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天安艦 真相は集団知性で解決できる

原文入力:2010-08-04午前09:14:44(1786字)
"1番魚雷が焼けないこともあるという主張は間違いだ"

何が天安艦を沈没させたのか、意見が入り乱れている。博士学位はないが現場経験が豊富なシン・サンチョル,イ・ジョンイン氏とロシア専門家団が同じように結論を下した初期座礁説がその一つだ。構成員らの博士学位だけで20ヶを越える合調団が主張した北韓魚雷説もある。前者は常識人ならば理解できる生存した兵士と亡くなった兵士の死体のきれいな状態、水柱がなかった点、スクリュー翼の損傷状態、プロペラ軸に巻かれていた漁船網などを前面に掲げた。後者が前面に掲げたものは魚雷破片の鉄の塊だ。

鉄の塊の表面腐食程度に対しイ・ジョンイン氏は金属腐食実験を通じて、その鉄の塊が水の中に50日だけあったという合調団の主張は偽りだと反論した。これはロシア専門家たちの肉眼による評価とも一致する。常識人が見るには水中に数年もあったような屑鉄の塊りが合調団により 北韓魚雷が天安艦を沈没させたことを立証する "決定的" 証拠として提示された。

合調団は2つの証拠を提示している。その鮮明な青色の "1番" 文字と3つの吸着物質から来る "科学的" なEDS/XRDデータだ。先ず、その "1番" マークは常識の線で考えれば南側の人々でも書ける。法廷では証拠に採択されえない。合調団も "科学的な" 分析の結果、青色インクの色素は韓国企業のモナミが特許を申請した‘ソルベント ブルー5’なので北韓製とは言えないとし、自らその証拠能力を否定した。

最近ソン・テホ韓国科学技術院(カイスト)教授が‘1番’文字が焼けないこともあると主張した。しかしソン教授はバブルガス膨張過程が可逆的だと仮定して計算したが、爆発過程は非可逆的なので彼の主張は誤りだ。たとえ彼の計算が正しく、‘1番’が書かれているディスク後面に0.1度の温度上昇もなかったとすれば、爆薬が入っている弾頭からディスクよりさらに遠く離れたプロペラにどうして爆薬成分のアルミニウムが吸着したのか説明できない。これはアルミニウム酸化物が爆発の結果により吸着したという合調団の主張と相反する。

合調団が提示した2番目の "科学的" 証拠であるEDS/XRDデータは特定分野で最小限、修士学位があってこそ理解できるものであり強大な権威と力を合調団に付与するように見えた。ところがEDSが専攻のヤン・パンソク博士とXRDが専攻の私が覗いて見れば、合調団のデータがつじつまが合いもせず、どのデータが操作されたものか明らかなことが丸見えになったではないか。ヤン博士と私の問題提起に対する合調団の反論は偽りで綴られた。これは合調団の最終報告書が8月6日に出てくるというので、その後に整理し発表する。

今や幻影の陰に隠れている天安艦沈没の実体を明らかにする段階に移らなければならない。この段階はすでに始まった。6月29日、合調団は言論団体説明会でスクリュー翼の変形状態をニュートンの "慣性法則" を挙げて説明した。ある記者が 「慣性によるならば曲がる方向が正反対になるべきではないか」と核心を衝く質問をした。その質問が天安艦沈没原因の実体に接近する出発点だと考える。ロシア調査団も同じ結論を下したと理解する。合調団に参加しスクリュー翼変形状態を引き受けたノ・インシク忠南大教授が自分のシミュレーション結果は合調団の主張と異なるということを証言した。

天安艦 真相を明らかにするには博士学位は必須条件ではない。常識を持った集団の理性ならば充分だ。博士学位を持つ人々の役割はその渦中で現れる幻影を片づけるところに止まる。博士学位を持った人々の役割がないわけではない。誰がどのようにその幻影を作ったかだ。おそらく政治状況を見る時、数年はかからないと見る。国会での国政調査が必要だ。

しかし制限された情報からもスキ間が見える。スクリュー変形状態がその一つだ。韓国社会の一般常識人の集団知性の健闘を祈る。天安艦の真実は常識人の集団理性が解決できる。

イ・スンホン米国バージニア大物理学科教授

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/433353.html 訳J.S