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[朝の陽射し]くつろぎの里住宅の陥穽

原文入力:2009-09-07午後09:57:26

チョン・ナムギ記者

←チョン・ナムギ論説委員

ソウルと大田のアパート価格差はどれくらいになるだろうか? 105㎡(32坪)型の場合、ソウル 江南が9億~14億ウォン,大田の新開発地 老隱地区が 2億~2億4000万ウォン。概略5~6倍の差だ。それでは建築費はどうだろうか? どこに作ろうが3.3㎡当たり300万~350万ウォンの範囲だ。江南とは言っても105㎡型アパートの建築費は1億2000万ウォンを越えないという話だ。差は地価から出る。分譲・広告費などもかかるが、最も決定的な要因は地価だ。

政府が作るくつろぎの里住宅の秘密はここにある。とても簡単だ。分譲価格の70%は地価だ。価格が安い土地さえ確保すれば、誰でも半額アパートを作ることができる。その上、開発制限区域(グリーンベルト)という良い土地がある。これさえ安く受け入れられれば万事亨通(何でもOK)だ。それだけか。容積率を引き上げてやれば分譲価格は下がり供給量は増える。実需要者たちも価格が安いアパートがあふれればこれほど良いことはない。

このようにやさしいことをなぜしなかったのだろうか? 当局者たちが知らなかったのだろうか? そうでもない。やっても効果がないためだ。分譲価格は安いがその効果は一時的だ。差益は当選者が持っていき転売制限期間が終われば住居価格は周辺相場に合わせて上がる。転売制限を通じて臨時に住居価格を押さえ込むだけのことだ。

くつろぎの里住宅が住居価格安定に寄与するためには既存住宅市場を圧倒する程に多くの物量の価格が安いアパートを持続的に供給しなければならない。だが首都圏にそれに見合う土地はない。このような形でくつろぎの里住宅を継続して作るならば、首都圏のグリーンベルトはあっという間にすっかりなくなる。

こういう政策は長続きしない。イ・ミョンバク大統領の任期中には大きな問題がなくとも、次の大統領は直ちに新たな突破口を探さなければならない。結果的に30年以上にわたり美しく大切に保管してきたグリーンベルトを失うだけで住宅政策は数年後に原点に戻ることになる。むしろグリーンベルトの地価を引き上げ不動産市場全体を不安にさせる可能性がより高い。

分譲価格を低くして供給を増やせば住居価格が安定するだろうという発想から抜け出さなければならない。分譲価格はどんな過程を経ようが既存相場に収斂することになっている。分譲方法により相場差益を持っていく人が変わるだけだ。もちろん持続的な住宅供給は必要だ。単身世帯の増加など社会的需要が増えることにより適正水準での供給は後押しされなければならない。だが全国の共同住宅が780万余世帯の状況で年間25万~30万世帯ずつ供給される物量が全体相場を左右することはできない。

住居価格安定の鍵は分譲市場ではなく、既存住宅市場を安定させることにある。また既存住宅市場の需給を左右するのは一次的に金利など金融市場の状況だ。実際に金利が継続的に低ければ、いくら供給を増やしても需要を満たすことはできない。その時は総負債償還比率(DTI)等、貸出規制を強化するなり金利または保有税率を上げるほかはない。

最近の住居価格の上昇傾向も供給不足よりは需要増加に原因がある。低金利で市中に資金があふれ、不動産規制が解かれ買い傾向が急増した。参加政府の時も同じだった。低金利による需要増加に原因があったので、どんな供給政策も効果がなかった。そのような点で政府が遅ればせながら首都圏総負債償還比率の強化に出たことは幸いなことだ。

くつろぎの里住宅32万世帯供給の効果を無視することはできない。だが需要増加の原因を遮断せずに住居価格を安定させることはできない。むしろ開発好材料と認識され、地価を揺り動かしたり巨額の土地補償金が新しい不動産購買傾向を誘発することになる。もちろんグリーンベルト解除が難しくなった瞬間、くつろぎの里住宅は建てる場所がなくなる。結果が明らかに見える時限付き政策だ。

チョン・ナムギ論説委員jnamki@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/375454.html 訳J.S