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[ハンギョレプリズム]ロウソクのあかり 記憶 闘争

原文入力:2009-05-05午後09:40:12
ナム・ジョンヨン記者

←ナム・ジョンヨン社会政策チーム記者

カナダのある小都市で少しの間留まった時、国際アムネスティ活動をしたことがある。20代特有の社会参加精神で武装して大学掲示板のビラを見てむやみに訪ねて行ったところは市内の教会の小さい部屋だった。驚いたことに、おばあさん6,7人がアムネスティ支部員の全てだった。おばあさんたちは活動進行状況を報告して次の活動を議論した。米国北西部のある刑務所に閉じ込められている良心犯釈放のためにホワイトハウスに手紙を送り、3週後にはアムネスティ写真展をしようと、おばあさんたちはのろのろと話した。老眼鏡をかけたおばあさんたちの話だ。いっそアガサ・クリスティの推理小説に出てくるミス  マープルのおしゃべり会の方が似合うだろう。

数日後、大学広場で3,4人の学生がカナダ軍の東ティモール派兵に反対するパフォーマンスを行った。過ぎ去る学生たちはカナダ国旗が燃やされるのを見て ‘これ何だろう?’ という表情で眺めていたが、私が見るにはこの都市で唯一集会に関心がある人々はミス マープルおしゃべり会に参加していたおばあさんたちだけだった。おばあさんたちは教会の小さな部屋に車座に座って、のろのろとした語り口で「おーそうだ! なぜそうなのか」といいながら、良心犯釈放を嘆願する手紙を書いていた。彼らの年齢は50~60代,なので、20代で68革命を体験したいわゆる ‘68世代’ だった。68革命の記憶があるから彼らは老いても社会的連帯のひもを放さなかった。実際にカナダと米国の市民団体には若者はいなくて老いたおばあさんたちばかりが出てきて編み物をするという笑い話をしばしば聞いた。

 ロウソクのあかりはいつのまにか過去になっていた。時間が過ぎたのは1年だけなのに、10年の歳月が流れたようだ。昨年5月、父母世代の ‘欲望のシステム箱’ に閉じ込められて政治的植物人間になったとばかり思っていた青少年たちが街に出てきた。私たちが彼らを ‘ロウソクのあかり世代’ と呼称できるかも知れないが、彼らに刺激された市民たちはロウソクのあかりを記憶して1年ぶりに再び街に出てきた。警察はその日一日だけで100人以上を連行した。彼らがあたふたと鎮圧したのはデモ隊ではなかった。それは記憶だった。

ナム・ジョンヨン社会政策チーム記者

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/353418.html 訳J.S