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[ニュースpickup]‘殺害された’ 韓国推理小説‘ 真犯人’は誰か

原文入力:2008-12-26午後04:22:03

←‘殺害された’韓国推理小説 ‘真犯人’は誰か。 グラフィック ホン・ジョンギル記者 jonggeel@hani.co.kr

言うなれば韓国の推理小説はしばらく‘迷宮’に陥った段階ではないだろうか。今年で100周年をむかえたが韓国推理小説は歴代最悪の不振に陥っている。書店には外国推理,ミステリーがあふれているのに国内作品は探すのが難しいほどだ。それでも若い作家の絶え間ない挑戦は続いていて韓国推理小説の復活を期待させる。根拠のない純粋文学優越風潮の中で、自らの生命を受け継いできた韓国推理小説の歴史をいくつかの疑問点を通じて整理してみた。

純粋文学にひかれて外国作品熱風に押される
イ・ヘジョ-キム・ネソン-キム・ソンジョン 100年歴史‘ 最悪の不振’

■韓国推理小説の歴史、果たして100年と言えるのか?
推理小説を ‘犯罪とその解決’ という観点でだけ見るならば、隠密特使パク・ムンス説話はもちろん、一部の古代説話も含めることができる。しかしこういう説話は近代的意味での小説と見るには難しい。

韓国推理小説の嚆矢は1908年イ・ヘジョが<帝国新聞>に連載した<双玉笛>が挙げられる。イ・ヘジョはこの作品に‘偵探小説’という名称を付けた程に推理小説を標ぼうした。犯罪-事件捜査-解決という推理小説的な構成を備えたという点でこの小説を韓国最初の推理小説と見る。

反面、この小説には伝奇的な面があり構成面で不十分であり既存の訴訟小説と差がないという分析もある。

まだ韓国推理小説に対する本格的な研究調査はまともになされていない。従って<双玉笛>より古い新作が発見される可能性もある。

■初期作家はキム・ネソン一人だけだった?
韓国推理小説の初期はキム・ネソン(1909~1957)の時代だ。キム・ネソンは真の意味で国内初めての推理専門作家だ。彼は日本留学時期に探偵小説専門雑誌<プロフィール>の懸賞公募に短編<楕円形鏡>と<探偵小説街の殺人>を日本語で書き当選する。以後1936年大学を卒業するとすぐに故国に戻り、本格的に推理小説の執筆を始めた。<百仮面>(1937),<マイン>(1938),<狂想詩人>(1938)等を続けて発表し韓国の推理文学を切り開いた。

当時、推理小説界をキムネソンが独走するように代表したがそれでも他の推理小説作家がいなかったわけではない。当時文壇のスター級作家らの相当数が推理小説を書いたが、現在よく知られていないだけだ。チェ・マンシクが代表的であり、パン・ジョンファンも推理小説を書いたし、キム・ネソンより年配だったパン・イングンが‘チャン・ビホ’探偵シリーズなどを残した。

■キム・ソンジョンは果たして‘独走’をしたのだろうか?
キム・ネソン以後、最高人気作家であるキム・ソンジョン(67)は30年近く韓国推理小説界最高の作家として活動してきた。70年代から90年代まで‘推理作家といえばキム・ソンジョン’というほど長く人気を享受した。このために一部ではキム・ソンジョン独走の副作用ともいう。彼がとても長く独走したために有望新人が登場できず、彼の影響を受けた後輩らが類似した作品を量産して淘汰されたということだ。

しかしこれはキム・ソンジョンの責任ではなく、また成立しにくい主張だ。推理小説の女王アガサ・クリスティは50年近く頂点にあったが、そのために新人の道が塞がったことはなかった。キム・ソンジョンが誰かの道を遮ったことはなかった。むしろキム・ソンジョンが人気を享受し、70年代後半から推理小説の需要が増えたし色々な作家らが共に登場した。‘キム・ソンジョン独走体制副作用’という主張は他の作家たちが振るわないと見て発生した結果論的な誤解に過ぎない。

■韓国には名探偵が果たしていないのか?
韓国推理小説では探偵を探すのが難しい。韓国に法的に私立探偵が存在しないから当然のことだ。しかし、事件を解きほぐす広い意味での名探偵は当然存在する。今、韓国推理の古典が絶版になっているために有名でないだけだ。キム・ソンジョンのオ・ビョンホ,イ・サンウのチュ・ビョンテ警監,そして40~50代以上の読者らは多分記憶しているだろうキム・ネソンのユ・プルラン,パン・イングンのチャン・ビホなどは当時は有名な人気探偵だった。ただし、シャーロック・ホームズのように一般名詞化された‘国民的名探偵’はいない。これは推理小説に対する無関心の反映でもある。

■韓国推理はいつも翻訳作品より不人気だったのだろうか?
この頃は徹底して翻訳推理小説が市場を掌握している。だが韓国推理小説にも全盛期はあった。80年代までは国内作品中心に推理小説を出す出版社が多数あった。80冊余りを出版したミョンチ社をはじめとして、ナムド,小説文学社,推理文学社,ヘナム,ヘンリム出版,現代推理社などが翻訳作品より国内作品中心に出版していた。当時最高の人気作家キム・ソンジョンを筆頭にイ・サンウ,ノ・ウォンなど中堅と新進作家が継続して登場したし、読者もなじみやすい国内作品を好んだ時期だった。しかし90年代中盤以後、韓国推理が停滞する間に読者世代も変わり外国作品の人気が高まった。

■外国にはあるが韓国推理小説にはないのは?
米国,日本など推理先進国にはあるが韓国にはないのは2種類だ。子供や青少年のための推理小説、そして批評だ。推理小説の地位と連関する問題でもある。韓国で推理小説とは、知的娯楽の位置に上がれなかった読み物の水準であり、子供と青少年らの勉強には邪魔になる有害図書と考えられたのは偏見によるものと思われる。こういう偏見は逆に推理小説先進国にはなくて我が国にはあるもののようだ。

パク・グァンギュ/季刊<ミステリー>編集長

https://www.hani.co.kr/arti/specialsection/newspickup_section/329719.html

原文: 訳J.S