原文入力:2011/11/27 21:12(2638字)
韓国、1800ページ条約-米国、80ページ履行法
このように不当な協定発効手続きを強行すべきだろうか
←ソン・ギホ弁護士
誰もが幸せな明日を願う。そしてより良い大韓民国を夢見る。これは市民でも李明博大統領でも違わないだろう。私は韓-米自由貿易協定(FTA)というものがなかった時に青年期を送ることができたことに感謝する。 もしそれがすでにあったとすれば私の人生は今より悪くなっただろう。想像したくもないが、韓-米協定がすでにあったとすれば1989年の全国民健康保険は不可能だっただろう。オバマ大統領でさえ米国で全国民健康保険を導入できなくなっているではないか? 代わりに米国式営利医療保険と営利病院があっただろう。韓国式‘グリーンベルト’も不可能だっただろう。 数百兆ウォンの補償金を支給しなくてはならないためだ。 経済開発5ヶ年計画も同じだっただろう。 韓国と米国の産業や製品を差別待遇できないためだ。
■青年世代が反対する協定
韓-米協定は全く違う世界へ韓国を導いてゆく。青年世代が最も心配だ。なぜなら韓-米協定の影響は今即時ではなく、5年とか10年後に本格的に現れるからだ。故に韓-米協定をやるのか、やめるのかを決める上で青年世代の意が大変重要だ。特に韓-米協定は普通の法律とは違い、国会が思いのままに直すことはできない。それで今の青年世代が社会の主役に成長しても米国の同意なしには直すことができない。したがって特に青年世代の意が重要だ。
今よりきびしい弱肉強食の到来
青年世代の未来は暗鬱になる
あえて<東亜日報>の世論調査を引用するまでもなく、20代と30代は韓-米協定に反対している。それは極めて当然だ。彼らは国際通貨基金(IMF)事態以後に社会生活を始めた。非正規職の苦痛を出発の時から体験している世代だ。極端な競争に露出した彼らの前には就職でも創業でも開かれていることがない。それで彼らは強者のための協定である韓-米協定に反対する。韓-米協定からさらに多くの影響を受ける青年世代が反対する限り、その発効手続きを中断することが‘世代間正義’(intergenerational justice)だ。発効ではなく青年世代との対話に乗り出さなくてはならない。
■米国の履行法から先に検証すべき
もう一つしなければならないことがある。韓-米協定発効手続きの不平等問題を検証しなければならない。 韓-米協定24章は韓国と米国が(発効のための)各自の法的手続きを完了したことを証明する書面通知を交換することを発効条件として規定した。このために韓国はその手続きとして国会から1800頁の韓-米協定協定文自体を条約として認定する手続きを選択した。しかし米国は米国憲法上の‘条約’としては認めずに80頁の韓-米協定履行法という法律を別に制定した。
問題はこの履行法だ。これは韓-米協定発効のための手続きにはなり得ない。 なぜそうなのだろうか? 韓-米協定は韓国と米国に韓-米協定の条項に‘効力を付与するために’必要なすべての措置を取る義務を与えた(1.3条)。しかし米国の履行法はこれとは違う。米国法に外れる一切の韓-米協定条項は常に無効と規定している(102条)。これでは韓-米協定は米国内で既存の米国法と違うという理由で無効になってしまう。これは非常に不当だ。 韓-米協定の発効のための法的手続きには該当しない。
米国は自国法令を保護しているのに
韓国だけが国内法を作りなおす
これに対してわが政府はどのように対応しているのか? 先月の国会最終討論で韓国政府は韓-米協定に反する米国法さえ調査を終えられなかったことを認めた。こういう状態で韓-米協定を発効してはならない。今は発効よりも米国の履行法を先に検証しなければならない。韓-米協定に反する米国の法律を全て確認しなければならない。
■韓国企業の提訴権 剥奪
最近キム・ジョンフン通商交渉本部長は韓-米協定で投資家-国家仲裁制(ISD)を廃棄しないという言論インタビューを行った。 それと共に韓-米協定が米国に進出した韓国企業を保護すると言った。しかし私が読んだ限りでは米国の履行法は韓国企業の協定提訴権を剥奪している。いかなる個人や企業も米国で韓-米協定違反という理由では訴訟できないように規定している(102条)。これは韓-米協定違反だ。韓-米協定では韓国企業は協定第11章(投資)違反を理由に米国政府を米国裁判所に提訴したり投資家-国家仲裁制に回付する選択権がある。 しかし米国の履行法はこれを否定したのだ。この不当な結果は韓-米協定自体を条約とは認定しない米国の履行法論理から始まる。 裁判官は条約や法律ではないものには拘束されない。その上、米国の韓-米協定履行法は不公平な発効条件を付けた。韓国が韓-米協定を守るために必要な措置を先に尽くしているかを確認するようにした(101条)。反面、米国は履行法の他に履行のための行政措置を発効後1年以内にやれば良い。ハンナラ党が去る22日、韓-米協定奇襲処理に留まらず、直ちに14ヶ改正法を処理したのもこういう条件を整えるためであった。このように韓-米協定発効手続きは米国履行法に合わせて回っている。
おそらく韓国政府は今、施行令と施行規則、告示の改正作業を米国と協議しているだろう。しかしその内容を知っている市民はいない。 国会も分からない。去る国会の最終討論で明らかになったが、国会が政府から報告を受けた目録は‘暫定’だった。従って政府が国会に改正必要法令目録を確定的に報告したことはない。このように発効のための検証作業は密室で一方的に進行している。
大統領は韓-米協定発効手続きを中断しなければならない。青年世代が反対する韓-米協定を発効するのではなく、先に青年世代と対話しなければならない。そして米国の履行法を検証し、その改正を要求しなければならない。また、改正が必要な国内法令の一切を市民に公開しなければならない。私はそれが正義だと考える。 ソン・キホ弁護士 khsong@srlaw.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/507417.html 訳J.S