原文入力:2010-12-10午前08:13:21(1931字)
シン・ギソプ記者
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現代自動車下請け業者所属非正規労働者たちが昨日までの25日間、蔚山工場占拠ストライキを行った。労働者たちは先月15日に奇襲的に工場を占拠し、そのために工場の機械は力なく停まった。労働者なしには機械が回れないことを再確認させてくれながらだ。占拠ストライキが一ヶ月近く動揺しなかったことは、経験が多く組織がよく整えられた労組でも容易ではない。これ以上は我慢できないという怒りと馬鹿正直さだけで彼らは耐え忍んだ。
思いがけないことはそれだけではない。彼らは籠城を始めて何日か後にツイッターに入ってきた。占拠籠城している組合員たちが各自ツイッターアカウントを作り、声を出し始めたのだ。彼らは会社側の一方的な主張が言論を通じて報道されれば、直ちに反論するなど積極的に対応した。ストライキをする労組が普通はスポークスマンを通じて枠にはまった話だけを伝えることとはかなり別の様相だ。
だが、さらに注目すべきことは、ツイッターを通じて籠城現場と外部の間の距離感が大幅に減ったという点だ。労働者たちは時々刻々と内部でどんなことが起きているのか、どのようにして寒さと空腹に耐え抜いているのか、写真まで付け加えて生々しく知らせた。そうするうちに、これらの文が少なくなると、ひょっとして何かが起きているのではと心配する人も一人二人ではない。いつのまにか彼らの忠実な‘追従者’(フェロー)になったのだ。籠城労働者たちはツイッターを通じて外部の便りにも接し、人々の反応も調べてみる。彼らが各自自身の思いと所信を率直に表わすのも、それ以前とは違う姿だ。こうしてみるならば執行部だけを眺める代わりに、各自が状況を判断し意見を集約し、ことを決めることが可能になる。自然に自発性もできるはずだ。こういう自発性こそ動揺することのないストライキの秘訣ではないかと思う。
新しいストライキの様相はツイッターというインターネット媒体のおかげで可能になっただけではない。時代が変わっただけではなく労働者たちも変わったからこそ可能なことだ。彼らは以前の世代とは明確に違うようだ。ツイッター自己紹介項目に‘まだ幼くて遊ぶことが好きで…’と書いた20代後半の籠城労働者に会えば、変化の断面を垣間見ることができる。彼は寒さと空腹の中でも疲れてしまったり、くじけたりせずに通常のツイッター利用者たちと自然に交わった。‘現代車非正規職ストライキ’がインターネット ポータルサイト人気検索語に浮上することが願いと言い、熱心に参加を訴えストライキが終われば食べたい物をならべたりもする。ツイッターで会ったストライキ支持者たちを訪ね歩き、美味い食べ物を食べる計画まで立てていた。
この青年は自分の所信を明らかにすることにもよどみがない。「籠城をあきらめて降りて行きたいです。でも! 私は大韓民国の20代青年です。私自身がこの国を導いていく未来です。」「なぜストライキするのかという質問を受けました。皆さんの夢は何ですか? その夢…夢のために何かするというのが困難で疲れることであるほど満たされた時の気持ち ご存知ですか? これが私の答です。」遊ぶのが好きなこの青年から 「私たちの時はそうじゃなかったが、今時のガキたちは重い石も持ち上げない」として説教をする既成世代がどれくらい愚かかを習う。この青年のおかげで美しい人生がどんな姿なのかも見た。
笑い話で言う言葉の中に‘世の中はストライキしてみた労組とそうではない労組に分かれる’という言葉がある。実際にストライキを体験した労働者たちは目つきからして違う。ストライキをしようとすれば命がけにならなければならない韓国の現実のためだ。ストライキ労働者たちは、権力がどれほど自分たちに敵対的か、その真実に目を開く。現代車非正規職たちも全く同じだ。「(工場)出入証を返却し社員証を受け取り降りて行く」という彼らが、今や 「私たちが敗れれば、子供たちも永遠に非正規職のレッテルを付けて生きることになる」と話すことになった理由がここにあるだろう。今回の戦いがどのように終わろうが、彼らが今の気持ちを守ってくれたらうれしい。彼らはすでにそれ以前に住んだ世の中とは違う世の中に入ったし、その力があれば世の中全体を変えることも単なる夢ではない。
シン・ギソプ論説委員 marishin@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/453003.html 訳J.S