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[マガジンesc] 宝くじ1等当選者、数十億 受領場所はどこ?

原文入力:2012/01/28 16:22(3287字)
キム・ソンファン記者

カバーストーリーesc集中取材、宝くじ当選者のあきれた裏話

←1. ソウル、上渓洞(サンゲドン)の‘スーパーコンビニ’で顧客がロト宝くじを購入している。 2.ドラマ‘ロマンスタウン’で家事コンパニオンであるノ・スングム(ソン・ユリ)がロト宝くじの当選を確認する場面.(韓国放送提供) 3.映画の一場面.(CJエンターテインメント提供)

1等当選金が244億ウォン(訳注:約17億円)?

映画<グッドモーニング プレジデント>(チャン・ジン監督)の主人公キム・ジョンホ大統領(イ・スンジェ)は任期末に244億ウォンがかかったワールドカップ宝くじ1等に当選する。 しかしその宝くじは記者たちに囲まれた状態で‘ワールドカップ宝くじスタート行事場所’で購入したもの。 さらに「もし当選したら全額を不遇な隣人のために寄付する」と豪語までした状態。当選金の欲望に悩みが深まった彼は、結局変装してこっそりと農協窓口へ当選金受け取りに行き市民に見つかり恥をかく悪夢まで見る。

当選者との接触… 007も顔負け

 しかし現実には‘1等当選大統領’が出たとしても、映画の中のキム大統領のように戦々恐々とする必要はなさそうだ。 最も多くの人々が買う‘分かち合いロト6/45’の当選金は多くの市民が行き来する農協窓口ではなく、ソウル、忠正路(チュンジョンノ)1街の農協中央会本社に行ってこそ受け取れるためだ。 そこでそちらを訪ねて、ベールに包まれた当選者の話に耳を傾けてみた!

 2002年にロト宝くじが登場して以来、国民銀行で行なってきた当選金支払い業務は2007年から農協中央会SOHO宝くじチームが担当している。 16日午前に訪ねた農協本社には去る土曜日(476回)の抽選で選択された1等当選者4人の内の1人が当選金を受け取りに来ていた。 業務開始時間に合わせて40代の夫婦と夫の兄まで計3人で訪ねてきたが、彼らは「当選の事実を知った後、ぶるぶる震えて週末の内に早目に上京し旅館に泊まり月曜日になるやいなやこちらを訪れた」とSOHO宝くじチーム担当者に話した。

 警備員を数人置いて外部人の出入りを厳しく統制している農協本社では、当選者の身分露出に特に気を遣う。 身分証と訪問証を交換しなければならない1階案内デスクの前でも身分露出のために「宝くじのためにきた」と知らせれば、SOHO宝くじチーム担当者が直接ロビーまで出迎えにくる。 防犯カメラ(CCTV)への露出さえ敬遠する当選者もいるので、5階接見室まで向かう時も一般用エレベーターではなく隅にある貨物用エレベーターを利用する。

 5階のSOHO宝くじチームの一画には担当者と当選者だけが向かい合える密閉された接見室がある。 当選者は接見室の黄色いソファに座り、身分確認手順を踏み、ロト宝くじを端末で確認し当選有無の確認を受ける。 分かち合いロト側に確認作業をする約30分の過程を経れば、税金を控除した残りの当選金が入金された農協通帳を渡される。 担当者は「ロト宝くじをなくしてはいけないと考え、財布をテープで封印して来たり、通帳をあらかじめ作ってくる場合もある」として「当選金を誰かに与えたくて贈与に関する質問をするケースがほとんど」と話した。

 実際2007年以後、宝くじ事業者は当選者に関する具体的な情報を公開できなくなった。‘ロト熱風’が吹き荒れ当選者に過度な関心が集まり、その副作用を防ぐために宝くじおよび宝くじ基金法に情報保護条項を新しく入れたためだ。 この日来た当選者にインタビューを提案したが、予想通り‘一言’で拒否された。 当選者の大部分はSOHO宝くじチーム担当者以外の他の職員と会うことさえ喜ばないと言う。

