原文入力:2012/01/30 14:58(5010字)
チェ・サンウォン記者
ショーだショーに過ぎない 映画が総選挙出馬用とは参ってしまう"
弁論を引き受けたパク・フン弁護士インタビュー
"特別検事制を導入し疑問点を全面再捜査しなければ"
←パク・フン弁護士
"特別検事制を導入して裁判過程で問題提起された未解決の疑問について全面再捜査をするべきで、その結果 新しい証拠が出てくれば再審しなければなりません。"
2007年に起きたいわゆる‘石弓事件’の裁判過程を扱った映画<折れた矢>が興行追求をしながらこの事件と裁判に関心が集まっている。 映画で扱った‘石弓事件’2審裁判の被告人弁論を引き受けたパク・フン(46)弁護士(映画ではパク・ジュン弁護士)に去る29日慶南(キョンナム)、昌原市(チャンウォンシ)、上南洞(サンナムドン)の彼の事務室で会い話を聞いてみた。 彼の事務室入り口の壁面は映画<折れた矢>ポスターで一面埋め尽くされていた。
"パク判事の傷を見た人はいない"
-映画で扱った刑事裁判が終わり‘石弓事件’と関連したすべての訴訟が終わったのか?
"そうではない。 2008年10月2日大韓民国を相手にソウル中央地裁に損害賠償請求訴訟を提起した。 誤った裁判のために被害にあったとし1億5000万ウォンを要求した。 2審まで行ったが2010年3月18日に終結した。 服類に対する証拠保全申請は受け入れられたが、血痕鑑定申請はやはり受け入れられなかった。 何の意味もなしに終わった。‘石弓事件’と関連してはこれで全て終わったが、キム・ミョンホ先生(映画の中キム・ギョンホ教授)は戦い続けている。"
-映画を見れば争点が何種類かに集約できる。一番目の争点として教授任用脱落理由についてキム教授は学校の誤りに対し問題提起をした不敬罪のためと主張している反面、裁判所は教授資質問題を主張しているが?
"私は刑事事件の弁論を引き受けたが、それは民事事件なので私とは関連がない。とにかく裁判所の資料を見れば、教授として資質と品性がないため再採用から脱落させたと出てくる。 私立大の再採用に脱落した方々の事件をたくさん引き受けたが、ほとんどの大学が客観的指標ではなく主観的なことなので、資質・協調性そんなことで評価して再採用有無を決めている。 客観的指標では点数が同等だが、主観的指標で大きな差をつけて脱落させる。 結局、主観的指標を憎まれた人を脱落させるための道具として使っているということだ。"
-裁判の進行過程と手続き上の問題点、代表的には血痕鑑定問題が重要な争点ではないのか?
“そうだ。被害者の服だとして回収されたものがあるが、それがパク・ホンウ判事(‘石弓事件’の被害者)の服なのかも確認されていない。 それで裁判過程でパク判事の服を初めて入手した人は誰かと尋ねたところ、ソウル、松坡(ソンパ)警察署のあるチームで回収したと言った。それで誰が回収しどこに渡したのか尋ねたが、返事は‘分からない’のたった1行だった。その服が被害者の服なのか、そうでないのかも分からないということだ。
被害者の服類というものがパク・ホンウ判事のものであることを確認するには、パク判事のからだの傷と服の穴があいた部分を合わせてみなければならない。 ところがそれはしなかった。 さらに笑わせるのは、パク判事の傷を見た人は誰もいないという点だ。 捜査記録にも傷のことは出てこず、診断書だけに出てくる。 普通、傷害事件では傷を写真で撮って残すが、この事件では捜査記録に腹部の傷を示す写真がない。 傷を覆っていたガーゼの写真だけがある。 とても気になる。 どういうことかは証人が出てきてこそ知ることが出来ることだ。 ところがそれは適切でないとし終えてしまった。
結局、その服に付いた血がパク判事の血なのか、そうでないのかも分からなくなった。 国立科学捜査研究院の服に付いた血痕鑑定結果は同一男性の血だと出てきた。 その服に付いているすべての血は一人の血だということだ。 それではその一人が誰なのか明らかにするには、被害者の血と対照しなければならないのでパク判事の血液鑑定を要求したがやはり適切でないとして棄却された。”
←映画'折れた矢'の一場面.
