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[朴露子ハンギョレブログより] 再びだまされる可能性

http://blog.hani.co.kr/gategateparagate/39267

原文入力:2011/12/09 02:27(3195字)


朴露子(バク・ノジャ、Vladimir Tikhonov)ノルウェー、オスロ国立大教授・韓国学


  国内政治では来年と再来年に相当な変化が予想されます。 2008年以後に権力を再び握った極右は、来年の総選挙と大統領選挙以後にはその権力を持続的に掌握する可能性は相当に薄くなっています。すなわち、極右が安定した長期政権体系の確立に失敗しているという話です。 最近のパク・ウォンスン氏当選も、爆発的な"アン旋風" も、一貫して下がり続ける明博と"王女様"の支持率もまさにこの失敗の兆候に該当します。 2-3年前には40%近い支持率を背景にして "王女様" はすでに" 登極準備中の次期君主"と認識されたりしていました。 支持率はアン・チョルスよりはるかに劣る23%程度となった今は? ただ有効期間がいつ満了するかもしれない多くの保守政治家の一人に過ぎません。もう少し長い観点で見るならば約7-8年前にシン・ジホのような転向者出身の保守政治屋程度でも "ニューライト" と呼ぶようになり左派には追いつき難い右派の自由主義的大手術を執刀する "斬新な人物群" と考えられられていました。今シン・ジホは果たして何でしょう? 俗っぽい言葉で言えば既に "味がなくなった" 極右的善良(エリート)中の1人にすぎないでしょう。彼に誰が "ニュー" という接頭辞を付けますか? すでに "オールド ライト" のすべての醜態をみな凌駕された方なのにということです。

  それなりの洗濯機やテレビより国内の極右政治家ははるかにはやく故障してしまいます。 これは単純に "人格" だけの問題ではなく、構造的な問題だと考えられます。 ごく少数の輸出中心財閥らと不動産富者の利害関係に正確に合わせた韓国型極右政治は基本的に変身を拒否します。 労働者の長時間労働による重点的搾取と中小企業に対する搾取、そして土地投機を基盤とする現在の(株)大韓民国の商売方式それ自体が変化を拒否しているということです。 変化を拒否する以上は民心を得ることには窮極的に失敗してしまいます。 例えば "経済" で選ばれた明博殿下は、実際に経済で敗北してしまいましたね。 土建国家の慣例どおり4大河川殺しなどの方式で一貫して(不必要で非常に有害な)大型工事ばかりを支援した結果、2008年世界的経済危機の影響を大きく受けて2009年の成長にもほとんど失敗し、その後は対中国輸出などでかろうじて回復しても内需基盤拡大に失敗して今、成長勢の持続的鈍化をどうにも変えられずにいるのです。来年の成長率展望は2%程度ですが、再分配装置が弱く零細自営業者の比重が高い韓国経済の特性上、これは雇用難と内需沈滞、零細業者の大量倒産の持続などを意味します。 やはり建設会社の社長は変身がうまくできません。 そして彼がいくら日雇い土木労働者をつらく働かせる天才だったとしても国家規模のこの大きなでたらめ建設会社がこれ以上永遠に良い成績を出せないことを今や皆がある程度感づいたので2008年以後の極右主導体系が短命に終わりそうだと見られる余地は多いのです。


  しかし現政局の主導構造が短命に終わるとしても果たして(株)大韓民国の被雇用者の多数を占める下級労働者までが良い暮らしをする世の中にはなるでしょうか? 果たして彼らの真の利害関係を標ぼうするごく少数の真の進歩勢力はその持分を大きく拡張させられるでしょうか? 私たちの努力にかかっている部分は多いですが、極右が敗北に向かって走って行くからと言って民衆の代弁者が権力をにぎることは自動的に可能にはなりません。その両者に一つの壁がありますが、それはまさに "進歩" を詐称している各種のリベラルです。 もちろんすでに盧武鉉時期に非正規職をむやみに量産し、今大きな災難になった韓米FTAを先駆的に(?) 計画、推進した彼らに対して、民衆はすでに大きく怒り失望したのは事実です。 今の極右執権もその失望の一つの結果です。 ところで "改革" 詐欺で政治的資本を蓄積した人々はたいてい頭が非常に良い場合が多いのです。 ありもしない物、すなわち(自由主義的) "改革" を売ろうとするなら、政治的商術9段程度にならなければなりませんから。 それで今回彼らはすでに私たちにいくつかの重要な販売戦略(?)を準備したのです:


1) 混ぜて"セット"販売

  貧しい暮らしの中で殺人的学費などを払わなければならない民衆を非正規職にしたノ・ムヒョン政府の長官をすでに歴任したユ・シミン氏は、もうこれ以上、政治的市場で単品販売ができないため、ノ・フェチャン、シム・サンジョンなど親民衆的経歴のある右派社民主義者などとワンセットで販売されます。 単品販売では既に新鮮度が良くもない物を買って下さる方はそんなに多くないが、今回は韓進重工業問題で長期ハンストまでなさったお二人様とセットになって売られるならば? そうだな、もしかしたらこのようなセット販売が成功するかも分かりません。そのようにしてすでに有効期間が過ぎたような一人のリベラルは、もう一度 "経歴洗濯" されて '斬新な親書民政治家' として帰ってくる計算でしょう。


2) 過去のリコール事態に対する記憶抹消

  実際、2006年以後にノ・ムヒョン政権の人気は、"あの野郎らしい" のような単語が登場するほど地に堕ちました。 任期末期のノ・ムヒョンとユ・シミンなどその家臣は "進歩" ではない韓米FTA式の最も軽薄な新自由主義の象徴でした。しかし特にノ・ムヒョンの自殺事態が契機となってその否定的記憶は次第にノ・ムヒョンの継承者によって洗濯され始めました。 ムン・ジェインなどの著書では、ノ・ムヒョンはほとんど "理想的人格者" に見えて、その政権時期は "失楽園" のように描写されています。明博政権の "新悪" の醜悪さに圧倒された数多い読者にとってノ・ムヒョン当時の "旧悪" に対する記憶は更に消しやすいために、この販売戦略は相当な成功を収める危険性はあります。


3) 再包装と新しい広告モデル

  中身はそのままでも、看板は "斬新な" ものに変えて、その看板を中心に包装が再デザインされるものです。このような戦略の代表的事例は今回のパク・ウォンスン氏の当選でしょう。 ポスコ、ブルームワンなどの社外重役出身でありコーロンなど財閥の後援を得るうえで手腕が優れた "財閥家の友人" パク・ウォンスンであり、部下にはほとんど "独裁者" と認識されるスタイルのリーダー パク・ウォンスンですが、大多数の中道的有権者にとっては彼は "斬新な顔" であり、ほとんど "進歩" として近づきましたね。 理由は? 政府や財閥、教会、政界等々はただ "泥棒" に通じる徹底して冷笑的な社会では、まだ"市民社会" に対する視線は比較的にあまり冷たくないためでしょう。クラムシの言葉通り、市民社会の '権威' は資本主義体制を守る最も重要な無形の防御力中の一つです。 これからはパク・ウォンスン氏と同様のケースが結構ありそうだし、"改革" 詐欺師陣営はそのようにして再整備されそうです。


  詐欺は永遠ではありませんが、来年にも数多くの人々はパク・ウォンスン流の "斬新できれいなリベラル" らにだまされてしまうことは明らかです。それでもだまされる人がひとりでも少なくなるように、真の進歩は血のにじむ努力をして、この社会の階級的現実に対して声を上げなければなりません。


原文: 訳J.S