原文入力:2009-12-04午後07:54:32
先駆的経営で 民族企業 面目躍如
最初・最長寿ブランド‘活命水’探索
チョン・ジンシク記者
←<活命水100年成長の秘密>
<活命水 100年 成長の秘密>
イェ・ジョンソク著/リーダーズブック・1万3000ウォン
"アーいよいよ愛するあなたと会う約束のその日がきたというのに、俺はどうして愚かにも飲みすぎ過食をしたのだろうか?/ウーッ腹痛ぇ!/でもここに活命水があるからすっきり爽やかだな。/忘れようたって忘られようか?/腹が痛い時は活命水,扇子印の活命水!" 1960年代末、同和薬品がテレビ放映した‘扇子印 活命水’のCMだ。胃がもたれる時‘ガス活命水’一知らない人はいないだろう。かつてはコーラ・サイダーよりもっとおいしい‘清涼飲料’でもあった。活命水の認知度が97.9%に達するという調査結果もある。ハングルを知っている人なら皆知っているという話だ。
我が国最初で最長寿のブランド活命水の全てを書いた本が出た。イェ・ジョンソク教授(漢陽大経営大学長)が出した<活命水 100年 成長の秘密>は経営学から探索した活命水の話だ。
著者は宮中秘方から生まれた活命水が時代に先んじる経営に力づけられ‘ヒット商品’になった契機から日帝末期,韓国戦争,5・16クーデターなど、韓国史の曲折を経て体験した経歴を10ヶの場面に分けて観察した。場面ごとに‘活命水経営レッスン’入門も付け加え、読者が考えをきちんと整理できるように配慮している。
"今日の厳しい企業環境を生き抜かなければならない経営者が、一世紀前の先祖の教訓を得られるということは幸に違いない。" 温故知新だ。112年間に80億本以上が売れ、人々のお腹を癒した活命水に照らして会社経営,ひいては人生の知恵を学ぼうという話だ。
←1965年国内医薬品市場で初めてアニメーションを導入した広告。腹が痛くて活命水を求める人をコミカルに描いた。60年代中盤に初めて発売された発泡性消化剤‘ガス活命水’と発売70周年を前面に掲げたパンフレット広告。我が国最初の新薬である活命水の草創期製品。(上の写真から)リーダーズブック提供
活命水は朝鮮末期に宣傳官(王命の送受を引き受けた武官)を務めた老川 閔竝浩(ノチョン ミン・ビョンホ)が宮中秘方を変形して創った薬品だ。創業年度は1897年でアスピリンより2年早い。当時、最も多かった病気が胃腸障害(消化不良)であり、治療が今のように易しくなかったため、命を活かすという意の活命が誇張された名前ではないわけだ。伝統漢方薬と輸入薬剤を混ぜメントール(薄荷脳)を加え独特の風味を持たせた活命水は、煎薬を煮詰めるわずらわしさをなくしたことで直ぐに大きな呼応を得たと記録されている。扇子印というネーミングも大きな役割を果たした。<詩経>の‘紙竹相合生気清風’から取ってきた言葉でで、紙と竹が互いに会うと爽やかな風を起こすという意だ。活命水は当時の朝鮮に吹いた‘医薬品の新しい風’だったわけだ。従って扇子印と活命水は切っても切れない相棒だ。
著者が見るには活命水が歩んできた道は経営の各分野で驚くほど先駆的だ。強力なブランド ネーム・マークを通じた差別化,初期の高価戦略で高級製品というイメージを植えつけた点,各地域の有志たちによる強固な流通網を作ったこと,支店・特約店だけを通じて製品を供給し、中間商人の利益を保護した営業戦略,果敢な広告と販促でおさめたシナジー効果,当時不足していた生活必需品などを共に供給した事業多角化,公益性景品行事として行った学校に対する財政後援という社会貢献活動など100年前にしたとは信じられない程に創意的で精巧だ。早い時期に社規を作り、社員福祉を体系化したことも見逃せない。
特に活命水の同和薬品が光り輝く視点は民族企業の面目だ。
創業者である閔竝浩の子息のミン・ガンは日帝強制占領期間に大東青年党を中心に上海臨時政府と秘密裏に連絡し軍資金と情報を渡す役割を引き受けた。ソウル市内中心部(巡和洞)に薬局を偽装した連通府を作りもした。(連通府があった巡和洞の地は朝鮮粛宗の継妃である仁顯王后の生家があった所であり、ソウル市は1995年にそこに記念碑を立てた)こうしたことから‘不逞鮮人’になった彼は何度も日警に逮捕され獄苦を味わい、ついに48才の若さで亡くなってしまう。
このような事情で経営危機に瀕した会社を救った人が保堂 尹昶植(ポダン ユン・チャンシク)だ。彼もまた朝鮮産織奬勵契・保隣會をリードし物産奨励と貧民救恤の先頭にたった愛国の志士だった。同和薬品は絶体絶命の状況で徳望と能力を兼ね備えた尹昶植に会社引き受けを提案する。これにより1937年に我が国初の引受・合併(M&A)が実現した。以後も日帝に賦役せず企業の成長を成し遂げただけでなく、1930~40年代の戦時経済の中で深刻な物資不足と弾圧にも屈せず生き残った生命力がすばらしい。卓越したリーダーシップの結実というのが著者の評だ。
要するに著者が指し示すのは企業ではなく人だ。活命水112年の歴史を作った‘人々’の知恵に注目する時、‘障害’に直面した企業の生きる道を悟ることができるという言葉だ。最も優れたリーダーの徳性の一つはこうだ。“結果が悪い時は窓の外ではなく鏡を覗き自身に責任を転嫁せよ。”勿鑒於水鑒於人,澄んだり濁ったりする水ではなく、一筋にまっすぐ善良寛大な人に自身を映せとの教訓が込められた。経営者には‘活命水’がそうだ。
チョン・ジンシック記者seek16@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/391579.html 訳J.S