領海・領有権問題などで中国と対立する東南アジア国家の介入要請を口実に中国牽制を強化した米国は、最近韓国と自由貿易協定(FTA)交渉で妥結したのに続き日本をTPPに引き込んだ。TPPの交渉参加である10ヶ国の国内総生産の70%を世界経済1位の米国が、20%を3位の日本が占める。 事実上両国が軸になって、2位の中国を除いたアジア太平洋地域のほぼすべてを世界最大の自由貿易圏として束ねようとすることだ。 中国は緊張せざるをえない。 最悪の失業と財政難の中で来年の大統領選挙の再任を狙うオバマ政府が頼る場は財政危機に苦しめられるヨーロッパではなく躍動的な成長地帯である東アジアだ。 オーストラリアの北側のダーウィンに米国が軍事基地を建設することを決めたのは米国の東アジア介入強化が経済に限定されないことを示唆している。
米国の攻勢が強化されれば中国の反撃、すなわち‘逆風’も強まるほかはない。 もちろん葛藤が深刻化するのは中国のせいもある。 東南アジアの弱小国が米国を引き込んだのは彼らの国に対する中国の最近の動きがそれだけ荒く、威嚇的だったためだ。
理由はどうであれ国際情勢が大国中心の陣営対立に向かえば、中小国は被害者となる。 中国の急速な成長と米国の長期衰退傾向にともなう転換期の葛藤と危機は今後続くだろう。 こういう側面で見れば、先日の訪米の際に李明博大統領が中国脅威論を持ち出して米国の東アジア介入強化を促したことは近視眼的な判断だった。 明末淸初をほうふつさせる今の情勢の急変をさらに深く長く見る知恵が必要だ。
原文: 訳T.W