原文入力:2011/11/25 10:36(3672字)
貧しい人にはガス代・病院代を与える制度
金が目当ての米国投資家も同意するでしょうか?
←イ・ヘヨン韓神(ハンシン)大国際関係学部教授
子供とおとながサッカーをして、その上に運動場まで傾いているならば、これは公正なゲームにはならないでしょ
不法ダウンロード韓国では駄目で米国内では関係ないんですって、こういう“お話にならない”条項がとても多いんです
子供の皆さんこんにちは。 私は大学でみなさんの叔父さん、叔母さんたちを教えている先生です。時には皆さんの先生方の先生でもありますよ。今日は皆さんに韓-米自由貿易協定(FTA)のお話をしようと思います。
子供の皆さん、‘自由貿易’が何かを先生に習ったでしょう。そうです。国の間で物を売り買いする時、税金をなくせば良い物を安く買うことができるでしょう。それでですね。子供サッカーチームと大学生の叔父さんサッカーチームとが試合をすると考えてみましょう。同じように走れば子供の皆さんが背や体力や技術、色々な面でゲームにならないでしょう。その上に運動場が傾いていると考えてみて下さい。角度計で測ってみるとおよそ30度は子供サッカーチーム側に傾いていますね。いくら蹴ってみても球が再び転がり降りてくる、そんな運動場でしょう。ところで叔父さんが言いました。ゴールポストを絶対に変えてはいけない! このように‘自由’に試合をすれば誰が勝つでしょうか? また、皆さんの中で力が一番強い友達と、格闘王 ヒョードルと‘自由’に戦えば誰が勝つでしょうか? こういう自由競争は実は強い側を‘保護’しようとするトリックなんです。先生もこのように考えるんです、自由貿易が本当に公正になれば本当に良いだろう。ところで実際にはそうではない場合がとても多いということです。
皆さん、米国という国は本当に強い国なんです。お金もたくさんあって武器も完全最高なのに加え、核兵器も世界で一番多いんです。時々、お金がなくなればガバッと印刷したりもします。我が国も安心してはいられません。冗談じゃないんですよ。ところで米国がとても強いでしょう。ウォール街って聞いたことあるでしょう? ニューヨークにある証券街のことなんです。我が国の汝矣島(ヨイド)にある証券街の元祖です。でも格がちがいます。そうですね、米国のウォール街と比べれば1000分の1にもならないかも知れません。そのウォール街が何年か前に超大型事故を起こしました。 金を儲けようと無限投機をして、その中の大きい会社のいくつかが全滅してしまったそうです。そのために私たちもものすごく被害を受けました。先生がウォール街の話をする理由はですね、韓-米自由貿易協定がただ関税だけをなくすことでは絶対にないからです。関税よりはるかに重要なのが、我が国の法と制度を米国式に作り直すことです。その中でもですね、ウォール街の利益を保障するためにそのような制度をそっくり輸入しました。本来の自由貿易協定はこのようにするものなのかって? とんでもない! 韓-米自由貿易協定で言う‘自由’はですね、本当はウォール街の自由で、お金の自由なんです。それで先生はこのように言いましょう。「地球上で本当に自由なのはお金と風だ。」素晴らしい言葉でしょう。 ハハ。
ところで皆さん、「投資家-国家訴訟制度」(ISD)って知っていますか? 我が国もそうですが、世界の多くの国の政府は本当に貧しい人々のために電気料金を割り引いたり、おじいさんとおばあさんの鉄道料金は安くして、そして皆さんと同じ年頃でお母さんとだけ暮らしている友達の家にはガス料金もちょっと安くしています。それだけではありません。 深刻な地球温暖化、気候変化を防ぐために排気ガスや二酸化炭素の排出量を減らせと企業に要求したりもするでしょう。また、農民が苦労して作った農産物を買って子供たちに無料で給食したりもしているんです。特に我が国は皆さんが体の具合が悪ければ全国どこの病院でも治療を受けられるとても良い制度を持っています。米国にはこういう制度がなくて多くの人が苦痛を受けています。