←14日<SBS>‘生放送 ブラボー分かち合いロト’抽選現場で傍聴客が抽選機の円筒内に球を入れている様子

ドタバタ おかしな事情もいっぱい

 しかしSOHO宝くじチーム担当者は宝くじ当選者を相手にしていると、多様な事情に向き合ったりする。 2010年春に訪ねてきた1等当選者の話もそうだ。 永く公務員生活をしたと紹介した彼は、当選当時に妻の実家から数十億を借りて事業をしたが破産した状態だった。 そのために夫人と離婚する状況に至り、離婚熟慮期間1週間を残した状況で宝くじ1等に当選したという! この日37億ウォンを受け取ったが、再び再結合したかどうかは分からない。

 残念な事情もある。2010年に50代の夫婦が1等当選金19億ウォンを受け取りにこちらに立ち寄った。当時、当選者は一緒に来た妻にその場で6億ウォンを贈与して行った。その後、農協に電話をかけ「妻が家出したので贈与したお金6億ウォンが入れられた通帳に支給停止をしてほしい」と申し入れた。 一年後、その当選者は妻の姉の亭主に凶器で殺害されたと新聞記事に登場した。 当時彼は妻の姉の亭主に4000万ウォン貸して言い争いになり殺害され、妻とも別居中で離婚訴訟手続きを踏んでいた。

 長期にわたり当選金が支払われる(電子宝くじではない)印刷宝くじ方式で最近人気を呼んでいる‘年金宝くじ520’を巡る当選因縁も多様だ。 年金宝くじはかつての住宅宝くじのように標的に矢を撃ち出た番号を宝くじ番号に合わせてみる方式で、1等当選番号6桁の前・後番号が2・3等を占める方式であるため連番を共同で買った職場同僚の当選事例が多い。

 昨年7月、1等当選者の事例がそうだった。自営業を営む40代男性の彼はかなり以前から直接宝くじを買い周辺の人々と分け合う習慣があった。 当時も年金宝くじ10枚を買ってきて、酒席で周辺の人々に9枚を配り、残りの1枚は自分のカバンに入れておいた。 さらにその酒席でカバンをなくして偶然に取り戻した後、一歩遅れて調べてみた宝くじが1等だったのだ! 半月が過ぎて京畿道(キョンギド)、果川市(クァチョンシ)、韓国連合宝くじ事務室に当選証書を受け取りに来た彼は「後で2等当選金を受け取りに来る人の中の1人が私の話をするでしょう」という言葉を残して行った。

 苦労して働く60代のおばあさん二人が帰途に並んで連番で宝くじを買い1・2等が一緒になった例もある。 韓国連合宝くじメン・ジュンソク広報チーム次長は「苦労していたが当選の幸運を得た方々に会う時には一層気持ちが良い」と話した。 この他に宝くじを買う前夜の夢で大統領に会ったとか、先祖が当選番号をさずけたという因縁はもうありふれている。

←ソウル、忠正路(チュンジョンノ)1街の農協中央会本社建物(右側)

当選金に対する男女の姿勢に違いはあるか?

 昨年ロト宝くじ当選者の事例を見れば、当選者の平均年齢は46才と出ている。 しかし当選者の男女間の行動にも差異が見られる。 男性当選者の場合には独りで当選金を受け取りに来る場合が多く、女性の場合には夫や家族など男性が一緒に来るということだ。 「恐らく女性は恐ろしくて一人では来られないケースがが多いようです。 一人で来た男性の方々には(配偶者に)当選の事実を知らせましたたかと尋ねれば、‘後で知らせる’と仰る方が結構いましたよ。 もちろん知らせたかどうか確認はできませんが。(笑)」(農協SOHO宝くじチーム担当者)

 邪神を込めて“当選者に共通した特徴は何”かとも尋ねた。「当選者にたくさん会ってみれば、とてもお金に切迫した方々よりは、他人を助けて金をなくした方、また邪心なく善行を積まれ々が多かったようです。」やはり問題は心がけなのだろうか。

文 キム・ソンファン記者 hwany@hani.co.kr 写真 パク・ミヒャン記者 mh@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/specialsection/esc_section/516126.html 訳J.S