原文入力:2010-09-26午後05:52:55(1708字)
ソン・ジュンヒョン記者
←ソン・ジュンヒョン社会部門先任記者
その情報提供者は本当に差し迫っていたようだ。普通、会社から情報提供電話がくれば受け付けた人が几帳面に書きとり記者たちに電子メールで伝達する。だが、その日は情報提供がくるやいなや直ちに私に電話で知らせてきたという点が違った。後で聞いてみると、情報提供者は会社案内職員に必ず担当記者に会わなければならないと話したという。
彼が差し迫っていただけに私も一緒に心がせわしくなった。約束場所で会うやいなや、彼は興奮が静まらないからなのか声を高めた。時にはとりとめなく話を切り出し何の話なのか理解が難しかった。だが、非常に切迫していた。
"大学野球チーム監督たちは入学と関連して父母から金を受け取れば首が飛びます。それで後援会長を代わりに前面に出して金を受け取るのが慣行ですね。" 一時間余り続いた彼の話はこのようにして始まった。"ソウルのある大学野球特技生として入学するものと固く信じていた高校生の息子の入学の道が塞がりました。" この学生の父親である情報提供者は記者に昔からある野球界体育特技生選抜不正問題を切り出した。
大学野球チーム後援会長から "(息子が)合格した" という話を伝え聞いたのは去る6月だった。当時、彼の息子は他の大学3ヶ所でも受け入れる意向があるという連絡を受けた状態だった。だが、情報提供者は当初選択した大学が気に入り他の大学の要請を全て断ったという。
そうするうちに突然息子が通う高校の野球監督から‘大学側からお金の話が出ている’ということを伝え聞いたのは先月初めだった。高校監督は‘大学野球チームの後援会長にお金を渡せば合格させてくれるという話を聞いた’と話した。父母たちの間では野球特技生として大学に合格しようとすれば7000万~8000万ウォン程度を使わなければならないという話は公然の秘密だ。お願いをしてお金をちょっとまけてもらったという。
だが、6月から "合格した" という話を数回繰り返してきた後援会長が突然言葉を変えた。9月になるや "定員がみな埋まったので入学できない" と話したということだ。情報提供者は悔しがった。まず金を使って初めて合格できる野球特技生選抜制度に憤りが爆発した。しかも他の大学3ヶ所から受けた入学提案まで断って選択した大学なので一層腹が立った。実際に随時1次募集期間に体育特技者願書を書かねばならないのに、監督が駄目だと言ったので他の方法がなくなったのだ。大学野球チームの場合、学生選抜の際に監督が全権を握っていて、監督の内諾がなければ願書を出してみても効果がない。
記者は情報提供者とともに高校野球監督に直接会ってみることにした。だが、翌日、情報提供者は電話を受けとらなかった。ようやく繋がった通話でも情報提供者は「2~3日様子を見よう」と言った。私は非常に腹が立った。結局、息子を合格させるために学校側に対する脅迫手段として記者を利用したのではないか疑わしかった。そして随時募集が終わった後、彼は苦しかったのか、再び私に電話をかけた。そして不満を再び吐露した。だが、取材につながることを願いはしなかった。
通話を終えて考えた。一通の情報提供が世の中を変えるという。情報提供者は社会の不合理な部分を正そうと言論に知らせる。だが、時には情報提供者は自身の不遇な境遇をまぬがるために言論を利用する場合もある。
記者はどうなのか。記者は情報提供内容を取材し社会の弊害と不正を掘り起こし是正を要求する。だが、いくら目に見える不正でも取材が難しそうな時には情報提供を無視したりもする。
"無駄に力を費やすことはやめよう" と言って自身と妥協する。情報提供者に自分の過ちを見る。
ソン・ジュンヒョン社会部門先任記者 dust@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/440938.html 訳J.S