それでですね。米国の会社が我が国の発電所やガス会社を買い取ったり、鉄道会社を作ったり、あるいは我が国の政府が彼らに私たちの農民が生産した農産物を使うようにしたり、あるいは具合の悪い子供を無料で治療するようにしたりする時は、話がガラッと変わるそうです。慈善事業をするために投資したわけでもないのに、色々なことをああしろこうしろと言われたらいらいらするでしょ? 投資家は他人が安心して暮らそうが暮らせまいが、自分の利益だけを追求する人です。ところが国家はそうではありません。公益を代表しなければなりません。 それで‘私益君’と‘公益君’の戦いが起きます。この時、私益君は言います。「公益君、こっち来て、世界銀行という所に行って裁判をちょっと受けてみよう。僕、公益君のせいで損こいて半端じゃないから。」ところで世界銀行は何をする所ですか? 米国という国が実際の主人であるのに加えて、そこで一番偉い人にはいつも米国人がなるように定められているということです。それで公益君が言います。「嫌だよ、僕は行かないよ、損するに決まってるじゃん」 すると私益君がこう言います。「ふざけるなよ、君、無条件に行くと協定文で約束したんだよ、ここに印鑑を捺したじゃないか。」 ウッ、そんな馬鹿な。このように誤った制度が投資家-国家訴訟制度なんです。私たちの憲法も無視しているでしょ。
子供の皆さん、インターネットなしでは生きられないでしょ? 不法ダウンロードなんてもちろんしないでしょ。 ところで世の中で一番不公平な自由貿易協定である韓-米自由貿易協定は不法ダウンロードを許容するインターネット サイトは完全に閉鎖できることになっています。遅刻一回すれば退学させるという条項のようなものです。世界初なんです。もちろん我が国だけに適用されます。‘ウッ、そんな馬鹿な’と言いたいでしょう? そうなんです。米国には適用されず、私たちにだけそのようにしろと言うんです。それだけじゃなくて、“お話にならない”条項がとても多いんです。“逆進防止メカニズム”というのもあります。難しいでしょう? どういうことかと言うと、サッカーの試合で前にだけ行けということと似ています。後退りすればペナルティーキックです。大人たちがですね、子供の皆さんより間違いををたくさんします。先生も本当に恥ずかしいです。
韓-米自由貿易協定が発効されれば我が国は米国の‘経済領土’になるみたいです。私たちの市場も米国に占領されてですね。 特に私たちの農民がとてもひどい目に合うのです。それだけじゃありません。 皆さんのお父さん、お母さんの中に小さな会社を経営している人も多いでしょ? お店をしている方もいますよね。そのようなお母さん、お父さんは今よりもっと暮らしが難しくなりそうです。お母さん、お父さんをたくさん手伝わなければなりません。
我が国の自動車がものすごく良くなったこと知っているでしょう? ところでよく知らないおじさんが、韓-米自由貿易協定が発効すれば我が国の自動車輸出がものすごく増えると言っています。そうじゃないんです。すでに半分近くは米国で直接作って売っているのです。だから輸出がバンバン増えるわけではないんです。ところで米国が昨年こう言いました。 私たちが昔交渉して少し持ちだしたものがあるので、それ返してくれって。自分たちは全部食べたくせに、ミスで一つ残したっからって。本来、自由貿易というのは互いに関税をなくして消費者が良い物を安く買おうということを言ったのです。ところが初めは両方とも自動車を輸入する時にかける税金をなくすことを合意しました。ところがその後に、米国車がよく売れないと思って、韓国車を米国に輸出する時にかける関税はなくさずに4年間そのまま据え置こうと我を張ったそうです。政府の仕事をするおじさんが、これが利益が一番大きいと毎日自慢していたのにね、米国に寄越せって言われて軽薄にみな譲り渡してきましたね。真のバカでしょう。
働き口が増えるだろうとテレビでは言っているでしょう? でも、先生が見るにはマクドナルドで一日中パティを焼いたりする働き口のほかには、皆さんが熱心に仕事をして、お金もたくさん稼げるような働き口はまったくできそうにありません。本当に心配です。今日はここまでにしますね。質問があればメールで送って下さい^^。
イ・ヘヨン韓神(ハンシン)大国際関係学部教授 2haeyoung@gmail.com
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/507101.html 訳J.S