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[世の中読み取り] 無償給食 切り捨て チェロまで/チョ・グク

原文入力:2010-03-04午後11:07:58(1706字)

←チョ・グク ソウル大法学専門大学院教授

キム・サンゴン京畿道教育長が推進したが道議会の反対で挫折した無償給食は地方選挙の核心争点となった。"無償給食は社会主義的発想だ" として大げさに騒ぐ執権勢力の反応は、進歩・改革陣営に‘反MB’や‘新自由主義反対’というスローガンがどのように具体化されなければならないかを教えてくれた。

この論争の核心は、私たちの社会にどんな福祉が必要なのかだ。朴正熙式社会発展戦略の後禍で我が国社会の支配的福祉観念は‘恩恵授与的福祉’だ。福祉を貧民や乞食に対する積善程度に見るということだ。そして福祉は常に政策の優先順位から最後尾に押し出され、その結果として低所得層は常にかろうじて延命しなければならない境遇に置かれる。実際、韓国の福祉予算等級は経済協力開発機構(OECD)中、最低水準だ。韓国は‘福祉病’を一度も患ったことがない。

もう福祉に対する私たちの考えは全面的に変わらなければならない。‘G20’所属の多数国家が施行している‘普遍的福祉’政策は、福祉でこそ需要と働き口を創り出し社会を安定させることを示した。無償給食政策も単に無料で食事を与えようということではない。この政策の要諦は憲法第31条が規定する‘無償義務教育’を完全に実現しようということ、低所得層の負担を減らし これらの実質所得を上げようということ、低所得層の子供たちが幼い時から自己侮蔑感を感じることを防ぎ社会統合を強化しようということだ。

無差別的に無償給食をすれば金持ちだけが得をして、低所得層のための他の教育予算が不足するという執権勢力のもっともらしい主張は "ワニの涙" だ。執権勢力が金持ち減税,庶民増税を放棄した後でこういう話をするならば傾聴できるかも知れない。逆に問いたい。現在、小学校の授業料は金持ちと貧者に関係なく受け取っていない。それならこの政策も放棄するべきではないだろうか。

予算がないという主張にも率直さと真正性がない。ソウル市の場合、オ・セフン市長の重要事業である‘デザイン ソウル’とか‘漢江ルネサンス’等に4年間で8兆ウォンほどが投入された。京畿道の場合、シム・サンジョン進歩新党前代表が "4大巨塔事業" と命名した城南・龍仁・安養市庁舎および道庁新庁舎の建設費用は3兆7000億ウォンを越える。こういう展示性予算を減らすだけでも、他の教育予算を減らさずに無償給食予算を用意することができる。ハンナラ党所属の要人が地方自治体長を務める城南と果川所在学校を含め全国の1500余の小中高校がすでに無償給食を実施していて、与党のウォン・ヒリョン議員も他の福祉予算の犠牲なしに全面的無償給食が可能だと断言したではないか。民主党イ・ジョンゴル議員が指摘したように、無償給食はお金の問題ではなく地方自治団体長と地方議会の意志の問題だ。

最近ノ・フェチャン進歩新党代表が、チェロを弾いている自身を表紙写真にした本で "すべての国民が楽器一つくらいは演奏できる国" が、彼の夢の一つと明らかにした。興味が沸いた。今後、無償給食を巡る論争は‘社会権’をどのように実現するかに対する議論に発展しなければならない。性別や正規・非正規職と関係なく、同一労働に対しては同一賃金を受け取る社会、誠実に労働するならば教育費と住宅準備負担から自由な社会、いくら貧しい家に生まれたとしても素質さえあればアマチュア チェリストになることのできる社会は単なる夢であってはいけない。この点で "躍動的福祉国家" (福祉国家ソサエティー)提案, "無償給食,児童手当て,公共住宅,社会的働き口など普遍的福祉連合政府" (イ・ケアン)提案は意味が大きい。無償給食を基本にした後、働き口と住居へ、そして窮極的にはチェロまで進もう。

チョ・グク ソウル大法学専門大学院教授

原文: https://www.hani.co.kr/arti/SERIES/56/408242.html 訳J.S