本文に移動
全体  > 文化

チリで「宇宙最初の星」を探す巨大マゼラン望遠鏡の建設始まる

登録:2015-11-13 00:03 修正:2015-11-13 06:06
11日、チリのラスカムパナス天文台で起工式 
韓国天文研究院など4カ国11機関が参加 
反射韓国天文研究院も参加
韓国天文研究院、米国カーネギー財団天文台、オーストラリア天文財団など4カ国11機関が参加した「巨大マゼラン望遠鏡財団」が11日(現地時間)午後6時、サンティアゴの北600キロメートルのアタカマ砂漠ラスカムパナス天文台で起工式を行った =イ・グニョン記者//ハンギョレ新聞社

鏡の有効直径は25.4メートルで世界最大 
ビッグバン初期の宇宙を観察 
太陽系の外側にある外界惑星など研究 
2021年運営開始、ハッブル望遠鏡より10倍鮮明

 韓国など国際天文研究チームが宇宙最初の星を探すために作る世界最大の望遠鏡の建設を始めた。

 韓国天文研究院、米国カーネギー財団天文台、オーストラリア天文財団、ブラジルのサンパウロ研究財団など4カ国11機関が参加した「巨大マゼラン望遠鏡財団」(GMTO)は11日午後6時(現地時間)、チリの首都サンティアゴの北600キロメートルにあるアタカマ砂漠ラスカムパナス天文台で巨大マゼラン望遠鏡(GMT)の起工式を行った。 GMTは反射鏡の有効直径が25.4メートルに及ぶ世界最大の望遠鏡で、ビッグバン初期の宇宙観察と太陽系の外側にある外界惑星探索などの研究に使われる。 2021年頃に初期運営に入り、2020年中盤に本格観測に入ればハッブル宇宙望遠鏡より10倍鮮明な映像が得られ、初期宇宙の生成過程や暗黒エネルギーの正体解明に寄与することが期待されている。

巨大マゼラン望遠鏡想像図 //ハンギョレ新聞社

 この日ラスカムパナス天文台に用意されたサッカー場3面の大きさの起工式現場には、望遠鏡の敷地を提供したチリのミシェル・バチェレ大統領とGMTO臨時総長である米国カーネギー研究所のパトリック・マッカーシー博士をはじめ、GMTO理事のチャールズ・アルコク米国ハーバード スミソニアン天体物理学研究所長など4カ国のGMT関係者と取材陣など200人余りが参加した。 韓国からはGMTO理事のパク・ビョンゴン韓国天文研究院大型望遠鏡事業団長とオ・セジョン ソウル大物理天文学部教授、イ・サンチョン国家科学技術研究会理事長、イ・ヒョンモク韓国天文学会会長(ソウル大教授)、パク・ヨンドク天文研先任本部長が席を共にした。

 ミシェル・バチェレ大統領は祝辞を通じて「多くの起工式に参加したが、ほとんどがビルディング、橋梁、施設などを建設する行事だった。 今回の起工式が特別な理由は、無限の知識のドアを開ける契機であるためだ。 チリ国民を代表してGMT研究事業で大きな成果が出ることを祈る」と述べた。

 パトリック・マッカーシー臨時総長は「GMTが完成すれば、私たちは宇宙の本質を理解することになるだろう。 宇宙はビッグバン以後、電子・陽子・光子のカクテルの中から38年後に光子、すなわち光が出始め、4億年後頃に星が作られたものと推定される。GMTは現在の私たちの観測限界であるビッグバン後10億年の時期を、最初の星が誕生した4億年まで引き上げることができると期待する」と話した。

巨大マゼラン望遠鏡構造図 //ハンギョレ新聞社

 パク・ビョンゴン団長は「現在韓国は普賢山(ポヒョンサン)天文台に1.8メートルの望遠鏡を有しているが、GMTは韓国の天文学に飛躍的発展を持たらすだろう」と話した。

