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[寄稿]虚偽事実流布罪はない/ソン・キチュン寄稿

原文入力:2009-02-18午後07:52:04
←ソン・キチュン全北大教授・憲法学

虚偽事実流布罪という亡霊が飛び交っている。主にインターネットを利用して虚偽の事実を流布した者は処罰を受けるということだ。 実際に災いを被った人もいて今は‘ミネルバ’パク・某氏とネチズンたちを困らせている。しかしこういう亡霊はいない。亡霊を作って人を怖がらせ、こらしめてくれようとする者がいるだけだ。自分たちは亡霊を操るだろう、それに見舞われることはないと考えているのだろうか?
電気通信基本法第47条第1項には“公益を害する目的で電気通信設備によって虚偽の通信をした者は5年以下の懲役または5千万ウォン以下の罰金に処する”となっている。ここから虚偽事実流布罪という亡霊が作られた。虚偽事実流布罪というのがなぜ亡霊なのか見てみよう。

‘虚偽の通信’を通信の内容が虚偽であることを含むと解釈するのには根拠がない。虚偽の事実を通信したとして、そのために特別に取り扱われることではない。嘘が悪いとしても法的には特別な場合にだけ問題になる。内容が偽りならば、それが詐欺罪,名誉毀損罪,選挙犯罪などの構成要件に該当する時に問題になるだろう。

通信で特別に重要なのは遠く離れた人の間のコミュニケーションで通信の安全性と信頼性を確保することだ。送受信過程で他の人の名義をむやみに使わないようにしなければならない。電気通信で特別に規制する部分はまさにこの‘名義の虚偽’に関する部分であり電気通信基本法の関連条項はこれを規制するためのものとみるべきだろう。内容を偽ってする場合は、船舶遭難を偽って打電すること(日帝下の無線電信法)のように特別な規定がなければならない。

電話やインターネット用コンピュータは‘電気通信設備’でもない。これらは‘電気通信網に接続される端末機器およびその付属設備’である端末装置に該当する。端末装置は電気通信設備とは区別される。(電気通信設備の技術基準に関する規定)電気通信設備は基幹通信事業者が管理しなければならず、自家電気通信設備は設置する際に放送通信委員会に申告しなければならない。インターネットのためのコンピュータや電話機などは通信のための端末装置であってそのような電気通信設備ではない。

それでも電話やインターネットを利用することが‘電気通信設備によって’通信することだと解釈することもできない。“有線・無線・光線およびその他の電子的方式によって符号・文言・音響または映像を送信したり受信すること”が電気通信であるが、あえて‘電気通信設備によって’という一節を入れた理由は電気通信設備自体に比重を置いたものと見なければならないだろう。また電気通信業務に従事する者が同じ犯罪を犯せば刑量を二倍まで加重する理由もこれらが電気通信設備を管理運用する正当な権限を持つためだ。したがって‘電気通信設備によって’というのは単純な電気通信サービスの利用ではなく、電気通信設備自体を利用する行為をいうものと見なければならない。

‘公益を害する目的’ということは非常に抽象的で曖昧で犯罪構成要件としては明確性原則に反する。違憲だ。目的犯になろうとすればさらに重要な公益の侵害に限定されなければならない。その危険も明白で現存するということでなければならない。

電気通信基本法のこの条項は‘交換・送信設備など電気通信設備自体を利用して虚偽の通信名義を掲げて広範囲な相手方に送信し、それによって国家安保や社会秩序に直ちに迫る明白な危険を起こそうとする場合に関すること’という時にようやく合憲的解釈になりうる。

虚偽の事実をインターネット通信を利用して広く流布したからと処罰を受けるという条項はどこにもない。風のように消える亡霊であるだけだ。

ソン・キチュン全北大教授・憲法学

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/339635.html

原文: 訳J.S