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[朝の日差し]イ・トンゴルと研究員の品格/チョン・ヨンム

原文入力:2009-02-02午後08:48:41
チョン・ヨンム記者
←チョン・ヨンム論説委員

研究員の独立性と自律性を現政権が単にぜいたく品程度に感じると直撃弾を飛ばしたイ・トンゴル前金融研究院長に対して、イ・ハンク前ハンナラ党政策委議長はノ・ムヒョン政権時にコードを合わせた人だとさげすんだ。しかしイ院長は参加政府時期にも所信に外れる政策に対しては苦言を惜しまなかったし情熱を傾けることもした。「庶民と弱者に配慮して、企業を動かす個人の不正は厳しく処断するという前提の下、企業が好きなように活動できるように解放しようという差別化を自らあきらめた」と参加政府に対して酷評したことを記憶するならば、イ前議長の批評は右から左へ聞き流してもかまわないようだ。

イ院長は官界を行き来しながらも珍しく学者的良心を守った知識人だ。彼は特定集団の利益が常識を圧倒し彼らだけの利益を極大化するために不正と反則を正当化する現実に対抗してきた合理的改革論者だ。金融が先進化しようとするなら原則と法治が正しく成り立つべきで、市場原理によりまともに作動する金融システムを作らなければならないというのが彼の所信だ。解決方法を求めて彼は最近晩学(注:年を取ってから勉強すること)で法学学士帽をかぶることもした。

金融研究院は金融分野最高の頭脳集団(シンクタンク)であり、国策研究院ではないが政府や政策と緊密な関連がある。したがってイ院長の大声は三星法務チーム長を務めたキム・ヨンチョル弁護士の内部告発に比喩される確証と重さを持つ。政府の研究員締め付けを批判したイ院長の辞任の挨拶は、コード問題ではなく響きの深い良心的知識人の内部告発だ。

イ院長は研究員に不当な圧力を加え経済成長率予測値まで政治変数化する浅はかな政府の形態を告発した。同時に彼は研究員を導いていくのは院長ではなく研究員などであり、研究員に対する信望と信頼を維持しなければなければならないと頼んだ。研究員らのも黙従と屈身に警鐘を鳴らしたのだ。

正確な分析と判断は研究の生命だ。危機状況であるほどそういう自律性と独立性は重要だ。政府の食欲に合わせて状況をわい曲したり操作するならば国民経済に大きい害悪を及ぼすことになる。過去の例を見れば、また別の危機を呼び起こして一歩進んで危機を拡大再生産させる原因は市場に正確な情報を与えなかったことが大きかった。政策に批判的な研究員を除去されなければならない存在として扱う政府に問題があるが、不利益が恐ろしく正しい声を発せない研究員も容認することはできない。

研究員は知識人であり、知識人は真実をいわなければならない。特に税金で運営される国策研究院はそういう使命で存在するものだ。 朝鮮時代にも知識人たちは命をかけて直言をした。中宗12年4月4日朝、経筵の朝講で特進官イ・ジャゴンは王の面前で口を開く。「江原道には霜が降り雪が降ってみたり凍って死んだとか、色々な変怪が重なって現れています。臣が考えるには聖上(王)が誠心が足りなくてそうなのかと思います。」隣の席のチョ・グァンジョは「災変が起きるのは朝廷の不和ためだと考える」と説明する。

上疏文一枚と命を交換するという壮烈さを表わす場合が持斧伏闕上訴だ。文字どおり体に斧を持って宮門前にひざまづき自身があげた上訴を嘉納(喜んで受け入れる)しないならば持っている斧で殺してくれと情熱を傾けることだ。壬辰倭乱の時、義兵長として活躍した重峯 趙憲,旧韓末の勉庵 崔益鉉がそのように上訴を上げた。自己犠牲を甘受しても王の役目を悟り国の命運を切り開けとの真の知識人の道理を実行しようとする勇気があったためだ。

絶対権力の時代にも知識人は真実を語った。まして民主社会で厳重な危機を迎えたのに研究員が品格を守ることができないならば、人のせいにするのではなく根本責任は研究員が負わなければならないだろう。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/336464.html

原文: 訳J.S