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‘独立 呼び掛け’ 外交親書に高宗が直接捺した意味が大きい

原文入力:2009-03-17午後10:20:22
国外からやってきた大韓帝国国璽
1903~1907年 ロシア・ドイツ皇帝に送った手紙に捺され
博物館 “皇帝御璽, 在米同胞 所蔵者が連絡してきて購入”

ノ・ヒョンソク記者

←高宗が光武7年(1903)、イタリア皇帝に送った親書。露日戦争を控え国家の中立を守るために助けてくれという呼び掛けを入れた内容の最後に‘皇帝御璽’が捺されている(点線部分)。 右側は日帝時代のガラス原版写真に撮られた‘皇帝御璽’の姿。 今は失われた華麗な外箱の中に国璽が入っている。 写真文化財庁提供

悲運の皇帝、高宗が独立を守ってくれと訴える外交親書に直接捺した国璽が初めて出てきた。皇帝が行政実務に用いた印鑑である国璽は‘勅命至宝’等、高宗が用いた3顆(顆:印鑑を数える単位)が国立博物館に残っているが、国立故宮博物館が入手した‘皇帝御璽’は歴史的価値がはるかに高い。国璽を捺した過去の国政文書がこれまでに伝えられる事例は‘皇帝御璽’の場合が唯一なためだ。

■ ‘皇帝御璽’の価値は?
博物館側は‘皇帝御璽’が1903~1907年高宗がイタリア,ロシア,ドイツ皇帝に送った外交親書の最後に捺されたことが明らかになったと説明した。高宗は日帝に国を奪われる切迫感を表現し、普段手元で愛用したこの国璽を捺して送ったものと見られる。

高宗は多様な用途の国璽を国政に用いたと伝えられるか、これまで‘皇帝御璽’以外の国璽が捺された公文書は発見されていない。国立中央博物館に展示中の‘勅命之宝’と国立全州博物館に展示されている‘大元帥寶‘’,制誥之寶’は国防,官職人事などに使ったもので推定される国璽だが捺された公文書らは伝えられていない。これまでに発見された当時の高宗の外交親書10点余りにも字画が丸まった‘皇帝御璽’の字体とともに字画が角ばった正しい他の字体の‘皇帝御璽’が見られるが、この別の国璽も今どこにあるのか分かっていない。

‘皇帝御璽’は御寶や国璽現況が書かれた文献記録に一切登場しないという点でも価値が格別だ。1897年高宗皇帝の大韓帝国宣言過程を記録した<大禮儀軌>には国璽13顆が出てくるが、‘皇帝御璽’はない。<高宗実録>(1901年)に‘文華閣 玉璽などを補修するようにする’という記録があり、1901~1903年に作られたものと察するだけだ。イ・テジン ソウル大名誉教授は「皇帝が国権守護運動過程で内密に使った国璽が実物として現れたというそのこと自体で高い歴史的価値を持つ」と評価した。

入手した国璽は取っ手をはじめとする外形と印面などが原形どおりよく保存されている方だ。国史編纂委が所蔵している日帝時代国璽のガラス原版写真には現在は紛失した外箱の上に取り出した国璽が見えるが、今とほとんど違いがない。また国璽の成分分析の結果、合金の亀取っ手は銀と金の比率が81:18,本体は57:41で別々に造られ付けた事実も明らかになった。特異な点は国璽の印面の文字中‘ファン’(皇)字が‘自+王’で構成されているという点。こういう表記は1世紀中国の後漢代ホ・シンの字典<說文解字>に出てくるもので、高宗時の親筆碑石,儀軌などにも同じ表記が現れ自主意識を反映したものではないかとの解釈も出てくる。一方、チョン・ケオク国立故宮博物館遺物科学課長は「遺物購入公告を見た在米同胞所蔵者の連絡で購入することになった」として「価格などは明らかにすることはできない」と話した。

■国璽の受難史

王室印鑑目録がのせられた<寶印所儀軌>(1876),<大禮儀軌>(1897)等によれば19世紀末まで伝えられた国璽は‘朝鮮国王之印’(1876) ‘大朝鮮国主上之寶’(1876),‘大韓国璽’(1897)等11~13種に達する。だが高宗初期とそれ以前の国璽は現在一つも残っておらず、高宗晩年に作ったものだけが伝えられている。

旧韓末に編纂されたと推定される<寶印符信總數>という王室印章目録集によれば、皇帝用40顆など王室印鑑69ヶがあったと記録されている。しかし今に伝わる国璽は国立博物館の3顆だけで、残りの御寶などは相当数が行方が分かっていない。ただし、<純宗實錄>に1911年大韓国璽など国璽6顆を総督府に譲り渡したという記録が見え、日帝時代に多くの王室印鑑が流出したと察せられるのみだ。解放後には米将軍マッカーサーが日本に流出した大韓国璽など8顆を返し1946年展示したという<朝鮮日報>記事などが見られる。だが、それさえも韓国戦争で皆失くし、1954年国立中央博物館が国璽3顆を取り戻し現在に至る。

■国璽と御寶の差は?
国璽は国家権力を表象する。イ・コンム文化財庁長は「高宗の場合、即位して国政実務に合わせて多様な用途の国璽を造り用いた」と説明した。したがって今回入手した国璽も行政実務に使われた多くの国璽の中の一つだ。

御宝は広くは王室・王族の印章全体を示し、狭くは儀式用にのみ用いた王または王后,世子,世孫らの印章を称する。保管処も国璽は宮内部、御寶は王室祠堂である宗廟であった。御寶は王室の永続性を意味し内容も尊号,諡号などを刻む。王族の主要な通過儀礼の度に作られたもので国立故宮博物館に所蔵されている数量は330点余りで太宗以来の朝鮮主要な王の御寶が大部分残っている。ノ・ヒョンソク記者nuge@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/344660.html 訳J.S