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[パク・ノジャ コラム] 平和を作る道

原文入力:2010-12-06午前08:31:10(1723字)

←パク・ノジャ ノルウェー、オスロ国立大教授・韓国学

今この文を書いている時点、韓半島は一触即発の状況だ。北側が常套化された "火の海" 修辞を繰り返すかと思えば、南では反北韓狂風に巻きこまれた保守政治圏が "先制攻撃" とか "米国核兵器の韓半島配置"  "北傀" など、あらゆる背筋が寒くなる言葉が出ている。それよりさらに苦々しいことは、北韓の罪だけを一方的に強調する保守的主流の強硬論調が、今回 草の根民心にも相当な影響を与え、北側に対する省察なき怒りが全国に拡散しつつあるという点だ。

もちろん、いかなる状況論理でも民間人と若い兵士など 民衆の貴重な生命を奪い取った北側の砲撃を合理化することはできない。だが、相手方の誤りに対する怒りだけを持てば どんな葛藤も解いていくことはできない。我が方の対北韓態度の根本的な問題点から反省することこそ平和を作ろうとする人の本来の姿勢ではないだろうか?

南の保守主義者らは米国の "核非拡散が先" の論理に従い、北側との真剣な和解の前提条件として "核放棄" を先頭に掲げる。多数の民衆を一挙に殺害する核兵器自体は当然反対の対象にならなければならないが、世界で2番目に多くの核弾頭を保有している米国の非拡散政策が "平和" よりは 核兵器既存保有国の独占維持を指向しているということは世の中の皆が知っている。

その上に、米国の論理は極度に選別的だ。北側よりはるかに先に作られた、その数量も北側の8倍程度と推算される友邦イスラエルの核兵器については一度でも米国や南によって糾弾されたことがあったか? イスラエルは中東の強大国だが、東北アジア最貧国である北側は、事実そのすべての隣国に軍備・先端武器競争で後れをとっている。核兵器はそれ自体が悪だとは言え、北側としては生存の唯一の担保である核を絶対的に問題とするよりは、北側民衆の生存権を保障することに役立つ経済協力から急ぐことこそ平和の近道ではないか?

南の保守主義者らは北側との信頼構築、協力、平和共同体建設などが難しい理由として、北側の世襲独裁をしばしば挙げる。李承晩や朴正熙が作ろうとして失敗した終身執権体制を金日成が成功的に作り、その余勢をかって完全に世襲化させた点も、北側同様に深刻だった虐殺、投獄、拷問、監視、全社会の兵営化などの反人権的行為を繰り広げた南の権威主義体制を結局は終息させた民衆運動の功労が偉大だという点も当然に事実だ。

ところで民衆が流した血で政治が多少民主化されても、南の社会・経済は今でも北側と根本的に同じ縁戚的方式で動く世襲財閥らの独裁により支配されている。労働者が続々と白血病で死んでいっても、彼らが死んでいく所が国内最強財閥の工場である以上、労災認定syらきちんとなされないことも、大法院が不法派遣判決を下しても、もう一つの屈指の財閥がその判決を簡単に無視してしまうことができることも、法より財閥の力がさらに優勢な南社会の実状だ。

北と南の対立は、反民主と民主の対立というよりは、世界体制から孤立した後進的なスターリン主義的独裁と、世界体制に深く編入された "先進型" 財閥独裁との対立だ。北側の問題点を直視しながらも、我々もまた絶対に完ぺきではないということを認め、二つの社会がもう少し民主的な方向に進むことができるようにする平和体制構築のために共に努力しなければならないのではないだろうか?

平和は憤怒と自慢、独善の産物ではなく、冷静と骨を削る猛省、相手方に対する尊重の産物だ。北側の上に君臨したり、北側を無視する姿勢を捨て、生存権を要求する北側の立場に適切に配慮し、北と南の民衆がより多くの民主主義と人権のために闘争できる平和体制を共に構築しなければならない。軍事的緊張と総動員状態では北であれ南であれ いかなる進歩も不可能だ。

パク・ノジャ ノルウェー、オスロ国立大教授・韓国学

原文: https://www.hani.co.kr/arti/SERIES/68/452233.html 訳J.S