原文入力:2009-04-06午後07:05:24
ハン・スンホン-山民の‘サランバン証言’ 65
←1986年12月,手配中のイ・ブヨン当時民統連事務次長を匿ったといういわゆる‘犯人隠匿’事件で拘束されたイ・ドンミョン弁護士が法廷に入っている。後輩コ・ヨング弁護士を保護しようと‘偽り疑惑’を認め代わりに苦難を受けながらも明るく笑っている彼の表情が異彩を放つ。
1987年6月、民主抗争に前後して三人の弁護士が捕えられた。別の見方をすれば皆、他人事で厄運に遭ったのであった。
先ず、イ・ドンミョン弁護士の話。 イ弁護士様は法曹界の重鎮であり、正法会の長老で天主教正義平和委員会委員長だった。そのような方が国家保安法違反(便宜供与)と犯人隠匿で拘束されたのは86年10月29日だった。当時‘5・3仁川労働者デモ’と関連し手配中だった民統連事務次長イ・ブヨン氏を5ヶ月間自分の家に匿い50万ウォンの逃避資金まで与えたという疑惑であった。イ氏は安全企画部員に捕まった後、イ弁護士の家で隠れていたと告白(?)をし、イ弁護士も検察でも法廷でも控訴事実を素直に認めた。やはり元老信仰人らしく追われる者を匿ってあげたんだなと皆首を縦に振った。
「私は不正に追われる一頭の羊を保護しただけで決して犯人を隠匿したという呵責を感じはしない。」 「やっていない事で不当に処罰を受ける人は私が最後になることを願う。」イ弁護士はこういう最終陳述をした。そして1審で実刑を宣告される。
ところが、実のところイ弁護士はイ・ブヨン氏を匿ったことはなかった。イ氏はコ・ヨング弁護士の家に隠れており、万が一の場合にはイ弁護士の家に隠れていたと言い逃れることにしたのだ。まさかイ弁護士はどこから見ても拘束はできないという計算が作用した。しかし予想を裏切ってイ弁護士が突然拘束されるや、コ弁護士は身の置きどころがなくなったし、イ弁護士の苦労を考えればその年の冬を冷えた部屋で過したという。イ弁護士はイ氏ではなくコ弁護士を保護してくれた様子だった。そして検察と裁判所をだますことに成功(?)した。弁護団も大部分は知らずにいた。だいぶ歳月が流れた後に私が話した。「真犯人を処罰できず虚偽陳述をしたので、今度は本当に被告人(公務執行妨害)にならなければならないのではないか?」
次は刑法で死文化されていた‘葬式妨害罪’にかかった二人の弁護士の話。
6月抗争を主導した民主憲法争取国民運動本部(国本)の釜山支部常任執行委員長だったノ・ムヒョン弁護士と国本民権委員長だったイ・サンス弁護士がその珍しい罪名の被告人だった。舞台は慶南,巨済島,玉浦の大宇造船の労働争議で、労組と警察が激烈に衝突し労働者イ・ソクキュ氏が警察の催涙弾に当たり亡くなるというむごたらしい事態が起きた。87年8月22日のことだった。現地では住民代表と労組執行部とが真相究明対策委員会を構成し、釜山国本に助けを要請した。ノ弁護士は巨済に行きいくつかの助言をしたし、埋葬地は労組側の強硬な要請により光州,望月洞墓地に定めた。ソウル国本ではイ弁護士を派遣した。その時点で亡き人の親戚という現役少佐が現れ、埋葬地を南原にしなければならないと言い張った。二人の弁護士は埋葬地問題を相談したあげく、遺族たちに「故人の死を個人の死として埋めてしまわず、よくよく考えて決めることを望む」という要請をした。イ弁護士も参加した労組執行部・在野団体連席会議では埋葬地を光州に決めた。8月28日、告別式を終えて葬儀の行列が光州に向かい移動している間、固城邑で警察の包囲・制止を受けた。イ弁護士は現場で警察に連行され、忠武(現在の統営)警察署留置場に収監された。ノ弁護士も釜山で拘束された。罪名は労働争議調停法違反(第三者介入)と‘葬式妨害’が加えられていた。聞いてみたこともない葬式妨害罪まで取ってつけたのが珍しかった。控訴状によれば「…葬儀を主管しなければならない遺族らの意志にともなう葬儀手続き進行を不可能にすることで故イ・ソクキュの葬式を妨害して…」となっていた。
私はその二人とは親しい間柄であるのに加え、国本常任共同代表の資格で現地に下って行った。先ず9月7日に忠武警察署に行きイ弁護士に会った。そして当日に釜山へ行き海雲台警察署に閉じ込められていたノ弁護士に面会した。二人の弁護士ともあきれてしまう拘束に遭っていることが確認された。
←ハン・スンホン弁護士
釜山地方裁判所は88年2月22日、ノ弁護士に罰金100万ウォンを宣告した。葬式妨害疑惑に対しては葬儀手続きが最終決定される前に釜山に戻ったという理由で無罪となった。イ弁護士は拘束され49日ぶりに保釈で解放されてきたが有罪は免れなかった。後日、イ弁護士は葬儀場に弔問に行きこう叱られたこともあるという。「葬式妨害罪で拘束された人がここに来ても良いのか? 今度はどんな妨害をしようと!」
神聖な嘘で他人の懲役を代わりに務めて出てきた弁護士、すでに自然死した‘装飾妨害罪’に引っ掛かり監獄暮らしをした弁護士、本当にあきれたおかしな世の中だった。
ハン・スンホン弁護士
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/348279.html 訳J.S