本文に移動

[社説] 22才<ハンギョレ>の確約、‘真実を以て平和を’

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/420919.html

原文入力:2010-05-14午後10:57:06(2200字)

韓国戦争勃発60年だ。戦争は南側だけで200万人余りの死傷者を出し、生活の基盤を残らず破壊した。そればかりでなく、国民の人権をじゅうりんし主権を留保させる準戦時冷戦体制を誕生させた。
再びその亡霊がよみがえっている。一方では対決と敵対を誘引し、他方ではこれを口実に冷戦の復元を試みる。20年余りかけて用心深く積み上げてきた南北間の信頼の土台や和解・協力の成果は残らず解体されて崩れている。平和を拒否する者たちが、偽りとわい曲の呪術で冷戦の亡霊を墓の中から呼び出している。

復活する対決と敵対

22年前、新生<ハンギョレ>には2つの夢があった。民主主義と韓半島の平和がそれだ。正統性のない政権が北側の威嚇を口実に民主主義と人権をじゅうりんしたので、2つの夢は別々に切り離すことができるものではなかった。韓半島で民主主義は南北平和に進む踏み石であったし、南北の和解・協力は民主主義を成熟させる条件だった。あらゆる抑圧の中でも、この夢をどうしても捨てられなかった国民の誠意で誕生したのがハンギョレだったので、民主主義と平和に向けた行進はハンギョレの宿命だった。

ハンギョレが創刊と共に北韓訪問取材を計画したのはそのためだった。軍事政権が統制された情報を通じて不信と恐怖を助長し、対決と敵対を固着させている状況で最も最初に表わさなければならないことは北側の真実だった。真実のみが、操作された不信と恐怖の亡霊を取りはらうことができるからだ。しかしこういう努力は恐怖の亡霊を前面に掲げ人権と主権をじゅうりんして奪った政権には致命的な威嚇だった。結局、平和に向けたあまりに遠い長征のほんの小さな出発に過ぎなかった北韓訪問取材は政権により封鎖された。リ・ヨンヒ顧問など北韓訪問取材を計画した人々は国家保安法で処罰された。

それでもハンギョレの努力が無為に終わったわけではなかった。その努力は、小説家ファン・ソギョン氏の北韓訪問を始め、ムン・イクファン牧師と大学生イム・スギョン氏の北韓訪問につながり、民間次元の広範囲な平和・統一運動へと広がった。これらは言論がしなければならない役割の仕事を替わって果たした。ファン氏は北韓訪問記<人が暮らしていたよ>を出し、北側の人々が南側で知っているようなオオカミでも野獣でもなかったことを証明した。上層部は体制の安定を望むだけで、人民は南側と同じように平和と安定を望む人々だった。これらから始まった和解と平和の波を盧泰愚政府も逆らうことはできなかった。南北当局間に基本合意書が採択され、低い水準ではあるが経済協力が始まった。金大中・盧武鉉政府はこれを深化発展させた6・15共同宣言と10・4首脳宣言を引き出し、敵対体制を平和体制に転換する礎を置いた。

しかし今、私たちは和解・協力そして平和のための礎が残らず破壊されるのを見守っている。信頼の基盤となった人道的支援はかなり以前に途切れ、和解・協力の象徴である金剛山観光も死亡宣告を残しているだけだ。当局者間対話はもちろん、民間次元の交流も事実上封鎖された。この政権の根元という盧泰愚政府の時に始めた委託加工交易までが中断の危機に処している。有事の際み南北関係を管理できる全てのテコが消えたのだ。外勢にまかせることになったので、韓半島の不安定性はそれだけ大きくなった。孤立無援の南側は、ひたすら米国の足首だけをつかむことになった。

こういう対決と圧迫政策の中でさく烈したのが天安艦惨事だ。それが事故によったものであれ、政府が推定しているように北韓によって行われたことであれ、天安艦は北側に対する変化した対応の中で惨事に遭遇した。前後関係がこうであるにも関わらず、イ政権は天安艦惨事を失敗した圧迫政策を合理化し封鎖と対決を強化する手段として利用している。関連情報を統制し、わい曲された解釈を強要する伝統的方式で準戦時体制の復元を試みている。李明博大統領は最近安保総括点検会議で「わずか50km外側で北韓が大韓民国を狙っているのに、我々は大きな威嚇を感じていない」として、安保不感症をとがめた。世の中の軍事力は敵対勢力を狙うものであり友好勢力を狙うものではない。平和は武力ではなく信頼増進を通じてなされる。

真実は平和の種だ

平和を拒否する勢力が楽しんで作り出すものが悪魔という幻想だ。時には意図的敵対行為で挑発を誘導し対象を悪魔化することさえする。イラク戦争も、ベトナム戦争も、情報わい曲で相手を悪魔化することによって行われた戦争だった。

したがって敵対と衝突で利益を得ようとする者たちの企図を防ぐのに最も重要なことは真実を知らせることだ。真実だけが天安艦事故のような惨事の反復を防ぐ道だ。<ハンギョレ>が創刊22周年をむかえ、再び初心を新しく確かめる理由はここにある。乱舞する偽りとわい曲の中で、ひたすら真実だけを捜し出し明らかにすることにすべての努力を尽すことを約束する。真実こそが敵対の亡霊を払いのけ平和を芽生えさせる種であることをもう一度肝に銘じる。

原文: 訳J.S