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[ハンギョレ プリズム] 酒席の暴力 対処説明書/ヤン・ソンア

原文入力:2012/04/01 19:28(1802字)

←ヤン・ソンア スペシャル コンテンツチーム記者

被害者も‘模範答案’を持っていなければならない
"酒に酔ってよく覚えていない。"

 酒席で起きたセクハラ事件の後に加害者が言う‘模範答案’だ。 酒を言い訳にして加害者は皆、自分が犯した蛮行を‘覚えていない’‘私が意図しなかったこと’にしてしまう。そして鶏糞のような涙を流し "申し訳ない" と謝罪する。 自身が当然に受けなければならない懲戒範囲を最小化するためだ。

 先週、現職部長検事が出入り記者たちとの酒席で女性記者に性醜行をするという事件が起きた。 二人の女性記者が感じた侮辱感と恥辱を考えると怒りがごうごうと燃え上がる。 チェ・某部長検事もやはり模範答案を提示した。「酔っ払っていてよく覚えていない」と。

 7年前、私もある酒席で言語暴力にあって身体的暴力にあいそうになったことがある。 酒に酔った加害者は、私が生まれて初めて聞くほどの悪口を言いながら私を殴ろうとした。 周囲にいた人々は加害者の暴力を制止し、私をタクシーに乗せて送った。 家に帰ってきた私はその夜一睡もできなかった。 事実、言語暴力にあう現場で慌ててしまい加害者に何も言い返せずに自分がバカだと感じられた。

 酒席での暴力と同じ程度に私に心の傷を与えたのは、翌日その場にいた人々の反応だ。 翌日、私はその場にいた人々と知人たちに連絡して諮問を求めた。 珍しいのは男性と女性の反応が全く違っているという点だ。 男性たちは言葉がなかったり、あるいはハッハと笑って「もともとそういう人だ。ただ哀れだと考えろ」 「酒癖の悪い人に触れてはならない。次から気を付けろ」と話した。反面、女性たちは 「犬××、このままでは済まされない。謝罪させなければならない」「厳格に暴力だ。公論化しなければならない」という意見を示した。

 初めに私は当事者から謝罪を受けることさえ面倒で、全て忘れたい気持ちもあった。 しかし女性同僚たちの話を聞いて絶対に謝罪を受けなければならないと決心し、私はその日 同じ席にいたある女性の仲裁で加害者から直接的な謝罪を受けた。

 謝罪を受けた後、ぐっと気分が良くなった自分を発見した。 謝罪を受けなければならないと助言してくれた先輩に感謝の電話をしたところ、その先輩は私にこのように話した。

 「よくやった。謝罪を受けるのはあなたのために絶対に必要なことだ。もしそうしなかったとすれば今後あなたはその人と同じような人を見ただけで、その時の記憶がよみがえって他の人に攻撃的に行動したり防御的になるから。 結局、あなたの人間関係に問題が生ずるということだね。 そしてあなたの他に別の被害者が生まれるケースを防ぐためにも必要だったし。今後そんなことがあったら一人で悩まずに必ず女の先輩たちと相談して。」

 その日私はそのような同僚がそばにいてくれて心強かったし、女性としてのアイデンティティを新たに悟った。 そしてなぜ社会のあらゆる所に女たちが進出しなければならないのか、女たちがなぜ連帯しなければならないのか実を持って悟った。

 酒席での各種暴力は酒を言い訳にして日常的に起きている。 問題が起きても周辺の人々は暗黙的に暴力を容認したり‘酔った勢いでした行動だし、むやみに藪をつついて蛇を出すな’と言う文化がある。 今回の事件でも該当女性記者が積極的に問題提起をしなかったとすれば、全て隠して終わったかも知れない。 暴力にあったことのある経験者として予備被害者にあえて助言する。 もしかして起きるかもしれない被害状況を仮定して、あなたがどのように対処するかをあらかじめ練習してみなさい。 悪口を言わるとか、太ももを触わられるとか、被害者も‘模範答案’を持っていなければならない。 それでも被害状況が発生するならば? 女性同僚たちに先ず相談して連帯して謝罪を受け取り対応策を模索しなさい。 私たちの社会で男性と女性は厳格に別の生活を送っている。

ヤン・ソンア スペシャルコンテンツチーム記者 anmadang@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/526191.html 訳J.S