 GMT事業は2003年から始まり、総額1兆ウォン(約1千億円)が投資される大型国際プロジェクトだ。 GMT事業には韓国天文研究院をはじめ米国ハーバード大、スミソニアン国立天文台、カーネギー財団天文台、アリゾナ大、テキサス オースチン大、テキサス A&M大、シカゴ大、オーストラリア天文財団など11機関が参加している。 全予算の80%を米国の機関が負担し、韓国とオーストラリアが各10%を負担する。 韓国は2009年から事業に参加して1千億ウォン(約100億円)を投資したが、これに伴い望遠鏡が完工した後には毎年1カ月間の独占使用権を持つことになる。

 ラスカムパナス山の頂上(海抜2550メートル)に建てられるGMTは、直径8.4メートルの主鏡7個と1.06メートルの副鏡7個を連結して製作される。 主鏡6個は穴が開いた残り1個の主鏡の周囲に花びらのように配置される。 光を入射方向に反射するのではなく上側の副鏡側に曲げて反射するようになっている。 主鏡で反射された光は、副鏡で再び反射して真ん中の主鏡の中央に開いた穴に集められる。 この光を分析して宇宙を探査することがGMTの目的だ。 完成された望遠鏡の直径は25.4メートル、高さは35メートル、重量は1100トンに達する。 望遠鏡を囲んでいる円筒形のドームはその幅が55メートル、高さが50メートルあり22階建てのビルに相当する。

 1個の重さが17トンある主鏡は米国アリゾナ州ツーソンにあるアリゾナ大スチュワート天文台のリチャード・F・ケリス ミラーラボで製作している。鏡の形を製作するだけで1年かかり、鏡の表面を精密に研磨する過程で更に3年かかる。 パク・ビョンゴン団長は「鏡の表面の精密度は14ナノメートル(nm・1ナノメートルは10億分の1メートル)だ。 髪の毛の1000分の1の精密度で加工する高度な技術が必要だ」と話した。 例えれば済州島(チェジュド)の漢拏山(ハルラサン)を削って扁平にさせるのに、高さの差を1ミリ以内にしなければならないということだ。GMTOは2021年までに4個の主鏡を完成し初期運営に入る計画だ。 2012年に既に主鏡1個が完成し、現在3個の主鏡が製作に入っている。

 韓国は今年8月にGMTOと副鏡を開発する協定を結んだ。 韓国天文研と韓国標準科学研究院、高等技術院、光州(クァンジュ)科学技術院(GIST)が昨年副鏡サンプルを作り、GMTOはこれをプロトタイプにすることにした。

 世界の天文学界がGMT建設に取り組んでいる理由は、現在以上に鮮明な宇宙映像を得て、初期宇宙の姿や宇宙を加速膨張させている暗黒エネルギーの正体を解明するためだ。 今まで宇宙の膨張、超新星など多くの宇宙の秘密を教えたハッブル望遠鏡の直径は2.4メートルだ。 GMTはハッブル望遠鏡に比べて集光力は100倍、分解能は10倍だ。GMTの“視力”はハッブルに比べて1000倍高いわけだ。 月で灯されたロウソク一本を見ることができて、400キロメートル先にあるコインを識別できる能力だ。 現在地上で最も大きな望遠鏡である米国ハワイのKeck望遠鏡も直径が10メートルに過ぎない。 ハワイに直径1.5メートルの鏡を500個付けて作るTMT(Thirty Meter Telescope)が完成すれば、直径は30メートルでGMTより大きいが、分光力が劣り深宇宙を観測するには限界がある。

 ハッブル望遠鏡が今までに撮った映像の中で最も古い宇宙は約130億年前のものだ。 GMTはこの「ハッブル ウルトラ ディープ フィールド」(HUDP)以前、すなわちビッグバン後4億~10億年の間の宇宙の姿を観察できるだろうと天文学界は期待している。

ラスカムパナス天文台(チリ)/イ・グニョン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/717135.html 韓国語原文入力:2015-11-12 16:10
訳J.S(3101字)