原文入力:2009-04-06午後09:29:24
←パク・ノジャ ノルウェー,オスロ国立大教授・韓国学
伝統社会の最高理念が三綱五倫であったように、資本主義社会の最も神聖な標語は ‘自由’ だ。 私たちは通常的に資本主義以前の人類や資本主義世界体制の ‘外側’ ,すなわち北韓のような社会に暮らす ‘不幸な人々’ と違って私たちこそが自由を享受していると自負する。
この ‘自由’ の内容は何か確かめてみれば、資本主義世界の構成員は ‘選択権’ と答えたりする。すなわち、いくつかの政党から一つを選択する事もでき、職業を自ら選ぶことができるという話だ。そのように答える人に、大衆的政党の中に資本主義体制の撤廃を実践しようとする党があるのか、そして選択が可能な職業には資本主義的雇用関係や市場的取り引きと関係がない職種がいくつかでもあるかと尋ねれば、この質問の意味が何かわからない人が多いだろう。体制の中での ‘選択’ だけでなく体制自らの選択も可能でなければならないと考えるのは、この体制でめったに見られない ‘異端’ だ。 ‘異端児’ たちの数を最小限に減らすために、この体制は完ぺきに近い準備をしてある状態だ。
北韓を訪問する外国人たちは託児所の子供たちが指導者を称賛する歌を歌うことに対して驚いたりする。幼い年齢から強圧的な政治的社会化をしてもかまわないのか、お互いどうし問い直すことだ。米国の幼稚園に掲げられている星条旗や、韓国の幼稚園に掲揚されている太極旗も、‘幼児期の政治的社会化’ に該当しないのかと反問することもできるが、他のどんな国に比べても北韓の ‘幼い時からの政治学習’ が徹底しているということは自明だ。しかし資本主義的世界体制の外側での ‘不自由’ を非難する人々よ、我ら自身の日常をもう一度見てみよう。
私達の子供たちは ‘政治学習’ が北韓に比べて少ないとしても、社会,経済的意味の ‘体制学習’ をもしかしたらさらに徹底させているかもしれない。6才になる米国の子供が一日に使う単語の約20%が各種商品らの商標、すなわちブランドだ。マクドナルドなど肥満症を助長するチェーン店通いに嬰児時期から動員されてきた子供の意識世界で、ハンバーガーはすでに ‘食べ物’ の同意語だ。この子供が大きくなって汗を流して直接育てた植物こそ心身に最も役に立つ食べ物だという点を理解して、食べ物の脱産業化,脱商品化を選択する自由人になる確率はどの程度か? ‘ショッピングは私の最高の楽しみ’ と答える、すなわち消費を通じるだけで自身のアイデンティティを構築できる約70%の米国ティーンエージャーは、果たして消費を前提としない自分アイデンティティを選択する自由を現実的に享受することができるだろうか? 一日に約4時間40分ずつ、すなわち仕事をせず、寝もしない時間の半分をテレビ視聴に捧げる平均的米国人には ‘バカの箱’ でない読書やクラシック音楽鑑賞を選択する自由が実質的に存在するのか? 形式的には存在しても、各自の人生が早目に消費中毒とゴミのような食べ物,ゴミのような見るもの,そして攻撃的で扇情的な映像イメージに‘植民化’されている現実では、自由に冒険を敢行する人はごく少数に過ぎない。
朝鮮時代の三綱五倫や北韓の ‘私たち式の社会主義’ が現実性がない支配者らの御用理念だという点を十分に分かる私たちは、我ら自身の ‘自由’ が抜け殻にすぎないという事実をなぜかよく認識できていないようだ。消費の天国であり、奴隷たちの天国である、この体制での真の自由はお金と商品でない愛と配慮,連帯を選ぶ時点から始まる。しかし無限競争と無限消費が支配する現実で、このような選択をするということは北韓で脱北を選択することぐらい難しいことだ。
パク・ノジャ ノルウェー,オスロ国立大教授・韓国学
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/348365.html 訳J.S