軒までタクシー(基本料金2200ウォン)で4千ウォン内外.
◎食べる所|玉橋洞郷村食堂(ふぐ鍋・テグタン・メンタイ汁) (052) 246-3414,城南洞クレンハッ(松葉薬草三枚肉) 211-4446,玉橋洞88コムジャンオ(ヌタウナギ) 246-6765,鶴山洞実家屋(韓定食) 246-2352,兵営山田活コムジャンオ・ゴディ湯(藁火焼きヌタ鰻・カワニナ汁) 292-7225.
◎旅行問い合わせ|蔚山市、中区庁(052)290-3661,蔚山市庁229-3851~6.
蔚山=文・写真イ・ビョンハク記者 leebh99@hani.co.kr
記事全文は‘おいしい旅行’(foodntrip.hani.co.kr)