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誰を恨まなければならないか/キム・ヨンギョン

登録:2011-12-09 09:05


休学30%そのうち復学は16%
労働の底辺で溢れる彼ら
今や怒りは社会に向かう


全泰一(チョン・テイル)烈士はいつの日かの日記に、「大学生の友人が一人でもいたらよかったのに」と書いた。労働現場で大学生に会うことがほとんど不可能だった時代の話である。

しかし、もしも全泰一烈士が今の時代に生きていたら、大学生に会うのはいくらか容易だろうと思う。大学生は2011年の全泰一が労働しているまさにその現場で一緒に働いているからだ。経済的困難のために勉強を中断し働いている2011年の大学生たちの現実を言うのだ。

大学生が大学に通うために勉強を中断し、労働現場に行っている。学業を中断して仕事をする大学生たちの多くは、高額の授業料と生活費を工面するためだ。このように経済的な理由のために休学した学生が、この5年間で着実に増加し、休学率が30%に迫っているという。このうち何人が再び学校に戻るのか?

残念なことに復学率は16%に過ぎない。専門大の場合、休学率は上がるが、復学率は低下するという、奇妙な現象が起きている。相対的に専門大に通う学生は、経済状況も、より悪い場合が多く、未来が不透明だと感じながら、学校に数十万円の授業料を支払わなければならない意味を見いだせずにいるからだ。多く の若者たちが休学をしながら、「果たして私は学校に戻って来られるだろうか」と自問する。ほとんどの大学は、軍入隊休学ではない場合、2年程を休学のマジノ線として与えている。つまり2年以内に十分なお金を集められなければ、学校に戻ることがないという話だ。仮に学校に戻っても、再び授業料を稼ぐため学校を離れて仕事に行くことを繰り返さなければならない。

そのように一部の学生は、最終的に学校に戻ることができず学校を辞めることになる。韓国の大学中退率は過去10年間で2倍に増えた。海の向こうのアメリカで、スティーブ・ジョブズCEOは、マーク・ザッカーバーグ、ビル・ゲイツなどの革新的な情報技術(IT)事業家たちが皆、大学中退者だといい、「なぜ ITの天才たちは、大学中退者が多いのか?」と甲論乙駁する。それでは、大学中退者が2倍に増えた韓国でも、過去10年間にITの天才が2倍に増えたか? 当然Noだ。韓国では大学生が学業を中断して革新的なベンチャー企業を創業するのではなく、最低賃金ももらえないコーヒー専門店に、コンビニに、場合によっては、派遣労働者となり製造業の工場に行っている。非正規職の底辺には大学を中退した若者たちで溢れている。

学歴差別が存在する大韓民国、皆が大学に無理して行かなければならない奇妙な現実は問題が多い。しかし、多くの学生たちが厳しい経済状況と高額の授業料のために仕方なく学業を中断しなければならない現実は、ひたすら私を悲しくさせる。大学の基本的な目的は、知識人をつくるのであれ、または労働市場でよりよく活用される人材をつくるのであれ、数千万ウォンのお金を払ってこそそれが可能であり、それができない人たちは途中で追い出されてしまうという現実は、数多くの若者の胸に大きな傷を残している。貧しかった1960~70年代には、家の中で一人の成功のために、他の兄弟姉妹たちが学業を断念するケースが多かった。他の兄弟姉妹の学業放棄で積もった恨みと成功した者への恨みは、ドラマの定番素材として使われもした。今、高額の授業料と生活費のために学業を中断している大学生たちは、誰を恨まなければならないか? その恨みは、このような社会を作り出した既成世代と大韓民国という社会そのものに向かうかもしれない。

キム・ヨンギョン青年ユニオン委員長

原文:https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/509253.html
翻訳:K.H