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二足歩行のヒューマノイドロボット労働者の「初仕事」…物流倉庫で箱運搬

登録:2024-07-02 06:14 修正:2024-07-02 09:03
クァク・ノピルの「未来の窓」 
米衣類メーカー、物流倉庫に正式に配置 
最初の仕事は衣類の入った箱の運搬
アジリティ・ロボティクスのヒューマノイドロボット「Digit」が米国のある下着メーカーの物流倉庫に正式な労働者として投入された=アジリティ・ロボティクス提供//ハンギョレ新聞社

 ついに人間の体を模したヒューマノイドロボット労働者の時代が始まった。

 米国のロボット開発会社「Agility Robotics(アジリティ・ロボティクス)」は6月27日(現地時間)、二足歩行ロボット「Digit(ディジット)」が最近、下着メーカー「Spanx(スパンクス)」のコネチカット工場に配置されたと発表した。 ディジットに任された業務は物流倉庫で衣類の入った箱を運ぶことだ。

 ヒューマノイドロボットが産業現場に正式に配置されたのは初めて。これまで産業現場に投入されたロボットはすべてテスト段階だった。配置方式はロボット製品を購入するのではなく、サービス型ロボット(RaaS)をリースする形式だ。

 アジリティ・ロボティクスは昨年末、物流システム供給業者「GXO Logistics(GXOロジスティクス)」の物流倉庫にディジットを試験投入し、婦人服の入った箱(2~5キログラム)をベルトコンベヤに運ぶ能力を試してきた。スパンクスの工場の物流倉庫システムもGXOが運営している。このシステムでディジットは自律移動ロボットが運んでくる衣類の箱をベルトコンベヤの上に載せる仕事を担当する。

 身長175センチメートル、重さ63.5キログラムのディジットは最大15.8キログラムの物を持ち上げることができる。GXOはディジットの成果を評価し、今後ディジットの台数を徐々に増やしていく計画だ。GXOは、最初に配置されたディジットの数は小規模だとし、具体的に何台なのかは明らかにしなかった。

ディジットは企業現場で実際に売上を上げるのに貢献する最初のヒューマノイドロボット=アジリティ・ロボティクス提供//ハンギョレ新聞社

■売上に貢献する初めてのヒューマノイドロボット

 アジリティ・ロボティクスの最高経営者のペギー・ジョンソン氏は「今後数年間、ヒューマノイドロボット市場では多くの初めての事例が生まれると思われるが、ディジットが顧客企業に実際に配置され売上を上げる初めてのヒューマノイドロボットという事実が非常に誇らしい」と語った。

 GXOの最高自動化責任者であるエイドリアン・ストーク氏は「私たちはモデル段階の成功をもとに、十分に作動するディジットを実際の倉庫に配置した」とし、「ディジットは物流センターで従業員たちと共に仕事ができる完璧な追加労働力」だと述べた。

 アジリティ・ロボティクスは昨年10月から、米国最大の電子商取引会社「アマゾン」の物流倉庫にも、ディジットをモデル投入してテストしている。アマゾンの物流倉庫には現在75万台以上のロボットが配置されているが、二足歩行で動くロボットはディジットが初めて。アマゾンはアジリティ・ロボティクスの主要投資企業でもある。しかしアマゾンは、ディジットの配置計画についてはまだ明らかにしていない。

 昨年末、オレゴン州のセーラムにディジットの生産工場を建設したアジリティ・ロボティクスは今後、生産能力を年間最大1万台規模まで拡大する計画だ。

 アジリティ・ロボティクスは、2015年に災害救助能力を競うDARPA(ダーパ)ロボティクスチャレンジの決勝戦に進出したオレゴン州立大学研究陣が設立した企業。米国防高等研究計画局(DARPA)主催で2013~2015年に開かれた同大会は、ヒューマノイドロボット開発競争の火付け役となった。ディジットは5月、ロボット専門メディア「ロボットビジネスレビュー(RBR)」が主催する「RBR50 イノベーションアワード」で、「今年のロボット」に選ばれた。ディジットの前身である二足ロボット「Cassie(キャシー)」は、2022年に100メートルを24.73秒(秒速4.4メートル)で走破し、「最も早く100メートルを走る二足ロボット」としてギネス世界記録を樹立した。

 ヒューマノイドロボットの商用化に乗り出した企業は、アジリティ・ロボティクス以外にもいくつかある。

 例えば、中国の「深セン市優必選科技(UBテック)」は今年2月、電気自動車メーカー「蔚来汽車(NIO)」の安徽省合肥工場の組立ラインに「ウォーカーS」を試験的に投入したのに続き、最近、「東風汽車」の子会社である「東風柳州汽車」ともウォーカーSの導入契約を結んだ。米国の「Figure AI(フィギュアAI)」は、ドイツのBMWのサウスカロライナ州の自動車工場にヒューマノイドロボット「フィギュア1」を供給する契約を結んだ。年内に試験的に配置することを目指している。宙返りで有名なヒューマノイドロボット「Atlas(アトラス)」を開発した「ボストンダイナミクス」も4月、アトラスの世代交代を通じて商用化に乗り出すという方針を明らかにした。新しいヒューマノイドロボットは、現代自動車の工場に試験投入される予定だ。

 米国電気電子工学会が発行する技術メディア「IEEE(アイトリプルイー)スペクトラム」は今年初め、シリコンバレーを中心に、フィギュアAIなど7社以上の企業が今年中にヒューマノイドロボットの商用化を計画していると報じた。特に中国は、生産年齢人口の減少に対する対応策として、2025年までにヒューマノイドロボットの量産体制を構築することを政策目標としている。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/science/technology/1147129.html韓国語原文入力: 2024-07-01 20:56
訳H.J

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