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[寄稿] 韓国語論文が0点を受ける時代/ユ・ジェウォン

原文入力:2010-07-09午後08:07:22(1796字)

←ユ・ジェウォン韓国外大ギリシャバルカン語科教授

韓国語が学問語としての位置を深刻に威嚇されている。
ある報道機関が昨年から英国の大学評価会社QS(Quacquarelli Symonds)と共同で実施する "アジア大学評価" では、韓国語論文に対する点数が最初から考慮対象からはずされている。この報道機関の大学評価基準は研究能力(60%),教育水準(20%),卒業生評判度(10%),国際化(10%)等、4分野を点数化し順位を付けるが、研究能力と国際化が全て英語で論文を書くことを前提に評価される。結局、英語論文の比重が70%も反映されるように組まれている。また、評価の総括責任者もベン ソーターという英国人だ。

QSの大学教授研究能力評価は‘スコーパス’(www.scopus.com)というオランダの会社が作ったデータベースと検索エンジンを利用する。スコーパスは世界約2万5000種余りの学術誌を国際著名学術誌として登録しているが、これらの学術誌は全て英語で書かれている。この基準に従えば韓国語で書いた論文は0点処理される。各大学の反応は相当に憂慮するに足る水準だ。すべての大学は国際著名学術誌掲載率を高めるため、相当な特典を施している。釜山大では科学論文引用索引(SCI)や社会科学論文引用索引(SSCI),芸術および人文科学論文引用索引(A&HCI) 1編あたり現在1億ウォンを支給し、慶煕大は国際著名学術誌論文1編あたり600点を付与している。

韓国語で論文を書けば0点を受けとる現実で、韓国の大学教授たちが韓国語で論文を書くことを願うということは話にならない。韓国語で論文を書く教授は ‘敗北者’ であることを自認する格好だ。10年こうしたことが続くならば、韓国語は学問語としての地位を永遠に失い、低級な2流言語に転落することが明らかだ。こういう大学改革が成功する場合、我が国の学問水準は英国の植民地支配を受けたアフリカの多くの国やインド・フィリピンのような国の位置に転落するだろう。これらの国の知識人をはじめとする支配階層は、自分たちの母国語では学問も哲学も出来ず、英語ですべての高級文化生活をするほかはない悲劇的現実の中で暮らしている。

大学教授たちがこれ以上韓国語で論文を書かなければ、韓国語の未来は絶望的だ。学問と文学を創造できない言語は消えるほかはない。‘清’ をたてた満洲族と ‘元’ をたて最大の帝国を支配したモンゴル族も、漢字と中国語に文化主導権を奪われたために、こういう運命を抜け出すことができなかった。反面、人類最初の学問と思想、文学の花を咲かせたスメール語とサンスクリット語は、その言語を使う人が消えた今日までも我々に影響を及ぼしている。ヨーロッパ文明の母胎であるギリシャ語とラテン語は未だ西洋の多くの国の言語に決定的な力を発揮している。

すべての高級文化生活が英語で成り立つならば、英語を駆使できない大多数の韓国人たちは ‘文盲’ に陥ることになる。言語差別は人種差別だ。私たちは今日、私たちの土地で英語を愛する我が国の人々により人種差別を受けている。 ‘英語を話す韓国人’ と ‘英語の出来ない韓国人’ に分かれ差別を受けることになる日も遠くない。私たちが何かをしないならば、このようなことはゆっくり、だが、はっきりと起きるだろう。誰も立ち上がり抵抗しなければの話だ。

蛇足1: 国際化は英語だけでするものではない。韓流の影響で日本や中国、東南アジアの各国で韓国語熱風が吹いている。こういう国際化がまさに我々が進まなければならない道だ。かつてテコンドーが韓国語の号令で世界化に成功したことも参考になるだろう。英語に従属する国際化を止めなければならない時がきたようだ。

蛇足2: 遺伝子操作により、我が国の女が産む赤ん坊が皆 西洋人になる状況がくるならば ぞっとするでしょう? 韓国の学者たちが書く論文が皆 英語ならば、それと何が違うでしょうか?

ユ・ジェウォン韓国外大 ギリシャバルカン語科教授

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/429731.html 訳J.S