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[イェ・ジョンソクの今日のお昼] 6・25が作り出した咸興冷麺

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/437335.html

原文入力:2010-08-29午後09:24:54(866字)

咸興(ハムフン)には咸興冷麺はない。北側出身元老たちの証言を聞いてみても過去にそのような食べ物の名前は存在しなかった。北韓で刊行された<社会主義生活文化百科>が掲げた有名な朝鮮の食べ物にも‘平壌冷麺’はあるが、咸興冷麺はない。咸鏡道の特産食でジャガイモ澱粉麺と咸興麺が出てくるだけだ。咸興麺とは‘薬味として すりゴマをかけ、エゴマ油を煮つめて入れることが特徴’という記述から見る限り,咸興冷麺とは別の食べ物だ。

今、私たちが食べている咸興冷麺と似た食べ物としては膾麺が収録されている。咸興冷麺は6・25事変が作り出した呼称だ。咸鏡道の故郷に帰れない民たちが名声高い平壌冷麺に対抗するために自分たちの故郷の食べ物に付けた名前だ。昔から‘泥畑で戦う犬のように猛烈にがむしゃら’として‘泥田闘狗’という評を聞いてきた咸鏡道人の気質を如実に示す事例だ。それはともかく咸興冷麺は晋州冷麺が痕跡をなくした今、平壌冷麺と共に冷麺の二大山脈だ。同じ北韓の食べ物でも咸興冷麺は平壌冷麺と色々な面で対照的だ。ソバ粉で作ったやわらかい麺を。主に出し汁に混ぜて食べる平壌冷麺とは違い、咸興冷麺はジャガイモやさつまいもの澱粉で作った強靭な麺を辛い薬味にカレイやエイ刺身とともに混ぜて食す。三水甲山(後は野となれ山となれ)に象徴される痩せた高原地帯で苛酷な厳冬を耐えて暮らした咸鏡道の人々の強靭な気性がそっくり溶けている食べ物だ。咸興冷麺が丈夫だからと、はさみで切る人がいる。非常に長い麺は古の昔から長寿を祈る食べ物だ。いくら丈夫でも自ら短命を催促する必要はないのではなかろうか。

ソウル、五壮洞、興南屋に行けば60年、3代にわたって作っている元祖咸興冷麺に出会える。

イェ・ジョンソク漢陽大経営大学長

原文: 訳J.S