“折れた矢はどこにもなかった”
-他にも争点はあるか?
“石弓実験をした松坡警察署の関係者も色々と疑問を持っていた。彼は裁判所での陳述で‘なぜこういう傷を負ったのか疑問を持って実験をした’と言った。本当に石弓に当ったならば矢が腹に深く刺さるか、腹を突き抜ける筈なのに、そうではなかったためだ。 それで裁判所が参加する中で公開的に石弓実験をしようと申請したがそれも棄却された。
裁判過程でパク・ホンウ判事は何度も陳述を翻意した。‘私がある警察官に聞いたところを、ある医者に聞いたところ’と言って陳述を覆した。それで彼の陳述に出てくる人々を裁判に証人として呼び入れて尋ねた。パク判事にそのような話をしたことがあるかと。 ところが皆がそういう話はしたことがないと言った。 釈然としない部分が多かったのでパク・ホンウ判事を証人申請したが、裁判長は‘1審で皆聞いたことではないか’として棄却した。
-折れた矢は何が問題なのか?
“検察に‘捜査をした以上、明らかにしてほしい’と要求したことがある。 それを釈明要求という。 パク・ホンウ判事とアパート警備員が一貫して述べた犯行道具である矢の一本は先端が短くて中間で折れていたとのことだが。 それならその折れた矢はどこへ行ったのか。 キム先生が腰につけていた矢2本と折れた矢1本を警備員がまとめて花壇に置いておき、警察が来たので持っていけと言ったと言う。 それで回収した警察に尋ねた。 ところが警察は完全な矢だけがあったという。 証拠収集場面を撮った写真や動画は全くない。ところが検察は‘分からない’と言った。”
-他に疑問点はないか?
“たとえ矢に当って腹に傷を負ったとすれば、血が染み出てきて服に次々と付く筈だが、なぜ下着と上着には付いて、その間にあるワイシャツには血がつかなかったのか。それを明らかにしてくれと言ったが、それについて検察はやはり‘分からない’と言った。
疑問だらけだった。 疑問が一つや二つではなかった。 それを明らかにするため、じっくりと努力した。 ところが判事がみな棄却した。 判事が私にこう言った。‘分からないと言っているでしょう。検事が分からないと言っているでしょ。’
私が最後の公判時には裁判長に水の入ったペットボトルを投げようと思った。公判前に妻に‘俺、弁護士をやめようと思う。拘束されるだろう。 子供をちゃんと育ててくれ’と言った。 妻が‘分かった。ご苦労さん。 子供はちゃんと育てているから生きて帰ってきて’と言ったよ。 うちの妻は本当にクール(Cool)だ。ところが傍聴席で裁判長に向かってタマゴが飛んできた。 私がペットボトルまで投げれば暴動が起きそうだった。 それで我慢した。”
-裁判所ではキム・ミョンホ教授とパク弁護士が拘束期間満了による釈放を目的とするような態度を見せたと言っているが?
“それは裁判所がおそう思っただけのことだ。 色々な疑惑を明らかにするには時間がたくさんかかる。 それが拘束期間満了と何の関係があるか。 ところが裁判長はあたかも拘束期間満了が裁判期間満了であるかのように裁判を急いだ。 拘束期間満了と裁判期間満了は何の関係もない。”
キム教授は本来は勝訴? “ショーだショー”
-‘石弓事件’の原因となった教授地位確認訴訟2審裁判に参加したある判事が、最近裁判所内部網に書いてあげた文で、当時、判事3人の合議の結果キム・ミョンホ教授の勝訴だったが、他の理由で結論をひっくり返すことになったと明らかにした。 どう思うか?
