本文に移動

[世相を読む] クレーンと煙突/キム・ドンチュン

登録:2011-11-15 09:22

原文入力:2011/11/14 19:05(1698字)


"大盗賊を捕まえないと民が死ぬ"
大盗賊を捕まえ、働く人を幸せにするという
政治勢力どこかにいないか?


←キム・ドンチュン聖公会(ソンゴンフェ)大社会科学部教授


309日間にわたる高空クレーン籠城を行って降りてきたキム・ジンスク氏に対する検察の拘束令状が棄却されたという。 労使合意により籠城を解き降りてきた人を‘業務妨害’罪で拘束をしたとすれば、より大きな葛藤が生じただろう。 ひょっとして大変なことが起きればどうしようかとハラハラした国民も一安心したし、この間この問題の解決の先頭に立った希望のバス プランナーたちや参加者ら全てがホッとしているようだ。 しかし、韓進重工業事態で一行き着いた瞬間、双龍(サンヨン)自動車では19人目の犠牲者が出たという報道があった。 退職労働者が金を稼ぎにでかけた間に彼の夫人が自宅で息をひきとり、二人の子供は父親が帰ってくるで母親の遺体のそばで夜を明かしたというぞっとする話も聞いた。

クレーンに上がった労働者は何と300日以上の籠城の末に生きて降りてきはしたが工場の煙突と屋根に上がったが、まるで犬のように引きずられて降りてきた労働者は会社正常化以後に復職を約束した紙一枚を持って生きるためにもがき一人ずつ死んでいっている。彼らが上がったクレーンと煙突は普通の人ならただ立っているだけでも足がブルブル震える人間存在の崖っぷちであり極限地帯だ。彼らはこの地上には自身の無念を晴らす方法がなかったために、最後の手段としてあの高いところへ、まさに生きるために上がった。こん棒と催涙弾を発射する警察、武器を持った雇われガードマン、業務妨害で拘束令状を持って立っている検察、警察とガードマンの暴力にはカメラを向けないマスコミが占めているこの地上には彼らがいられる空間はなかった。


この国の大統領は彼らを‘一網打尽にしろ’と呼び、検察は‘業務妨害’、‘公務執行妨害’等の犯罪を犯した法律違反者と呼ぶ。李明博政権が執権して2年にもならない2009年11月にすでに拘束労働者は334人を越え、双龍自動車一社だけで拘束労働者が何と86人に及んだ。


やむを得ない状況で会社が門を閉めることになったのならば、労働者たちも解雇されても仕方ないということは使用者やマスコミが強調しなくとも労働者自身がよく知っている。ところが数十年間にわたり熱心に仕事をしたのに、経営危機に処すれば唯一労働者だけが全ての責任を負わなければならず、解雇者選定過程が全く公正でなく、その過程で使用側のあらゆる脅迫と仲違いが頻発し、ストライキをして解雇されれば真っ赤なレッテルを貼り他所に再就職もできなくさせるこの社会を彼らは容認できないし、政党と政界、労働部、地方自治体、そして労組が自らの機能を果たせないので彼らは命を覚悟して決死の抗戦に出た。


茶山 丁若鏞(チョン・ヤギョン)先生の監司論にたとえるならば、飢えたあげくの他人の家に押し入る小盗賊は本当は盗賊ではないが無条件に拘束されるが、他人の金を自分の金のように引き出したり無理な投資で忠実な作男を街頭に追い出した人々、彼らとグルになって監査をきちんとせずにロビー資金を掴んだ‘大盗賊’はいつも威風堂々としていて夜警や捕盗庁、司憲府はもちろん国の誰も彼らを処罰できない。この不当さには到底屈服できないという義人は公権力が及ばないクレーンや煙突に上がり大声を張り上げ、そのような勇気を出せない国民たちはひっそりと死んでいく。


国と社会の本当の主人である、汗を流して生産する者が窮地に追い込まれクレーンに上がったり生計型犯罪を犯したからと監獄に行かずとも良い社会を私たちは望む。茶山先生の言葉の通り「大盗賊を捕まえなければ国民が皆死ぬ」だ。大盗賊を捕まえ働く人々を幸せにするという政治勢力はどこかにいないか?


原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/505368.html 訳J.S