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映画界“ブラックリスト1位”のチェ代表「『弁護人』以降、名前を隠した」

登録:2017-01-19 01:09 修正:2017-01-19 07:32
ワーナー・ブラザーズ・コリアのチェ・ジェウォン代表 
 
「『弁護人』ヒットしても投資者に恨まれた」 
その後「密偵」「朝鮮魔術師」は母胎ファンドから排除 
ワーナーへ移ってようやく制作現場に 
「今回のことで創作の自由が生まれれば」 
 
今年は小型映画など4編を発表予定 
「ハリウッド・韓国のシステムつなげたい」
ワーナー・ブラザーズ・コリアのチェ・ジェウォン代表=「シネ21」オ・ゲオク記者//ハンギョレ新聞社

 ハリウッドの直接配給会社が韓国映画の創作にも積極的に参加している。昨年、20世紀フォックス・コリアが「哭声」、ワーナー・ブラザース・コリアローカルプロダクション(ワーナー)が「密偵」を製作し、興行疾走を繰り広げた経緯がある。特にワーナーは今年も4本の映画を発表する予定だと明らかにした。韓国映画界の大物に浮上したワーナーのチェ・ジェウォン代表(51)に会い、今年の計画を聞いた。国内投資・制作会社の代表をあまねく経て、ハリウッド配給映画と対決した彼が、「弁護人」製作を最後に直接配給会社の代表になるまでの事情も聞くことができた。インタビューは12日、ソウル江南(カンナム)のワーナー事務所で行われた。

 「昨年、制作費140億ウォン(約13億6千万円)で『密偵』を出し、今年は25億ウォン(約2億4千万円)ぐらいの『シングルライダー』で始まる。ブロックバスター映画と小型映画、今後ワーナーが飛び込むスペクトルの広さを示すものだ」。今年ワーナーは、イ・ジュヨン監督の「シングルライダー」のような規模の他の小型映画を1本さらに出し、60億ウォン(約5億8千万円)台の予算でパク・フンジョン監督の「VIP」とイ・ジョンボム監督の「悪質警察」を上映する予定だ。2018年夏のマーケットにキム・ジウン監督の「人狼」を公開し、韓国のブロックバスター競争に再び加わる前の一呼吸を入れるということであり、韓国映画の制作システムを直接配給会社に合わせて調整しようとする意味がある。

 チェ代表は「資金の流れや製作を管理するハリウッドスタジオ方式を韓国システムと結合するのが課題だ。米国と韓国の最も大きな違いは、監督がどれくらい裁量権を持つかだ。完璧な企画を重視するハリウッドと韓国の緊張感あふれる現場を調和させたい」と話した。また、「ワーナーが韓国で稼いだお金を“食い逃げ”するんじゃないかとよく心配されるが、そのような状況を防ぎ、韓国映画の制作者により良い経験をさせるようにしたい」と話した。

 20年前、証券会社のアナリスト出身で映画界に飛び込んだチェ・ジェウォン代表は、投資制作会社アイピクチャーズとバルンソン(正しい手)フィルム、投資配給会社ニューの共同代表を務め、制作会社ウィダスフィルムを通じて「弁護人」を制作した。一千万観客を突破し「天が生んだ」といわれる映画を作っても、まさにそのために映画界のブラックリストに載り、しばらく映画制作には名前を連ねられなかった。彼は2015年、自分の名前を外して「朝鮮魔術師」を公開し、今年3月に封切りするイ・スヨン監督の「雪解け」を制作したという事実も秘密にしてきた。

 彼は「『弁護人』はヒューマンドラマとして成功の可能性があると噂が立ち、母胎ファンドや個人投資も多く受けた。しかし、映画が興行してからはむしろ「あなたのせいでとても大変だった」という恨みをよく聞いた。「投資した人たちがとても苦労したという話を聞いた」と振り返った。その後「朝鮮魔術師」から「密偵」まで、彼が関連した映画はすべて政府が管理する母胎ファンドの投資から排除された。2015年にワーナーの代表を務めてようやく制作現場に立つことができたが、依然として政府の隠密な排除は続いている。

 ワーナー本社側ではそのような状況を全く知らなかったという。「先日、本社のある役員が、韓国にブラックリストがあると聞いたけど、もしかするとあなたもそこに入っているのではないかと尋ねたんです。それで、ブラックリストは1万人にもなるのでそこに名前がなかったら馬鹿だと言ったんです。ハハハ」

 彼は「ブラックリストの存在が公開されたのはむしろ良いことだ」と話した。「韓国社会には政権の好みに合わない映画や人々は不利益を受けるのが当然というおかしな常識があった。私たちのDNAには暗黙のうちに権力を認めたり恐怖感があるのかもしれない。『その時、その人々』や『26年』のような映画を作るため、制作者たちは大きな不利益を覚悟しなければならなかった。今回のことをきっかけに、創作の自由に対する合意ができたらいいと思う」。過去3年間映画界の「ブラックリスト1位」だったチェ代表の希望である。

ナム・ウンジュ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/movie/779222.html 韓国語原文入力:2017-01-18 14:29
訳M.C(2091字)