“ショーだショー。 今になって騒々しくなったので言い逃れてみようということだろう。 自分たちは勝訴させてあげようとしたが、裁判態度が不良だったので勝訴させるものを敗訴させたという話にしかならない。 それなら報復だ。 裁判所を無視したことに対する報復。”
-それでは‘石弓事件’とその裁判の実体は何か?
“この事件は名誉毀損罪と併合されている事件だ。 キム・ミョンホ先生が最高裁の前で判事を攻撃する1人示威を続けたことに対する報復だと考える。 事件を大きくした人を監獄に閉じ込めるという司法府の報復だ。 控訴審最終弁論で私がそのことを明確に言った。 この事件の本質はその行為に対する司法府の報復だ。 この人が石弓を持って行ったことを機に、最高裁と多くの判事を批判したことに対し報復をしたのだ。 司法府の傲慢と独善的態度がこの個別事件を通じて全面化されたわけだ。”
-それなら今からでも正さなければならないことではないのか?
“特別検事制を導入し裁判過程で問題提起した未解決の疑問に対して全面再捜査をしなければならない。 それで新しい証拠が出てくれば再審しなければならない。”
-映画<折れた矢>を通じて隠された実体に接近することは可能だろうか?
“権力者が動かなければならず、政界が特別検事制を導入しなければならない問題だ。 国民の要求が野火のように広がり、国民が裁判所を統制する装置をどのように用意するか等の議論が進められなければならない。 この映画を通じて国民が司法府改革を声を限りに叫ばなければならないと考える。”
←パク・フン弁護士
4・11総選挙 無所属で出馬
-映画以外の個人的な話をしてみよう。 2004年ソウルでの生活を整理して昌原に来る時、相当悩んだようだ。 家族を説得するのも容易ではなかったとか。
“その時はまだ子供たちが生まれる前だったため、夫人だけを説得すれば良かった。 労働者密集地域に行き、彼らと密接な関係を結びながら生きたいと妻に話した。 すると妻はそのまま受け入れた。 ソウルで職場に通っていたが、それも辞めて。 クールだ。うちの妻は”
-パク弁護士は4・11総選挙で慶南、昌原を選挙区として無所属で出馬した。 ところで、なぜ他の予備候補たちのように街頭に出て行き選挙運動をしないのか、どうしてこのように事務室に座っているのか?
“それは旧態依然な選挙運動だ。 代わりに私はサイバー選挙運動体系を構築するのに時間をかけた。それでも来月からは私も本格的に旧態依然な選挙運動、伝統的な選挙運動に入るつもりだ。 朝出て行き挨拶をして、集いを訪ねて行き挨拶して。 ところで人々はなぜそれだけを選挙運動だと考えるのかが分からない。”
-サイバー選挙運動と言うが何をするのか?
“ブログ、フェイスブック、ツイッター、そういうものだ。”
-みな開設したということなのか?
“私の立場で言えば、開設と言うよりは定着したと言える。 スマートフォンを買って一ヶ月にしかならないが、フェイスブックは友人が1500人を越えたし、ツイッターも始めてからいくらも経っていないがフォロワーが1万人に肉迫し、ブログは毎日の訪問者数が7000~8000人程度になる。本格的に始めたのが去る15日からだったが、うまく定着できた。”
-結局、映画のおかげではないのか?
“映画の影響が相当あるでしょう。総選挙に出るために映画を作ったという人もいる。 そのような話を聞けば参ってしまう。映画と選挙とは何の関係もない。 だが、私の場合は時期的にぴったり合致するから私の認知度を上げるには大きな助けを受けた。”
-率直に言って映画<折れた矢>関連の言論報道がパク弁護士個人の選挙結果に大きな影響を及ぼすようだ。
“選挙に影響を及ぼすことと判断されるなら記事を書かなければ良いのだ。ただクールに。”
昌原/文・写真 チェ・サンウォン記者 csw@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/516610.html 訳J.S