原文入力:2011-03-04午後08:14:48(1141字)
延坪島(ヨンピョンド)近くの海を漁船に乗って漂流してきた北朝鮮住民の送還問題が、南北関係にとってまた新たな悪材料となっている。 政府は漂流者31人のうち4人が南側に“亡命”の意思を明らかにしたとして、残り27人だけ送りかえそうとしている。 これに対し北側は“反倫理的行為”であるとして南側を荒々しく批判している。
今回の件では何よりも、南側当局が漂流住民を取り扱ってきた過程が釈然としない。 彼らは先月5日南側領域に到着した直後、当局の調査で南側に留まる意思がないことを明らかにした。 政府の公式発表ではなかったが、当時合同参謀本部関係者が明確にそのように説明した。 彼らが家族単位でなく作業班として編成されている点も、意図的脱北とは距離が遠かった。 ところが一ヶ月の後、最終送還決定を目前にした時点で4人が南側に残る意思を表明したという。 住民の心を変えるための作業があったのではないのか疑われる状況だ。
たとえ懐柔作業をしなかったとしても、政府が調査期間を長引かせたこと自体が問題だ。 政府はこれまで北朝鮮の漂流者に対して1~3日で調査を終えて希望者を送還した。 そうしていたのを、昨年12月以降、今回まで計三件の漂流事件に対しそれぞれ一ヶ月ほどの調査をした。 自由意思は確認するが短期間内に人と物資などを送りかえすという既存の原則を崩したのだ。 これでは民間人である難民に対して非人道的に抑留期間を延長したと非難される恐れがある。 今後北側に対して南側の漂流者を早く送りかえせと要求する根拠も失うことになろう。
政府当局者は北側が延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件を起こして挑発したことや、北側も越境した南側の漁船と漁夫を一ヶ月程度ずつ調査していることをその理由に挙げる。 しかしこれは南北関係において相互主義を誤って適用した代表的事例になるかもしれない。そうしたからと言って北側に対する圧迫効果が発揮されるわけでも全くない。かえって、もっぱら南側が感情的な対応をしているように見られる可能性がある。
そうでなくとも現在南北関係は非常に悪い。 南北対話に対する政府の態度も信頼感を与えられずにいる。 こういう状況で政府は、慣例により処理すれば充分なはずの漂流北朝鮮住民送還問題さえ、透明に処理することができないでいる。 柔軟に問題を解いていっても足りない状況なのに、硬直した姿勢に固執する政府の態度がまことに残念だ。
原文: 訳A.K