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[社説]漢江の河口の自然を守れ

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/528916.html原文入力:2012/04/18 19:22(1443字)
 漢江(ハンガン)河口の道路を走ってみれば分かる。私たちがどれほど幸せな市民なのかを。だが、それもつかの間、胸の片隅にはじゃまなものが重たく気になってくる。風景の絵画の下段を刃物で長く裂き放っていた鉄条網のせいだ。そのため鉄条網の除去は、市民の祝福の完成といえよう。その上鉄条網は分断の悪夢を激しく思い起こさせて、胸を刺した。  しかし政府が現在進めている漢江河口の鉄条網の除去作業を見ていると、うれしいというより心配が先んじる。鉄条網は市民には制約と統制の象徴だが、自然という仲間には人間の接近を防いで、天の恵みである安息地を取り囲む垣根であった。湿地保護区域であるチャンハン湿地以外の区域も、絶滅危機種である大雁やヘラサギの生息地になりうるようにしたものだ。市民にとっては抑圧でも自然にとっては保護膜だったこの鉄条網の除去を巡って、市民社会で意見が分かれたのはこのような理由だった。
 漢江の河口は国内で最も大きい海水と淡水が出合う地点だ。海洋の生態系と淡水生態系が融合して生物の多様性が他のどこよりも豊富だ。 その上鉄条網で囲まれていて人間の進入を止め、食物も十分に提供することができた。水生生態系はもちろん赤足マルトンカニや赤シカなどの陸上生態系が健常だったのはそのためだった。鉄条網が除去されるとこのような天然の生態系がどうなるのか心配が先立つのは当然だ。
 不幸にももう心配は現実になっている。数日前京畿道(キョンギド)はチャンハン湿地を含む鉄条網除去区域の開発計画を明らかにした。見かけは市民のための環境に親しむ水辺だが、実体は既存の漢江の水辺のように自転車道路などの人工物中心の遊園地にするというものだ。保護区域であるチャンハン湿地は観察施設と展望台などの造成にすぎないという。しかし周辺の開発と人の足による棲息地の破壊を避けることはできない。川の向こう側の金浦(キンポ)の方の開発だけでもチャンハン湿地にはマナヅルがすめないという。4大河川を掘るのに熱心だった京畿道の知事が先頭に立ち、地方自治団体長や近隣地域住民が追随しており、防ぐのも大変だ。すでに京畿道と金浦市はその周辺に映像文化複合都市であるシネポリスの建設を推進してきた。
 中央政府が開発の限界を明確にしなければならない理由はここにある。干満の潮が出入りする湿地と共有水面は全て保護区域として指定しなければならない。堆積物が積もって陸地になった地域も開発を制限して、散歩道など制限的な見学施設にだけ許容しなければならない。優秀な生態景観ゆえに開発の対象になっているが、自然の仲間が姿を消せば商品価値も消えるということを政府や地方自治体は肝に銘じなければならない。
原文: 訳T.W